「聞き書き」とは、「人の話を聞き、文字(もじ)に残すこと」。
相手に話を聞きながら、その話し手の言葉を使って文章にまとめていく。
上手にまとめれば、とても読みやすく、その人の息づかいや人柄、足跡、
生まれ育った地域や時代背景などが、生き生きと伝わってくるもの。
「聞き書き」とは、話し手と聞き手が対話を重ねて、
話し手の人生や思いを「話し言葉(聞き書き言葉)」で文章化していく共同作業である。
ーーーーーーーーーーーーーーー
○「聞き書き人の会(ききがきびとのかい)」とは。
聞いて、書いて、学び、伝える −
岡山県を中心に、人や地域の歴史を、そこに住む人々への聞き書きを通して
後世に伝えることを目的に、「聞き書き」(聞く・書く)という技術を学び、
身につけ、実践する会です。2011年(平成23年)4月8日(金)発足。
事務局 吉備人出版内(岡山市北区丸の内2丁目11‐22)
電話086‐235‐3456
世話人 山川隆之(編集者・吉備人出版代表)
ーーーーーーーーーーーーーーー
○「聞く、書く。」聞き書き人の会 会報誌 第5号
「なぜ聞き書きをするのか―」 (2017年1月31日発行)
発行 聞き書き人の会
発売 吉備人(きびと)出版
定価 500円+税、A5判、全140ページ、縦書き(右開き)
〜 案内文・一部引用始まり 〜
私たち聞き書き人の会は、
地域で暮らす人たちの人生を、聞き書きを通して後世に伝えようと、
2011年4月に発足しました。
以後
毎月1回岡山県立図書館を会場に例会を開き、
「聞き書き」の意義、役割などを学び、「聞き書き」の楽しさ・魅力を知りました。
また、ワークショップなどを通じて、インタビューや原稿へのまとめ方など、
「聞き」「書く」ための基本的な技術を身につけてきました。
発足以来6年経過し、2014年10月には、聞き書き作家・小田豊二氏をお迎えして、
岡山初「聞き書き講演会」、2016年9月には、公開例会「聞き書き事始め」を開催しました。
2013年、2015年、2016年には足守公民館、2014年〜2016年には、矢掛町立図書館での
聞き書き活動支援など、より実践的な聞き書き活動へと歩みを進めております。
一年間の活動の到達点をまとめ、その活動を広く知っていただくために、
2013年会報誌「聞く、書く。」創刊号、第2号、第3号、第4号に続き、
第5号をお届けいたします。
戦前、戦中、戦後の激動の時代を生きてきた方たちの高齢化が進み、
当時の市民の生活がどうであったかという記憶が
どんどん失われようとしています。同時代の記憶を語ってもらい、
それを文字(もじ)にして残すことで、話し手の技術・生活の知恵・思いを
次の世代に伝えていければと思っております。
(中略)
会の活動、また「聞き書き」に関するお問い合わせなどございましたら、
下記事務局までご連絡ください。
聞き書き人の会
事務局連絡先:
〒700-0823 岡山市北区丸の内2丁目11-22 吉備人(きびと)出版内
「聞き書き人の会」事務局 電話086-235-3456 ファクス086-234-3210
〜 一部引用終わり 〜
以上、どうぞよろしくお願い申し上げます。
(表紙は、岡山県内の図書館シリーズ。第5号表紙は、
岡山県玉野市立図書館の写真です。)
なお、2017年3月をもちまして、久本恵子は、聞き書き人の会を
円満卒業させていただきました。誠にありがとうございました。
左から順に、聞き書き人の会、会報誌「聞く、書く。」
2013.01.31発行 掲載 創刊号 評論「事例リポート 代表インタビュー」久本恵子
2014.01.31発行 掲載 第2号 評論「聞き書き体を追い求めて」 久本恵子
2015.01.31発行 掲載 第3号 聞き書き作品「寿殿(ことぶきでん)〜40年前の辞令〜」久本恵子
