1
ソドムの街の中心部にある市民ホール。
その日、ある一人の女性の演説を聴く為に多くの市民がそこへ集っていた。会場の手前には演説のタイトルが大きく張り出されていた。
そのタイトルは「女性差別をなくそう」
会場に詰め寄せたのは殆どが女性。だがその格好からすると誰をみてもバベルやソドムの街の裕福層の住人ばかりであった。市長や知事の簡単な話が終り、そして司会の紹介が終わると、用意されたステージの上におそらく裕福層の中でもさらに豪華な衣装を着た女性が登場した。ヘラである。
「みなさんは知ってのとおり、大戦後、ソドムの街はシハーで最も巨大な繁華街を根に栄えてきました。近年では諸外国からの観光客も多く受け入れ、この街は更に発展することでしょう。ですが、この発展の裏には多くの女性達の苦労があります。この街の繁華街では多くの女性達が毎晩、男性客を相手に商売をします。それが昔から当たり前のように行われてきましが、はたしてそれでいいのでしょうか?隣国、アルザタールではそのような商売を国が禁止しています。これは女性にも礼節を、という国風にもよるものなのですが…シハーはこのままでいいのでしょうか?。いえ、いいはずはありません。想像してみてください。皆さんの娘さんがソドムの繁華街で働く姿を…。これは街ぐるみで女性差別を行ってきた文化が染み付いた結果です。一日も早く、その文化を無くすために、どうかご協力をお願いいたします」
そしてその後巻き起こる拍手。
ヘラが拍手の音を満足気に聞き終わったのを確認して司会の男は言う。
「え〜…ご質問等はありますか?」
会場の中で数人の女性が手を挙げる。
「え〜…一番左の青い帽子の方」
司会が指名すると、おどおどとしながらその青い女性が立ち上がり彼女の質問を言う。
「えと、ここで集められた資金を使って具体的にはどのような活動されるのでしょうか?」
自分の質問を言い終わると立っている事自体が後ろめたいのか素早く着席する女性。それを確認してからヘラは満足気に質問に答える前に一息ついた。そして話し出す。
「まずそのご質問にお答えする前に、何故この街では女性があのような仕事をしなければならないのか、その理由からご説明します。彼女達は大半が戦争の孤児達です。親がなく住む場所もなく食べていくため、生きていくためにそのような仕事に就いているのです。お金があり住む場所があれば、そのような仕事をする必要もないでしょう。皆様からの資金を元にシハー女王へと法の改正を要求いたします。彼女達への特別救済資金を税金の内から出してもらうのです」
会場がどよめく。
次に質問はないかと司会が尋ねると、先程よりも多くの人の手が挙がった。
「今の国の情勢を考えると税金からそのような目的で資金が出るとは思えないのですが…」、というのは次に指名された女性からの質問だ。
「シハーの女王も、私も、そしてこの会場にいらっしゃる方々もみんな女です。同じ女であれば、ソドムで働く女性達の苦しみも解るはずです」
そして再び会場はどよめいた。
2
所変わって市長の部屋。
演説を終えたヘラと市長のアスモンドが話をしている。
「集まった資金をどう使うつもりなんだ?」
と市長のアスモンドが言う。
「その資金で政府の高官に法改正を依頼するわ」
「政府の高官は金魚の糞のように女王について回っているだけだぞ。彼らに金を渡しても女王を動かすことは出来ない。それぐらいは知っているだろう?」
「知ってるわよ。でも全く動かせないわけじゃないでしょ?女王だって忙しい身なんだから法の…いえ、税金の使い道の一つ一つに目を通すわけじゃないでしょう?なんでも塔に篭って研究を続けてるって聞くし。なんなら女王の目の届かない所に小さな税金使用枠を設けてその資金をソドムの街にだけ回せばいいのよ」
「そんな半端な資金で何をしようというんだ?」
「その資金は私とあなたで山分けよ。あなたは店を潰すのよ」
「え?」
