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しぶき記事

労働者処遇改善へ 最低賃金引上げ
使用者負担軽減が景気好循環のカギ

最低賃金 広島県は11月1日から1085円に

 広島県最低賃金審議会が最低賃金(以下最賃)を中央最賃審が示した目安額63円を2円上回る65円引き上げることを決定しました。広島県の最賃は1020円から1085円になります。ただし今年の改定日は、例年の10月1日からではなく、11月1日からとなりました。

最賃の地域間格差 人口流出の原因の一端

 最賃とは、この金額を下回る賃金で労働者を働かせてはならないという最低賃金法で定められた基準額です。都道府県ごとに最賃(時間額)が決定する仕組みですが、最高額の東京都と、最低額の地方では200円を超える格差があり、地方から大都市部への人材流出を止めるため、「最賃の地域間格差の是正が課題」との認識が、最賃の低い県や自治体で広がっています。

各地で地域間格差是正にかつてない動き

 こうした地方の危機感を象徴したのが、昨年の徳島県で、後藤田県知事が最低賃金審議会に引き上げを要請するなど働きかけ、中央の目安額50円を大幅に上回る84円の引き上げを行い、関係者間で「徳島ショック」と呼ばれました。徳島県は大阪府や兵庫県など賃金の高い地域と隣接し、時給の差が地域社会へ大きな影響を与えています。
 今年度も、地方最賃審で、目安額からの上積みをした地方が相次ぎ、広島県でも2円ですが、目安額からの上乗せがありました。

発効日遅れれば 格差広がる

 一方で、発効日のずれ込みが一部の県で極端に遅いことが新たな問題となっています。群馬県は発効日が3月1日、一番遅い秋田県は3月31日で、半年も遅れたら、時給の引上げ効果は半減。目安額を大幅に上回る80円の引上げにも関わらず、労働者が受ける賃上げの恩恵は40円分になってしまいます。また、発効日までは他の地域との格差が開いてしまうため、例えば東京都とは半年間は格差が63円分拡大してしまいます。事業者側の支払い事情を理由としていますが、最賃を引き上げる効果が大きく損なわれてしまいます。

中小業者の支援も不可欠

 中小事業者の厳しい経営状況を生んでいるのは、消費税増税やインボイス制度の導入など、物価上昇と税制のなかで苦しむ中小零細業者に、物価高騰や賃上げのための支援策を打ち出してこなかった政策にあります。
 賃上げを経済成長のカギとするには景気回復の好循環を生み出せる仕組みが必要です。事業者側への社会保険料の負担軽減など、事業が続けられる政策がなければ、価格転嫁できない中小零細業者は追いつめられてしまいます。最賃引上げの政府目標は2030年までに1500円です。今年の引上げ幅でも追い付けませんが、中小業者が賃上げに対応できる政策がなければ、賃上げと景気回復の好循環につながりません。

女性部要求書提出
ジェンダーギャップ解消の取り組みで
女性も活躍する環境を

女性部は要求書を人事部長に提出

 9月26日女性部は「広島市に働く女性労働者の労働条件の改善に関する要求書」を人事部長に提出しました。

具体的な要求項目に沿って改善を訴える

 要求書では、
@働く女性の願いに逆行する「自治体リストラは」はやめること
A賃金・労働条件の改善について
B真の男女平等の実現と女性の働く権利の確立
C会計年度任用職員、定年延長、再任用職員について

5項目の要求をしました。
●昨年から要求していた「健康サポート休暇(生理休暇)」に、男女共にある「更年期障害」や障がいのある職員の治療、職場復帰するための検査、通院なども対象を拡大すること。
●ジェンダーの視点からトイレの改修が必要なこと、国がトイレの待ち時間の男女格差をなくす是正を検討していることから、現在、本庁の女性トイレは3・4階だけですが、増やす検討をしてほしいこと。
●技師の被服改善、熱中症対策の義務化に伴う水分補給、1時間を超える業務でのファン付き作業服の貸与などを行うこと。
●人間ドックの節目には、更年期血液検査などを含めること。
●短時間勤務制度など気兼ねなく取得できるためには、正規の代替を増やすこと。
●出産補助休暇の対象を、親にも拡大すること。
●定年延長、再任用職員の役割分担、給与形態を抜本的に見直すこと。

