病院の病床区分
「一般病床」と「療養病床」について
日本全国の病院数は15年6月現在、総数は約9,170施設で病床数はおよそ164万床です。
これまでは特定の疾患だけを対象とした精神病床、結核病床、感染症病床を除く大部分の病床は「その他の病床」と区分されていました。
1992年10月医療法の改正で「療養型病床群」という新しい病床区分が新設されました。
「療養型病床群」とは「病院または診療所の病床のうち、主として長期にわたり療養を必要とする患者を収容するための一群の病床で、人的・物的に長期療養患者にふさわしい療養環境を有する病床群」であると定義されていました。
その後暫くはこの区分で分類されていましたが、平成13年3月第4次医療法改正の結果、今後病院の入院ベッドは結核病床、精神病床、感染症病床のほかに、主に急性期の疾患を扱う「一般病床」と、主に慢性期の疾患を扱う「療養病床」の二つが新たに定義され、病床(病棟)の区分を通じて病院の機能の違いが明確にされました。その上で、各病床(病棟)ごとの構造設備基準や人員基準があらためて決められました。
そして、今後「一般病床」か「療養病床」かどちらかを選択することが義務づけられ、その届け出の最終期限が先月の8月31日となっていました。全国の病院全てが、今後自分の病院(病棟)は「一般病床=急性期医療」でゆくのか「療養病床=長期療養」でゆくのかを問われているわけです。
この病床区分の改訂の大きな目的は本邦の「一般病床」を削減し、医療費の高騰を押さえたいという意図がはっきりしています。申請の結果はまだ公開されていませんが、人員基準や在院日数等も厳しく設定されたため多くの施設で「一般病床」の維持が困難となり「療養病床」や、介護保険の「介護療養型医療施設」への変換がすすむものと思います。
ただし、病院全体で「一般病床」か「療養病床」どちらかを選択するのではなく、ケアミックスと言われるように、病院内の病棟単位で「一般病床」と「療養病床」を併設できる場合もありますし、介護保険対応の「介護療養型医療施設」への転換・併設もありますので、これからは病院に入院したとき、その病院のどの病床区分で入院治療を行うのかは良く理解し納得して入院する必要があります。
今回は改訂された「一般病床」と「療養病床」について簡単に説明したいと思います。
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○日本の病院の病床数概数
前述しましたが平成15年6月の統計では日本の病院の病床数は約163.9万床で、その内訳は精神病床35.4万床、結核病床1.6万床、感染症病床1800床です。療養型病床を除く「一般病床・その他の病床」は94.4万床、療養型病床は32.3万床となっていました。
日本全体の病床数はこの10年増えておらず、療養型病床の増加とともに、一般病床は減少傾向にあります。今回の改訂で「一般病床・その他の病床」は94.4万床が削減の対象となっているのです。
病院の病床数は平成4年(1,686,696床)をピークに毎年減少していますし(△46,894床)、精神病床も、平成6年には(362,847床)まで増加していましたが、平成7年から減少しています(△8,319床)。また療養病床等を有する病院は施設数3,970施設と年々増加し、病床数は323,304床です。今後も少しずつ増加するものと思われますが、一般病床はその分減少します。結核病床や感染症病床は結核非常事態宣言など結核の見直しがなされているにもかかわらず、国立の結核療養所は経営面から減らされているのが現状です。これら感染症病床は被採算部門として縮小化を考えており、危機管理も薄れて今回のSARS問題でも対応が遅れています。
一般診療所の施設数は95,890 施設で有床診療所の病床数は192,091床です。有床診療所にも、療養病床の区分分けもありますが19万床を超える病床は有床診療所の意味を考える必要があると考えます。
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●「一般病床」と「療養病床」
○ 病床区分の定義
結核病床、精神病床、感染症病床を除いた病床(従来の「その他の病床」)を「療養病床」及び「一般病床」に区分しました。
1.一般病床とは
精神病床、感染症病床、結核病床及び療養病床以外の病床
2.療養病床とは