「2、3件でいいわ。そこに勤めている身寄りのない女性はバベルやゴモラの金持ち連中に上玉なら奥さんとして、じゃないのなら、メイドにでもして売ればいいのよ。店が潰れたらそこで働いていた女性は解放されたって思われるわけだからね。彼女達がそれからどうなったのかなんて誰も気には停めないわ。これで街の汚いイメージは少しはなくなるわ」
「それでは身売りじゃないか…そんな事をしたら捕まってしまうよ」
「売ってないわ。その金持ち連中からお金を貰ったら"売った"事になるけれど」
「う…う〜む…し、しかし…たかだか2、3件店が無くなったところで…資金を提供してくれた人は納得してはくれんだろう?」
「それは資金の提供が少ない証拠ね。それを理由にもっと資金が必要だって口実になる。この運動を繰り返していけば確実に金になるわ。最終的にはこの孤児達がいるのは戦争を起こした国の責任なのだから、国からさらに資金を搾り取ってやればいいのよ」
市長は頭を抱えた。
「ヘラ…シハーはアルザタールとは違う。あの国ほど国民に寛容な政府ではないんだよ。もし今の発言を兵に聞かれたのなら、わしらは処刑されるぞ」
「今はね。いずれこの国もアルザタールのように変わるわ」
「そう何もかもがうまく行けばいいんだが…」
その時、部屋をノックする音が響く。
市長が「どうぞ」と言うと、扉を開いて顔を覗かせたのは屈強な身体の男だ。
「あら、そろそろ時間だわ」
どうやら男とヘラは知り合いのようだ。男が静かにヘラに会釈をしたのを見て、市長は彼女がまた新しい部下を雇っているのだとわかった。そうやって街で彼女の気に入る若い男を見つけては自分の部下にして連れ回るのだ。勿論、ついていく男達は彼女が目当てではなく、その財力が目当てなのだが。
3
ソドムの街で情報集めをする間、はつみ達は街で休息を取ることとなった。男が夜楽しめる街であるソドム、女達が楽しめるのは昼間のショッピングぐらいだ。その日もはつみ、キサラ、ナツメグの3人はソドムの商店街を訪れていた。
はつみが先頭になって商店街の人混みを割って歩いていた3人だが突然足を止めて先のほうに目を凝らすはつみ。
「どしたの?」
とナツメグが聞くと、目を凝らした方向にはつみは指を差し言う。
「ジッタがいる…」
「本当ですわね」とキサラ。
もう既にその頃には酒癖の悪いジッタはメンバーの女達からは嫌われていた。ナツメグやマハは力が強く、ジッタが絡んできても魔法で黒こげにしたりサンドバッグ状態にさせたりと返り討ちに会わせてしまうが、はつみやキサラは力が弱い為、絡んでくると逃げるしか出来ないのだ。(ナジャとミーシャも女だがジッタはあまり興味がないらしい)
「大丈夫、絡んできたらアタシがこの蹴りをお見舞いしてやるわ」
そう言ってナツメグは宙に向かって軽く蹴りを入れた。そしてそんな誇らしい姿を尊敬の眼差しで見つめるはつみ。一方でジッタの行動に注視していたキサラが叫んだ。
「来ましたわ!」
ジッタはかなり酔っ払っていて前を見て歩いていることすら怪しかったが、何故かいつも絡むはつみやキサラがいる事に気付くと猛スピードで人混みをすり抜けて近付いてきた。
「ちぃ…ケダモノめ」
そして「ハッ!」というかけ声と共に先ほど宙を蹴った時よりも鋭いナツメグの蹴りがジッタの腹部に命中した。ナツメグが時折みせる特殊な蹴りや突きは見た目は相手を跳ね飛ばすほどの威力があるように見えるが、力の中心点を正確にコントロールする事で最も大きなダメージを一転に集中させる事ができるのだ。その為無駄に力が分散されずに、ジッタの小さな身体も蹴りを受けても跳ね飛ばされる事がない。
「秘儀…3年殺し」
まるで突き刺した剣を引き抜くようにゆっくりとジッタの身体から蹴り足が引き抜かれていく。その一方で彼は震えながら腹を押さえ、そして暫くしてから嘔吐した。
「さっ、今のうちに逃げるよ!」
ナツメグの声の後、はつみ達はジッタに見つからないよう遠くまで逃げていった。
