お父さんの浜辺

(5/22更新)

趣味のこと

産まれも育ちも山口県で、倉敷へ引っ越してきてもう少しで3年です。ようやくこちらでの生活にも慣れ、出歩いています。最近は日本史に凝っていまして、様々な歴史の遺跡を見て回っています。

夏はこんな事をしています

以前よりしてみたいと思っていたウインドサーフィン。山口にいた頃は光の室積海岸でやっていました。こちらでは、なかなかする機会がなくもっぱらグアムでしています。

冬はこんな事もしています

スキーは、ウインドサーフィンよりも長くやっています。是非コブを制覇したいと意気込んでいたのですが、なにせ寄る年波には勝てず、「楽しく滑る」にモットーを替えようと思っている今日この頃です。

仕事のこと

麻酔って知っていますか?そう、手術を受けるときのあの麻酔です。私はそういう仕事をしています。お医者さんと言えば、内科、外科、整形外科、耳鼻科、眼科、産婦人科などなど、すぐに浮かんできますが、なかなか「麻酔科」という言葉は出てきません。一般の方にはあまりなじみのない「科」ですが、実は非常に重要な役割を果たしている科なのです。どんなものなんだろうと興味を持たれた方、是非こちらへお越し下さい。

 

尿管結石騒動記(3/14)

他人事と思っていた事が我が身に起こった。

2,3日前から少し尿が濁っているなあと思っていた。少し仕事がキツイ日が続いていたせいかなとあまり気にしていなかった。木曜日の夜、寝る前に尿が濁った血尿である事に気づいた。

「やっば〜」

結石かな? でも腰痛くないしなあ。他は・・・。いろいろな悪い病気の事が頭に浮かんでくる。明日は午前中忙しいし、ひょっとしたら血尿消えるかもしれないし。とにかく早く寝よっと。

明け方、5時過ぎ突然の痛み。左の背中から腰が痛い。

「やっぱり来たか」

たぶん、結石だろう。その他の病気の可能性が消えたことが嬉しくも思えた。人類の感じる最もいたい痛みに分類されるというものを体験してみてやろうじゃないか、と少し前向きに考えることとした。しかし痛い。しかもずっと痛い。たまらず手持ちの鎮痛薬を飲み、一応救急外来を受診することとした。子供たちはぐっすり寝ているので、妻に送ってもらう。

「あっ、見た顔の人がきた。」

苦しんでいるのに、顔見知りの看護婦さんの冷静な対応である。

「はい、一応体温を測って」

熱なんかないのに。石だっちゅーの、と心で思っても一応計る。

「36.4℃」

「検尿もしておきましょう」

家を出る前に飲んだ鎮痛薬が効いてきたのか、割と楽に歩いてトイレに行ける。

「やっぱり血尿だ」

泌尿器科外来があくまで、救急室に寝せてもらうこととする。

 

9時過ぎ、外来で超音波。案の定、左の腎臓が腫れている。しかし、超音波では、石は確認できない。レントゲンでもはっきりしない。

「ひょっとしたら、出てしまったのかもしれませんね」

何といううれしい言葉。それならうれしいが。しかし、今後また痛んだら困るので。一応強力な座薬を処方してもらう事にした。(これが後に役に立つとは知らずに・・・)

 

土曜日は当直。

「石も出たみたいだし、もう普通の身体に戻ったから大丈夫。」

心配してくれる同僚に明るく答える。少しだけ、左背部に違和感はあるものの気にしないことにした。当直も無事終了。

「水分はしっかり採って下さいね。」という泌尿器科の先生の言葉を信じて、夕食にビールをたっぷり飲む。尿管結石患者のよく採る常套手段である。別に飲みたければ、飲めばいいのに、とも思う。アルコールも効いてぐっすり眠りに入った。

 

明け方、6時過ぎ、再び激痛に襲われた。

「やはり、来たか。」

左背部の違和感は嘘ではなかった。今度はどちらかというと左下腹部の方が痛い。石が下に降りてきたのだろう。恐らく膀胱壁の当たりかな。自分でも大体分かる。早速強力な坐薬を使用。しかし前回の痛みより確実に痛い。差し込むような痛み、疝痛とはこのことなのだろう。

 

以前、「陣痛より痛い」といった男性の結石患者がおり、どうして男性なのに分かるのだろう、とその時は疑いの気持ちで聞いていた。自分で経験して、その通りだと思った。なんせ、休まるときはなくずっと痛い。脂汗がにじむ。お産は生産的な痛みであるため、精神的にも耐えられるのだろうが、石を産み落としたところで、何も生産的な意味はない。情けない。くだらないことを色々考えていても、痛いものは痛い。今日もまた妻に送ってもらい、外来が始まるのを待つ。

 

超音波検査でやはり、尿管膀胱移行部に直径6mmの石があることが判明。

「これなら、ほっといても出るかも知れませんが、早い方がいいので石撃ちしましょう。」

体外衝撃波砕石装置である。このことを人に聞かれたときは、それほど痛くないから大丈夫ですよ、と簡単に答えていたが、痛みに敏感な人の中には、本人の希望で麻酔を掛けてしたこともある。

「本当は痛いのかな。でも始まってから痛いって言えないしなあ。」

色々思うことはあったが、興味もあり早速装置のある部屋へ向かった。

大きなドームに、膀胱の部分を当てるようにうつ伏せになる。

「始めますよ。少しちくちくするかも知れません。」

もう、なんでもこい、という気持ちである。

チッチッチッチッ、という音とともに、ちくちくした感じが伝わってきた。それほどの痛さでもない。よっぽど今朝の方が痛かったなあ。しかし。ちくちくがだんだん強くなる。なんか、足の付け根の奥が痛むように感じる。

「痛いですか?もし痛ければ少し弱めますが・・・」

弱めて石を割るのに時間がかかるようであればいやだし、今朝の痛みに比べたら大丈夫、などと考えながら、

「大丈夫です。」

とちょっと辛いながらも答える。

早く終わらないかな、と思いながら、約25分、何かすっと軽くなったような気がした。

「今、石が落ちたみたいです。」

漸く、敵も観念したようだ。超音波で確認。無い、無くなっている。本当に、文明の発達に感謝である。でも膀胱から出るときは、どうなんだろう。少し心配であったが、実際は杞憂であった。

 

その後何度か、トイレで黒い小さなかけらが出ていくのを目撃した。

 

初めての石に苦しんだ4日間であった。それにしてもどうしてこんな事になったのか、未だに分からない。

 

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