精神病床、感染症病床及び結核病床以外の病床であって、主として長期にわたり療養を必要とする患者を入院させるための病床
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○病室や建物の違い
構造設備基準に違いがあります。
1.「一般病床」 現行の病院設置基準では居室面積は4.3平方メートル以上
(廊下幅1.2m以上・両側に病室ある時1.8m以上)
一般病床の構造基準は今まで通りの基準です。但し今回の改訂では一般
病床も今後新築か全面改築時には現行の療養病床と同じ居室面積6.4平方
メートル以上、廊下幅も1.8m以上・両側に病室ある時は2.7m以上と改訂
されていますので、新しい病院は広い病室・廊下となります。
2.「療養病床」 居室面積6.4平方メートル以上
一般病床において必要な施設の他
機能訓練室、食堂、談話室、浴室
機能訓練室40平方メートル以上・食堂1人平方メートル以上
(1室4人以下・廊下幅1.8m以上・両側に病室ある時2.7m以上)
1992年の「療養型病床群」の構造基準では病室は,日中起きて移動するためにベッドとベッドの間に車椅子が入るスペースを確保すべきとされ,最低でも4人部屋と規定されていました。床面積,廊下幅においても、生活の場であることを考慮し一人当たり床面積は内法で6.4平方メートル以上,廊下幅も片側廊下1.8m以上,両側廊下2.7m以上と通常の病院の基準の1.5倍に広く設定されています。またプライバシー確保のため,病床ごとにカーテンなどの設置、個人用ロッカー、照明、小机と椅子を設置することが望ましいとされていました。
しかしこの「療養型病床群」の構造基準は、居室面積の拡大や廊下幅の拡大など、建物の大改造やむしろ新築が必要であるため、土地に制限があり増改築が行いにくい都会の中小病院や、改築費が調達できない町村立病院などでは未だに対応が遅れています。
居室面積は、患者さんの居心地にも関係ありますが、現行の病院では一人の病室の居室面積は4.3平方メートルですからおよそ2m X2.15mしかないことになります。療養病床は6.4平方メートルですから2.5m X2.5m位で一般病床に比べてかなり広くなっています。
ちなみに介護施設の居室面積は老人保健施設は一人8.0平方メートル以上、特別養護老人ホームは10.65平方メートル以上となっていますので、一般病床の病室がいかに狭いかがおわかりになると思います。特養の居室面積は一般病床の約2.5倍です。
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○人員配置基準
1.「一般病床」
医師は入院患者16人に1人、看護職員は入院患者3人に対し1人
薬剤師 70:1
(経過措置 平成18年2月末まで僻地の病院・200床未満の病院では
看護職員 4対1も認める。)
そのほか医師定数については外来患者数で異なる
2.「療養病床」
医師は入院患者48人に1人、看護職員は入院患者3人に対し1人
看護師・准看護師 6:1 看護補助者 6:1 薬剤師 150:1
人員配置は逆に一般病床では医師・看護職員が手厚く配置され、特に看護師はこれまで入院患者4人に一人の基準が廃止され3人に一人が最低基準となっています。勿論この人員配置基準は、各病床区分の最低認可基準です。
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○入院基本料 診療報酬
「一般病床」と「療養病床」の大きな違いは入院料の差です。ただし入院料は入院期間、一般と老人、平均在院日数(後で少し詳しく説明します)、看護職員の比率・看護師(正看・准看)比率などで大きく違っています。複雑すぎて現場の職員も説明できないでしょうし、ご自分が入院している病院(病棟)がどの入院基本料の病棟かは分かりにくい仕組みです。
2002年度の診療報酬改定では、入院基本料等の平均在院日数要件が以下のように改定されました。
○「一般病床」の入院基本料
一般の入院基本料は平均在院日数によって2群にわかれています。
その中で I
群の平均在院日数28日以内の病院(病棟)では、入院基本料1から5の5ランク。II群の平均在院日数29日以上の病院では、入院基本料3から5の3ランクに区分されます。そしてそれから看護職員の比率・看護師(正看・准看)比率などでさらに細分化されています。今回はI