一人残されるジッタ。彼がその場にゲロを撒き散らしている為か、周囲の人々も鼻をつまみながら彼の周りを避けるように歩いている。
「お、お、俺様が何をしたって言うんだ!!」
先ほど自分がはつみやキサラにしようとしたことはどこかに置いておいて、街道の真ん中で空に向かって叫ぶジッタ。突然大きな声を張り上げるので周囲の人々は驚いてさらに彼の周りを避けて歩いた。
「ったくどいつもこいつも…興ざめしちまった。飲み直すか」
ぶつぶつ言いながらジッタは周りにある飲食店をみる。飲み直すにしてもソドムでは基本的に飲み屋街は夜にならなければ開かない為、その時間帯に空いている店は飲み屋というよりはごく普通のレストランである。
「ふむ。たまにはこういう店もいいか」
とジッタの目がとらえた店は小洒落たアルザタール風の建築物。おそらく扱う料理もアルザタールのものなのであろう。ジェノバにはいくつもそんな店があったからか彼は懐かしんでそんな店を選んだのかもしれない。だが酔っ払いのフラフラした足取りで入るには少し場違いな雰囲気の店ではあるようで窓から覗いてみた限り客層は女性ばかりであった。
4
店内に入るとやはり外から覘いてみた時と同じ様で、カウンターもない為ジッタはそのまま出ることを選んだ。だが彼にそうさせない決定的な理由があった。ウェイトレスである。アルザタールのメイド風の格好のウェイトレスがジッタをテーブルへと案内してくれたのだ。
ジッタは目を血走らせながらウェイトレスのスカートと太ももを見つめていた。
「ご注文がお決まりになりましたらお呼びください」
「お、お、俺様はこういう店は始めてなのだが、どこまでお触りがOKなのか子一時間問い詰めたい…激しく問い詰めたい!」
「あの…お客様、当店はそういった事はサービスには御座いませんけど…」
ウェイトレスは苦笑いをしながらダメ客を軽くあしらった。
「そ、それは残念…注文は…ええと、俺様は本日のお勧めがいいかな?。まぁ、俺様の中での一番のお勧めは君のガーターとストッキングのつなぎ目と意外とのミニなフリフリスカートかな…フフフ」
ウェイトレスはジッタの注文を貰うと直ぐにその場を立ち去った。帰り際にジッタには気付かれないように「ウェェッ」としかめ面をしながら。
注文が来るまでの間はジッタはウェイトレスの尻やガーターとストッキングのつなぎ目をまるで物思いにふける哲学者の様な表情で睨んだりした。ウェイトレスがジッタの視線に気付いてなるべく彼の側を通らないようになると、つまらなくなったのか今度は他のテーブルの客達を眺めた。
その店は女性がほぼ客をしめる割合だったが、ジッタの背後の客だけは女性一人に対して男性が3人という少し変わった組み合わせだった。そして聞こえてくる話し声も少し意外な内容だった。
「今の市長、ダメだわ。腰が引けてる」
「どうされました?」
「シハー政府の高官に話を持ちかけろって言ってもダメだの無理だの、やりもしないのに決めつけるのよ。彼には欲求が足りないわ」
「欲求ですか。男には重要な要素ですね」
「そうよ、男は貪欲じゃなくっちゃ。男が求めるから、女も楽しいのよ」
そんな会話をしているとジッタも少し耳がそちらに向いていく、一体どんな容姿の女性が話しているのか気になった彼は思わず振り向いて背後のテーブルに座る客を見てみた。だが案の定、ジッタの範疇にはない年増の女と彼女よりは随分と若いたくましい男3人。ジッタは知る由もないが、ヘラと彼女の部下であった。
ジッタは「ウェェッ」としかめ面をしながら反らしていた身体を元の体勢に戻した。そして背後のテーブルの4人に聞こえないような小さな声で言う。
「ったく、あんな年増な女のどこがいいんだろうねぇ…あいつ等の母親ぐらいの年齢じゃないか?どうかしてれるぜ…世の中はよぉ。女は若いのがいいに決まってるじゃねーか、それが自然の摂理って奴だぜ、うへへ」
