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2022.04.01
岡山県エッセイストクラブ作品集・20周年記念号

『2022 位置(いち) Position 第20号』
岡山県エッセイストクラブ(OEC)発行


・二十周年に寄せて
 「批評なきところに向上なし」(久本恵子)
・第七章
 「東京2020オリンピックとコロナ」(久本恵子)

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(一部紹介)

第七章 東京2020オリンピックとコロナ
                                 久本恵子

      

 せみ時雨、かき消される検温の音。

 わが家の裏庭の柿の木でセミが一斉に鳴いている。ミンミンとうるさいくらいだ。2021年夏の朝、ピピピと鳴る体温計の検温のかすかな音がかき消される。毎朝目覚めたら、体温を測る。そんな朝の習慣が、もう1年以上続いている。もちろんコロナ対策のひとつ、用心のため、自分の健康状態を知るためである。まさか感染はしていないだろうな、と。寝室は裏庭に近いので、セミの鳴き声は窓越しによく聞こえる。

 ここ2年間(2020年春から2021年秋にかけて)、県外への旅行や不要不急の外出は控えている。友達とのランチもお預けである。県外に住む孫にも会えていない。近所のスーパーマーケットやドラッグストアには必要に迫られて買い物に行っている。家族の通院の送迎・付き添い、親戚との付き合いなど、出かける用事もある。ささやかな事務所を借りて個人事業で仕事もしている。マスクを着用して互いの距離を保ち配慮しながら、お客様や関係先の人とリアルの場で直接会うこともある。必要な会合にも時に出席する。あの面会や会合から何日たったかな、もう大丈夫だろうな、と、少し神経質になったり、数日前に会った人たちのことを思い浮かべたり、振り返ったりする。2週間たっても何も異変がないようなら、とりあえずはほっとする。35.8℃、今朝も平熱だ。やれやれ、大丈夫だ。

 新型コロナウイルス(COVIDー19)の感染拡大が始まった2020年春から夏、秋へと季節は巡り、特に医療・福祉関係の方々の大変なご尽力のもと、不安と緊張のうちに1年は過ぎ、年を越した。飲食、観光、運輸業界の方々は、経済的な影響を大きく受けて、職を失った方もおられる。そして、今年2021年(令和3年)も変わらず、新規感染者数の報道に毎日一喜一憂しながら、春を迎え、夏も過ぎて、もう秋、10月中旬だ。今朝はさわやかな秋晴れで、青空に白い小さな雲、うろこ雲といわれる雲がたくさん浮かんでいる。夏の熱中症対策にも気の張る季節が過ぎたと思ったら、今度は冬のインフルエンザ対策にも神経を使うことになる。




(以下、略)

  位置2022


〜「あとがき」より、一部引用始まり〜


○   桜の開花予報が待たれる中、私たちの作品集『位置』第二十号が
   無事発刊の運びとなりました。現在の会員九十人のうち五十五人から玉稿が
   寄せられました。そして、創刊号から寄稿している会員は九名です。
   これはもう素晴らしいとしか申し上げられません。

    よく継続は力なりと申しますが、二十周年は私たちにとっては
   成人式と同じで感慨もひとしおです。今号は記念号ということもあり
   岡山県エッセイストクラブの歴史を振り返る章を設けました。
   会を立ち上げてくださった先輩たちに感謝するとともに、これからも
   創設時のご意志を継いでいきたいと思います。

    長引くコロナ禍で窮屈な生活を強いられる中、私たちはまたひとつ
   新しい履歴書を書きました。年を重ねたからこそ書ける作品もあります。
   さらに五年後、十年後を目指して共に書き続けましょう。
   それは私たちの人生そのものではないでしょうか。

   (以下、略)

      
〜一部引用終わり〜

 

 岡山県エッセイストクラブ作品集・20周年記念号
 『2022 位置 Position 第20号』(A5判、204P、二十周年に寄せて(7編)、全十章(56編))
  2022年4月1日発行
  発行 和光出版(岡山市南区豊成)   印刷 昭和印刷株式会社   編集 岡山県エッセイストクラブ   定価 T,320円(本体1,200円+税10%)

 

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