群、II群の入院基本料だけ説明します。
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I 群 平均在院日数28日以内 診療報酬(点)
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II群 平均在院日数29日以上
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入院基本料の一番の高い入院基本料 1 でまとめてみますと
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しかし老人患者さんでは、14日、30日の加算は一般に比べ少なくなります。また入院料から下記の未実施の項目は減算される項目が設定されています。
「入院診療計画書」「院内感染防止対策」「医療安全管理体制」と「褥瘡対策」等です。これらの項目は実施して加算されるのではなく、未実施に減算されるものです。詳細は下記のページをご覧ください。そして老人患者さんだけ「90日を超える」一般病床の入院継続にもう一つ大きな問題があります。
この事については後述します。
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○「療養病床」の入院基本料
療養病床の入院基本料は平均在院日数による縛りはありませんが看護職員比率で2ランクになっています。
この点数は一般病床の基本料と比べてそんなに低くないと思われるかも知れませんが、一般病床の入院基本料と大きく異なるのは療養病床の入院基本料は、検査・投薬・注射・処置などすべて包括化された点数です。そのため療養病床の入院基本料が高点数と言うわけではありません。例えば、鼻腔栄養や胃瘻、気管切開、酸素療法、褥瘡、MRSAなどをもった重度の障害患者さんでもこれらの処置は全く認められていません。この基本料に包括化されているのです。
また療養病床では、加算点として、寝たきりや車いすのかたに日常生活障害加算40点、痴呆の問題行動で介護の手間がかかる方に痴呆加算20点が設定されていますが、一番看護・介護に手間がかかり時間がかかる「意識障害を有する」患者さんには日常生活障害加算や痴呆加算も算定できない矛盾を抱えています。意識障害があり、胃瘻・気管切開吸引、カテーテル留置などの重度の介護・看護が必要な方に加算が何もない、と言うか外してあるのです。この理由は全く不明で、早急の改善を希望していますが、診療報酬決定の際に、現場を知らない担当者が、経管栄養・気管切開吸引、カテーテル留置などは処置がとれるものと勘違いし、日常生活障害加算や痴呆加算をはずしたのではないかと思います。
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○厚労省が目論んでいる一般病床数
今回の改訂が、「一般病床」を削減させる目的であることは先に述べましたが厚労省はどれだけ一般病床数を削減しようとしているのかは今後の課題です。病床削減は厚労省が平成13年9月に公表した資料「21世紀の医療提供の姿」が根拠となっているものと見受けられます。
厚労省のコメントとして、現実的か否かは別にして2010年一般病院病床60万床説から42万床説までが飛び出しています。
現状の入院受療率を基礎とした受療率見込み及び将来人口により計算した試算では100万床(2015年度)・先進国並みの人口対病床数や現状の入院回数を基礎とし、平均在院日数を15日として試算した場合には60万床であり、42万床説は現状の入院回数を基礎とし、平均在院日数を10日として試算した場合の数字だとされています。
そして、その報告の中で「 急性期病床においては、医療従事者の手厚い配置と治療の重点・集中化により、早期退院が可能になる。外来については、専門外来・特殊外来等への特化が進み、他の病院・診療所との連携が進む。これにより、平均在院日数が短縮化されるとともに、急性期に必要な病床数は集約化し、一定の数に収れんしていく。」
「急性期病床の集約化・在院日数の短縮化により、急性期病床以外の病院病床は、リハビリテーションや長期療養のための病床となるなど、機能分担が進み、患者の状態に応じた最も適切な医療が適切な場所で提供されるようになる。」と示しています。