先ほど注文をとりに来ていたウェイトレスと目が合ったので軽くウィンクするジッタ。またも苦笑いで、そして軽く会釈をしながら彼女はそれに反応した。
「また始末するしかないのかしらね」
その声は背後のテーブルから、ヘラの声であった。
ジッタはピクリと身体を反応させて注意深く声を聞いた。その話は聞きようによっては冗談とも本気とも取れる内容であったが、今の彼には別の意味で刺激的な内容だった。
「始末…ですか?」
「今度はあなたが市長をやってみる?市長ってガラじゃないけど、若くてたくましい男が市長ってのも画期的でいいじゃない?」
「ヘラさんの頼みなら何でもやりますよ」
「あら、うれしいじゃないの。そんな事を言う市長が欲しかったのよ」
「美しい女性の頼みを聞いて上げる事が幸せじゃなければ、男としての機能不全ですよ。今の市長は既に男としては終わってるんじゃないですか?」
「そうよ、この街には不細工な男はいらないのよ。あなたたちみたいな可愛くてカッコイイボウヤ達で世界が満たされていたらいいのに。残念な事に不細工な男が多いのよね」
ジッタにとっては聞けば聞くほど反吐が出そうな話であった。しかも不細工だと罵っているのは彼にとっては射程外の年増な女である。もし仮にもジッタが沈酔状態だったのならテーブルをひっくり返して殴りかかっていたであろう。幸いにも先ほどのナツメグの3年殺しなる蹴りが酔いを醒ましてくれたのか冷静に座ったままで居られるのだ。
そしてジッタの注文した品が届くといち早く店を出てしまおうとそれを口に流し込んだ。ふと店の入り口に目をやると数人の男性客がなにやら店員ともめている。
「申し訳御座いません、ただいまレディースタイムで御座いまして…」
どうやらこの店に入ろうとした男性客が店員によって入店拒否されたようだった。
「男の客が数人いるみたいだが、なんで俺達はダメなの?」
「女性のお連れの男性客と、レディースタイム外で既に入店された男性客の方です」
「ちっ、スィーツどもが!」
その男性客達は捨て台詞を吐き散らしながら立ち去った。
それを見ているとジッタもその店には居づらくなり、さらに食べるスピードを上げて早々に皿の中身を空にした彼は、料金をテーブルに置いて店を出た。
5
夕方、風雅達が宿泊するホテルのレストランには普段夕食時には顔をみせないジッタの姿があった。ロイドとヤン、ジッタは夕食時には既に飲み屋街へと出掛けていてレストランで風雅達と共に食事をすることなどソドムに来てからはなかったのだ。
「おや、珍しいメンバーがいますね」とテーブルについた豊吉はそれに気付いた。そして引き続いてマハが来ると「あら、なんでジッタ、あんたここにいるのよ?」とマハらしい反応を示した。だがそれが気に障ったのかジッタはいつもの勢いでマハに襲い掛かった。
「悪いのか!俺様がここにいちゃぁ悪いのかぁぁ!」
マハはそれを軽く右足のつま先で受け止めると、詠唱を始める。
「アンタまた三途の川でおじいさんと挨拶交わしてきたいみたいね」
周囲のマナの反応からそれが雷系の呪文である事がわかる。以前、炎系の呪文でジッタを懲らしめた際に走り回って火事を引き起こしそうになった為である。
「まぁまぁ、今回はワケありのようですよ」
そういって豊吉はマハの詠唱を中断させた。
「いつもいないから驚いただけでしょ。別に悪くないわよ、どうしたのよ?ワケを話してみなさい、聞いてあげるから」
「うぅ、ひぐっうぇ…この街じゃあ不細工な男はいちゃあいけねぇって言われるんだよ」
嗚咽を漏らしながらジッタが言う。泣いてはいたがジッタの背丈から丁度覗けるマハのパンツを見ながらの台詞であった。だがそんな彼の行動に気付かずマハは、
「何それ?っていうか、アンタ不細工なのを嘆く暇があったらその行動を嘆きなさいよ」
「で、誰に言われたんです?ジッタ社長の普段の行動からすれば、メンバーの女性ならはつみさん以外なら誰でも言いそうですが…」と豊吉。
