第18回地方自治研究全国集会in広島
自治体行政の様々な課題
住民や全国の仲間とともに学ぶ
第12分科会「自治体DXの現在地と課題 −現場の実態と今後の方向性」
現地実行委員会として広島自治労連などが中心に、2年にわたって準備してきた「第18回地方自治研究全国集会in広島」が、10月3〜4日に広島市内で開催され、全国の自治体・公務公共関係労働者、研究者、住民、市民団体等から、のべ1300人が参加しました。2日間を通じ、レポート報告者、実行委員や要員スタッフ兼参加者として、広島市職労からも多くの組合員が参加し、地方自治研究全国集会の成功を後押ししました。
1日目の様子は、自治労連「ひろしま」のニュースに譲り、参加した分科会の様子を紹介していきます。
第8分科会の報告
すべての子どもが保育を受けられる
その権利についての学び
第8分科会「保育の現場で権利を考える」では、広島から豊かな保育をすすめる会の実践、自治労連保育部会の��すべての子どもが教授すべき権利としての保育�≠�目指した保育政策の報告、「子どもたちにもう1人保育士を!」の運動、広島・京都・高知の��こども誰でも通園制度�≠フ各地の状況を学び合いました。また、中央大学の小尾晴美氏から保育士の権利について学習しました。参加者からは、親の就労のためだけでなく、すべての子どもが権利として保育を受けられる政策をめざす取り組みが印象に残ったとの感想が寄せられました。
第12分科会の報告
AI運用のリスクと課題
第12分科会は、自治体DX・デジタル化の課題がテーマでした。
2年前も同内容の分科会がありましたが、どんどん状況が変わり、追いつくのも大変です。ガバメントクラウドやシステム標準化も、この間稼働段階に入り、どちらも運用コストが増大し、自治体を苦しめている面があります。
業務の民間委託に伴って、業者側に個人情報が渡っていることも問題ですが、行政機関がクラウドで保有している住民の個人情報が、米国企業運営のために、トランプ大統領が事業者に閲覧を要求する〈やりかねない〉リスクも指摘されました。
話題の中心を占めたAIについて、依存すると職員の専門性が失われることや、データセンター設置には、膨大な電力や水が必要となり環境に大きな負荷がかかること、AIの暴走リスクなど課題が多くあることを参加者で確認しました。
必要な合理的配慮 まだまだ認識不足では
誰もが働き続けられる職場環境を
障害のある職員の要求書を提出
10月6日、障害のある職員の声をもとにまとめた「障がいのある職員が働きやすい職場を求める要求書」を当局へ提出しました。障害のある職員からの相談や交流を通じて実態や課題を共有し、年1回の要求書提出を継続しています。
要求書の提出にあたって、木下書記長は市職労で受けた相談のなかでも、本人の特性と合っていない部署への配属になり、当事者も職場も苦労するケースがある。法定雇用率を守るために採用はするが、その後のことが現場任せになっているのではないか。中途退職も残念ながら一定数はある状況だと指摘しました。
寄せられた組合員の声として、「繁忙期に周りの職員が100時間超の残業になり、自分も80時間の時間外をせざるを得ず、その後体調を崩してしまった」「人事評価では上司が変わっただけでDからBに評価が大きく変わった」「片道2時間以上かけて通勤する職員がいる」などの実態を挙げ、職場での合理的配慮が行き届いていない現状を訴えました。
当事者が抱える実際の困難や生きづらさが十分に把握されているとは言えない。また管理職が描く職員像から外れることで評価に影響が及んでいるのではないかとの不安の声もあります。
障害のある職員が安心して働き続けられる職場づくりのためには、障害への理解を深め、一人ひとりの違いを認め合う多様性尊重の視点が欠かせません。今回の要求書は、広島市に対し責任をもって、真に実効性のある合理的配慮と職場環境の改善を求めるものとなりました。
窓口時間短縮の動き 拡大中!