果たしてそうでしようか。二極分化には現場では疑問の声も挙がっています。
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○一般病床と療養病床だけで良いのでしょうか
一方、今回の改訂で本邦の入院施設は一般病床と療養病床に区分分けされる事になるのですが、急性期と、包括化された慢性期病床だけで良いのかは大いに議論されるべきだと思います。そうでないと困るのは患者さん・家族です。急性期病院から退院を勧告され、療養病床や介護保健施設にも行き場のない患者さんがますます増えていくことと思います。
それに対して四病協は「地域一般病棟」という新しい病床区分を提案しています。病床区分での一般と療養の間に位置する亜急性期を担う病床区分の提案です。それ提案は下記の通りです。
<急性期入院医療と亜急性入院医療>
・急性期病棟の対応する入院医療は急性疾患だけではない。重度の急性疾患(心筋梗塞、脳動脈瘤破裂、等)はもちろんであるが、悪性腫瘍、高度な専門的手術・治療等も、急性期病棟の提供する入院医療である。
急性期病棟は、重点的かつ高密度な入院医療を提供する病棟であり、基本的には短期入院である。
・それに対し亜急性入院医療は、急性期を過ぎた後なお入院医療を必要とする状態のみならず、疾患の程度により急性期初期からの入院医療にも対応できる病棟である。
亜急性病棟は、重点的・高密度な医療ではないが、適切な入院医療を提供する病棟である。
・療養病床は、長期にわたり慢性期の入院医療を提供する病棟である。
一般病床には、急性期病棟および亜急性病棟が含まれる。
亜急性病棟と言う名前が妥当かどうかは別にして、急性期を過ぎたという理由だけで、病棟から追い出される患者の救済や、療養病床での急性増悪の対応が出来る病棟として必要だと考えますし厚労省による単純な病院機能分化方針の弱点を補う提案として意義深いものでしょう。
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○老人は90日経ったら一般病床(病棟)から追い出されます
一般病院・病棟に入院の老人患者の入院費包括化が90日を超える入院患者に適応されていることです。
この制度は一般病棟に入院している高齢者(*一部の特定患者を除く)では入院90日(ほぼ3ヶ月)を超えると、医療費の入院診療報酬を低減し「老人特定入院基本料」という料金体制を適応し、看護・介護の職員の配置数ですこし点数は違いますが「1日928点=9300円程度」と設定され一般病院の点数とすればびっくりするような低い点数になっています。しかも、これは包括化された点数で検査・投薬・注射・処置を全て包括しているのです。
包括化とは「どんな検査をしても、どんな高額な治療をしても1日いくらで決まった点数である。何をしても同じである。」と言うことです。
これでは、1ヶ月約28-29万円の入院医療費しかならず、療養病床の包括入院費(月およそ34-36万)はもとより、介護保険制度の介護福祉施設(特別養護老人ホームの入所費月27-29万)とほぼ同額で、介護保健施設(老人保健施設の施設入所費・月およそ30-32万)よりも安い設定なのです。そのため一般病床では老人は90日経ったら継続入院が出来ない仕組みなのです。老人以外にはまだこの規制はありません。
この老人の90日規制と、平均在院日数による規制で一般病棟の老人患者は病院から追い出されているのです。
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*例外の規定
※特定患者とは90日を超える期間、同一の医療機関の一般病棟に入院している患者で、下記の状態にあるもの。
・別に定める重症の障害者、神経難病等の患者
・入院基本料の重症者等療養環境特別加算を算定している患者
・悪性腫瘍に対する重篤な副作用のある治療を受けている患者
・観血的動脈庄測定を受けている患者
・複雑なリハビリテーションを受けている患者
・ドレーン法若しくは胸腔又は腹腔の洗浄を受けている患者
・頻回の喀痰吸引を受けている患者
・人工呼吸器を使用している患者
・人工透析を受けている患者
・全身麻酔等を用いる手術を受けた患者
これらの患者では90日を超えても「老人特定入院基本料」を選択せず出来高払いが行えることがある。
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○【平均在院日数】とは