等、具体的な要求項目に沿って、職場の実態や社会の変化に応じた必要性の高まりなど具体的に述べて改善を訴えました。ジェンダーギャップ解消の取り組みで、女性が活躍するためにも長時間労働の是正、休暇が取りやすい職場環境など労働条件の改善や人員体制の確保が大事だとし、要求書への前進回答を求めました。

信頼と学びを大切に子どもたちと共に歩む
児総センター支部 第38回定期大会

児童総合相談センター支部第38回定期大会

 9月22日、児童総合相談センター支部の第38回定期大会が開催されました。

学びの継続と信頼を大切に

 第一部では、来賓として塩見副執行委員長が挨拶に立ち、「全障研全国大会の準備に携わる中で、多くの仲間が『信頼関係』と『学びの継続』を大切にしていることを学んだ。そのためにも、互いに『大丈夫、だいじょうぶ』と声を掛け合える余裕ある環境づくりが重要だ。政治など社会の大きな流れをよく見据え、私たちの要求を訴え続けることで社会を変えていこう」とエールを送りました。
 この1年間の取り組みとして、要求に基づく職員の増員や、老朽化した通園バスの更新が実現したことが報告されました。また「障害児子どもまつり」では、コロナ禍以降初めて「あそびの広場」が復活し、障害の有無にかかわらず、子どもたちが共に遊び、喜びを共有できる場の大切さを改めて確認しました。

仲間とともに学んだ全障研大会

 第二部では「全障研全国大会に参加して〜発達保障の実践と運動〜」と題し、全国大会の様子や実践報告の振り返りが行われました。その後、感想交流では、「『障害が重ければ重いほど、心を尽くして育てていくのが人としての道』という被爆者の方の言葉に深い愛を感じた」「実践を通して、子どもの愛しさや子育ての苦しさを含めた成長を実感し、仲間と共に学ぶ喜びを感じた」などたくさんの感想が寄せられました。
 療育を進めていく中で、子どもが「今日も来て楽しかった」と感じられる一日一日を大切にしながら、労働組合として制度や情勢を学び、みんなで力を合わせて働きかけていきたいです。

働くもののいのちと健康を守る広島センター第22回総会
トイレの男女別・洋式への更新など
労働安全衛生や使う立場から議論
市役所本庁のトイレ改修も報告

いの健広島センター第22回総会

 9月30日、東区のロードビルで、働くもののいのちと健康を守る広島センター(いの健広島センター)の第22回総会が開催されました。門田事務局長からは、安全衛生活動講座の開催や労働局への要請行動、中四国ブロックセミナーなどの取り組みの報告、労働者のいのちと健康を守る取り組みを発展させる方針、新役員体制が提案され、賛成多数で承認されました。

新しくなった本庁女性トイレ
新しくなった本庁女性トイレ

 続いて、「トイレ・休憩室を考えてみよう!職場の安全衛生とジェンダーの視点」というテーマで、職場が抱えている課題や悩み、改善点について参加者から報告が行われました。女性用トイレの不足や和式から洋式便器への更新、休憩室の整備など、市役所や学校、児童館などの公共施設をはじめ、駅や商業施設における現在の課題と改善状況に関する発言や意見が交わされ、トイレや休憩室が、快適な職場環境の整備だけでなく、労働者の安全と健康の確保につながるものであることを確信する総会となりました。

相談員が疲弊しては よい対応できない
現場の声を尊重し 職場環境の改善を
消費生活相談員 要求書提出

要求書を消費生活センターに提出

 9月19日、「消費生活相談員の労働条件改善等に関する要求書」を、消費生活センター久波所長に提出しました。
 はじめに、亀井委員長が「消費生活相談員を専門職として相応しい職位に位置付け、職務内容に見合った水準まで賃金を引き上げることや、来所・電話相談、特に対応困難な事案における正規職員による相談員のフォロー体制を整えること」などの課題認識を伝えました。
 その後、現場の相談員から「カスハラについては組織としての対応を求めたい」「相談員をマネジメントできる正規職員が必要」「ナンバーディスプレイ機能の電話導入希望」「正規が電話の回線数を管理し、相談員の負担が増え疲弊を招いている」などの意見がでました。特に、相談員の疲弊は切実な訴えであり、緊急の課題でもあります。回答は3月に予定されています。少しでも労働条件が改善されるよう、実りのある回答を期待します。