準備や片付け時間のサービス残業 解消へ
政令市の窓口短縮の動き(給与課より情報提供)
いま、さまざまな自治体で窓口時間短縮の動きが広がっています。県内では安芸高田市が先駆けて実施しています。
政令市でも動きが拡大しており、広島市でも担当課によって検討が進められています。
これまで職員の始業・終業時間と窓口開庁時間が同じことから、前後の時間での業務の取り扱いに問題が生じてきました。市職労では、サービス残業を是正し時間外手当の支給対象として周知するよう当局に要求し、昨年からは出退勤管理システムの運用も始まりました。しかし、準備や後片付け部分をきちんと勤務時間:時間外申請として処理できていない職場もあるのが実態です。
窓口時間の短縮によって、勤務時間開始から窓口稼働まで一定時間を確保することで、サービス残業の問題を解消できるとともに、朝礼やミーティング、研修を時間内で実施できる、事務作業の時間が確保できるなど、職員の勤務環境改善では、様々な効果が期待できるものです。
窓口時間短縮では、住民の利便性が損なわれる面がありますが、銀行や他の官公庁などでも同様の動きは広がっており、理解を得られる環境が整いつつあります。
当面、窓口短縮を待つまでもなく、サービス残業をなくすための時間外申請も必要です。
人事評価制度について考えよう�B
全体の奉仕者として評価されるのか?
私たち公務員は全体の奉仕者であることが求められ、自分の職務は「公務員倫理」に裏付けられたものでなければなりません。しかし、実際には、役所の組織的利益を優先した業務が、「公共の利益」「住民の福祉」に反する場合もあります。
人事制度では、管理職に様々な権限・裁量が集まります。これに給料や一時金で大きな差がつくような評価制度が加わった場合、公正・公平な評価がされればいいですが、パワハラや対価型のセクハラなどがあっても、裁量で自分の給与が大きく左右されることになれば、被害が潜在化しやすくなる懸念もあります。
見解が分かれる問題ですが、兵庫県知事のパワハラ問題では、内部告発の「犯人捜し」がされ、元県民局長が自死に追い込まれたということがありました。
公益通報者保護法の制度があるものの、民間の事例でも、公益通報をした者を特定し、解雇したり報復の裁判をするなど、公益通報制度が機能していない事例があります。
こうした状況では、上司が間違っていても、それを指摘しにくい空気があり、結果としては損失が大きくなることも少なくありません。
昔から常に存在している組織の課題ではありますが、上司の命令が間違っていた場合、さらに不正があった場合など、それを早期に軌道修正するための仕組みも不可欠です。
事務補助員 要求書提出
低賃金・ハラスメント問題
様々な職場で働く事務補助員の声を届ける
10月7日、広島市職労と会計労組は、会計年度任用職員である事務補助員に関する独自要求書を初めて提出し、当局側からは給与課長が出席しました。
今夏実施したアンケートには180人を超える回答が寄せられ、事務補助員の業務実態が明らかになりました。
回答からは、本来の補助業務にとどまらず、業務推進員と同様の業務や窓口対応、システム入力など専門性の高い業務を担っている職場が少なくないことが分かりました。一方で、給与格付は1級1号給(月額138221円)と低く、広島県内の自治体の中でも最低水準に位置しています。また、給与の時間単価が他の自治体では1200円を超えています。広島市の賃金単価では物価高に見合わないとの声を伝えました。
また「名前で呼ばれない」「あいさつをされない」といったハラスメントの実態も報告されています。こうした課題は保育園現場などにも共通しており、低賃金や労働条件の改善は切実な要求です。
10月1日から厚生労働省が示した「同一労働同一賃金ガイドライン」が民間事業所で適用されます。この指針に沿って、人事院勧告でも民間の状況を踏まえて改善するよう報告されています。地方自治体もこの動きに合わせ、住居手当や扶養手当の支給ができるよう、今後の制度変更が期待されており、今年の労使交渉の焦点の一つとなっています。
当事者の方が労働組合に加入し声をあげることが、様々な事務補助員の要求を実現するための力になります。いっしょに声をあげましょう。