病床の違いはこれまでに述べてきたとおりですが、入院に際して益々今後厳しくなるものに平均在院日数があります。
平均在院日数とは、平均すると患者がどの位の期間病院に入院していたかを表す指標で、平均在院日数が少ないほど入院基本料が高く設定され病院の収益性に大きな影響を及ぼす要素の1つですし、世界的に日本の平均在院日数が長すぎ、入院医療費の削減の標的にされているものです。平均在院日数だけで病院の評価したり、在院日数を減らすだけでは病院と患者・家族の信頼関係を崩壊させてしまい、平均在院日数一辺倒の制度に疑問がありますが、少し説明します。
平均在院日数にはいくつかの算定方法がありますが、ここでは厚生労働省の「病院報告」で用いられている計算式を紹介します。
平均在院日数は次の計算式で表されます。
その期間の在院患者延べ数
平均在院日数 = ------------------------------------------
(期間の新入院患者数+期間の退院患者数)/2
(一般的に報告・申請時の期間は3ヶ月が使われています。)
仮にある月の1ヶ月で病床数100床の一般病床の平均在院日数20日とはどのような状態かを計算してみます。
●例えば毎日の入退院が各々2人、月60人程度の入退院だとします。在院はほぼ満床の常時100人とすると、
その月の平均在院日数は、
(100人×30日)÷(60人+60人)/2=50.0日
で毎日2人の入退院では平均在院日数は50日となることになり、平均在院
日数20日ならば毎日の入退院が各々2人では全くダメなことがわかります。
それでは100床の病院で平均在院日数を20日にするためには
毎日の入退院が各々5人とすれば、その月の入院または退院の合計は5x30=
150人ですので。
平均在院日数は
(100人×30日)÷(150人+150人)/2=20.0 日
となり、丁度20日となり100床規模の病院で満床なら毎日5人、月150人の入退院が必要だと言うことです。
このように平均在院日数の計算式は入院患者さんの在院日数を日付で数えて平均したものではありません。個々の患者さんの入院期間は一切関係ない式です。もし、2年も3年も長期入院している患者さんがあっても、10年以上の入院継続だとしても平均在院日数の算定方法はその調査期間内の在院延べ数ですので、長期間の入院自体は平均在院日数には影響は少ないと言うことです。
ただ平均在院日数を維持するために入退院が少ない月には、分子(その期間の在院患者延べ数)を減らすしかないのです。その時は空きベットがありながら退院させなくてはならないこともあるのです。ベットの有効利用という点でも大きな問題点でもありますし、平均在院日数を守るため空床をたくさん作ることは、「一般病床」はそれほど数は必要ないと、とられても仕方なくなります。
例えば100床で平均在院日数20日確保には、1日平均5人の入退院が必要でしたが、その月の入退院が1日平均3人しかなかったとすれば、上記の式から20日維持のためには分子は60床分にするしかないので、その月は40床空床で運営するしかないと言うことでもあります。そうしなければ入院基本料の算定ランクが下がってしまうからです。
「平均在院日数20日」という世界がどんなものか、おおよそ分かって頂けたでしょうか?
そして、今回の改訂では急性期を治療する一般病床ではその数字が17日になろうとしているのです。
平均在院日数に振り回される日本の入院制度が見えてきます。
病院の施設規模を一定とした場合、病床利用率を高く(空きベッド数を少なく)維持したままで平均在院日数を短くすることができれば入院患者の回転率が高くなり、入院収入の増加につながると言えます。
そのため、急性期病棟では長期入院が予測される重度の高齢者では、病状が安定する前から退院勧告が行われているのです。また逆に救急患者の経過観察の為の1日や数日の短期間入院は増えていると思われます。平均在院日数を維持するためにはこれが一番効果的だからです。なにかおかしい気がします。
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○参考サイト
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このページの概要は「かかりつけ医通信58号」に掲載されています。