2016.01.31発行 掲載 第4号 聞き書き作品「自分で自分の人生を大事にな」久本恵子
2017.01.31発行 掲載 第5号 聞き書き作品「ああ、できるんや」久本恵子
話し手としてご協力くださいました皆様、誠にありがとうございました。
ーーーーーーーーーーーーーーー
○聞き書き オリジナル・テキスト(久本恵子案 2022.07更新)
ーーー 目次(案) ーーー
はじめに
1.「聞き書き」の意義と役割、魅力
2.「聞き書き」を行う準備(事前調査、アポイント、準備物)
3.面談・信頼関係を作る(まず相手の人に伝えること=企画意図と聞き書き手法)
4.聞く
5.たくさんの分からない言葉
6.追加取材・裏づけ調査
7.資料整理
8.書く・素起こし
9.書く・原稿整理(資料照合)
10.書く・再構成(章立て)
11.書く・まとめる(校正→清書)
(1)原稿執筆のポイント (2)引用 (3)著作権の注意
12.原稿を話し手に戻して確認・了解(公開範囲の承諾)を得る
13.修正・完成
14.レイアウト・デザイン/アウトプットの形態
(紙媒体、デジタル化、芝居の台本化、町づくり活動への貢献など)
15.企画意図に沿って活用(配布、発表など)
16.関係者フォロー
おわりに
ーーーー
以上
ーーーーーーーーーーーーーーー
<よくない聞き方>(2022.07更新)
(1)人の話を集中して聞こうとしない。
人の話が聞けない人がいる。
どんどん聞き手自身の考えや疑問がわいてきて、
語り手の話をとってしまい、自分が語ってしまう。
(2)沈黙が怖いのか、話が続かず、すぐに次の話題に入る。
話が広がりそうな場合も、うまく受けとめられず、
用意した次の質問を安易に続けてしまう。
また、初めて会う人なのに、いきなり尋問口調で、
ずけずけ聞く。一方的に質問を浴びせる。
(3)予備知識、事前準備が足りない。
(4)「聞き書き」の本来の目的を忘れる。
極端なことを言えば、
どんなに波乱万丈で歴史的価値のある作品より、
お年寄りから、「ありがとう、とても楽しかったよ」と言われる
「聞き書き」作品の方が、価値があると私は思う、とのことです。
だから、聞き手に必要なのは「感動の共有」。
語り手と聞き手が一緒になって作品をつくりあげること、そして、
それによって感動を分かち合うことが、聞き書きに一番必要な
ことだと思う、とのこと。納得です。
だから、それを忘れて、
ただ「お年寄りの話を聞けばいいのだ」と
思い込んでいると失敗しますし、
逆に「何としても、お年寄りから話を聞かなければ」
という気持ちもいけない、とのことです。
<上手な聞き方>(2022.07更新)
(1)タメをつくる
自分が知っている話でも、さらに、教えてもらう気持ちで聞く。
自分から、先に知っていることだといって、すぐに言わない。
(2)広くたくさんの話を聞くのではなく、一つの話を深く聞く
語り手がこの話なら長く話したいと思う
一つの話を深く、細かく聞くこと。これが、
「聞き書き」を通して、語り手をよく知ることにつながるのでは
ないでしょうか。
(3)話を映像的に思い浮かべながら聞く
語り手が話す内容を、自分の頭の中で映像化し続けながら聞く。
語り手も無意識のうちに、
昔の映像を思い浮かべて話しているはずだから、
同じ映像を聞き手も思い浮かべながら聞けばいい。
映像が浮かばなければ浮かばないほど、質問がしやすいことにもなる。
(4)あいづち
相手の話に弾みをつける
語り手と聞き手の心が共鳴し合う。
聞き手が質問を考えることもなく、
語り手も心から思い出を好きなように話す、
究極の「聞き書き」のコツは、
意外にもあいづちにあるかもしれない。
(小田豊二著、「聞き書き」をはじめよう より引用。P55-62)
以上