「ヘラって呼ばれてるクッソババアだよ!自分の子供ぐらいの年齢のマッチョな男3人はべらせて、防腐剤みたいな匂いの香水を周囲に撒き散らしながらメシ食ってやがったんだ!くせぇのなんのって!反吐が出そうだったぜ!畜生め!」
「ヘラ?豊吉、知ってる?」
「さぁ…誰でしょう?有名人ではなさそうですが」
そんな話をしていると同じく夕食を摂る為に現れたデスティンを見つけてマハが問う。
「ねぇ、デスティン、ヘラって誰か知ってる?」
「ヘラ?ヘラ・ディアナンスかな。この街では少し有名な金持ちだよ」
「ふ〜ん…」とマハが軽く反応するのとは逆にジッタは血管を額に浮かべながら叫ぶ。
「金持ち!金持ちか!やっぱりな!金持ちはクソだ!どうりでクソな匂いがしたんだ!」
その叫び声は同じく夕食を摂る為に来たはつみ、テト、キサラの耳にも十分に入った。そして案の定キサラの真っ赤な目が更に鋭くジッタを睨みつけたのだった。
「なんですの?わたくしが何か貴方に悪い事しまして?」
「い、いや違うんだよ、お前じゃないって。で、どんな野郎なんだヘラって奴は?」
デスティンは思い出すように少し斜め上を見ながらアゴの無精髭を触った。
「確か、活動家でもあったかな。女性差別解放運動のね。裕福層からの支持は強いけどね、街で働く殆どの人からは女性差別解放などと言いながら売春の手助けをして仲介手数料を手堅く貰ってるって噂があるなぁ…」
「んだとぉぉぉ…許せネェ…俺様が鉄拳制裁してくれる」
それを聞きながら呆れた顔でマハが言う。
「何が鉄拳制裁よ、アンタだって金払って女買ってる輩の仲間じゃないの…」
「違うっ!悪い奴が悪い事をするのは全然構わない、ってわけじゃないがまだ許せるんだよ!俺様が言うのは外っ面は善人気取りで裏で悪い事してるって事なんだよ!」
とジッタは鼻息を荒くして言う。その意見には誰もが賛成したみたいだ。だが豊吉は水を差すように言う。
「ジッタ社長が怒るのは十分理解できますけど、我々の目的はそういうのに鉄建制裁する事ではないですよ。そういう事は本来は警察がなんとかするものですよ」
と。だがそれに返すようにデスティンが言う。
「まぁ本来警察がなんとかするものなんだけど、シハーではつい数年前まで警察はなくて軍隊が警察の代わりみたいな事も兼ねていたんだ。最近になってアルザタールを真似て警察は出来たけどまだまだ成長途中というか、権力が弱いというか。それになんだかんんだ言ってもソドムの街を支えてきたのは歓楽街だからね。それを操ってきたヘラみたいな連中には頭が上がらないのも事実だよ」
そんな話をしていると、既にメンバーはロイドとヤンを除いて全員が揃っていた。カイは既に食事を始めている。そして風雅が皆が揃ったことを確認していると、そこにジッタがいる事に気付く。
「社長は今日はいるのか。丁度よかった」
「ん?」
「社長のお目付け役でカイがいるのはみんな知ってのとおりだが、どうもそれだけでは不安らしい。で、アルドという男もお目付け役としてこの街に来ているそうだ。これから共に行動するかは解らないんだが、一応連絡まで」
風雅のそれを聞いて豊吉は首を傾げる。
「アルド…?どこかで会った事がありませんか?」
「えぇ、俺達に情報を提供してくれている男です」
「ふむ…」
と、そこで口の中に大量の食べ物を押し込んでいたカイが、まだそれを飲み込まないうちに話に入る。
「元トレジャーハンターだよ。今はオレと同じ、何でも屋やってるけどね」
「知ってるんですか?」
「あぁ、オレと一緒にジッタ社長を暗殺、じゃなかった、捕まえるために雇われてたんだ」
口の中から食べ物を撒き散らしながらカイが答える。
風雅が言う。
「元トレジャーハンター…か。彼なら色々と秘宝について知っているかもしれないな」
「ですね…」と豊吉。
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