かけらになる時


その2




たった一つの願い

たった一つの想い

たった一つの



夢幻の世界へ さらわれて

ただ 泣いていた

あの日々

闇の刻印(しるし)を穿たれて

希望を見失った

あの時

支配せよ 君臨せよ

与えられた血が騒ぐ

でも 嫌だ

それは 嫌だ

生まれた世界と違うけど

ここにも人が 住んでいる

笑顔が眩しい

温かい人たちが

そして 彼が

誰よりも眩しい彼が

闇から私を救い出した

私が

心に想いし人が

しかし 刻印(しるし)は変わらない

心は光 身体は闇

もとの世界へ帰る術を

見つけてさまよい

たどりついた城

乱暴だけど優しき人に

もてなされ過ごす

安息の日々

しかし 光は

仮初めだった

人は 闇に

そそのかされた

優しき人は 心まで

心の底まで 鬼となって

私に

獰猛な牙をむいた

闇の刻印(しるし)が譲れるならば

誰であろうと 譲るのに

闇の刻印(しるし)が捨てれるならば

今すぐにでも 捨てるのに

「一緒に 帰りたかったね

健太郎君・・・」

そんな想いを胸に抱く

私のことなど意に介さず

優しかった人は

私を

打ち据え続けた



<前へ><次へ><戻る>