しぶきバックナンバー

しぶき記事

市政を支える非正規職員
「働き続けたい」と思える勤務条件に
非正規連絡会ヒロシマ 要求書提出

非正規連絡会ヒロシマは要求書を人事部長に提出

 5月9日、非正規連絡会ヒロシマ(旧広島市嘱託連絡会)の4労組(広島市職労、留守家庭子ども会労組、児童館労組、会計年度任用職員労組)は「賃金・労働条件の改善に関する要求書」を児玉人事部長に提出しました。

毎年の要求前進は評価しているが物価高が家計を直撃

 要求書の提出に関して、加藤代表から、「市当局には労働組合の要求に応えて、さまざまな処遇改善をしてもらっており、感謝している。とはいえ、物価高騰のなかで生活が厳しい状況もあり、引き続き改善を求めていきたい」と述べ、昇給幅や住居手当・扶養手当、退職金等の各種手当について正規職員との格差是正や、「出産サポート休暇」の新設、育児短時間勤務制度を小学校3年生まで対象拡大する等、要求項目について説明しました。

業務内容に見合う報酬改善を

 市職労からは木下書記長が発言し、「『職の設定』について見直しを検討されたが、導入時と比べて業務負荷に大きな変化がないため格付の変更を見送るとの回答だった。しかし、市民課やマイナンバーの業務推進員は他職種と比較して低いことを問題にしており、格付改善を検討してほしい」と要求しました。
 また、職場の声として、「業務があるのに『残業はできない』と言われて、サービス残業になっている」との話がある。時間外勤務の考え方について、職場に周知をしてもらいたいと訴えました。
 保育園支部からは、「6H保育士が深刻な欠員状態になっている。日任用でカバーしていると言っても、他の職員に業務の負荷がかかっている状況で、職員配置の問題を根本から見直してもらいたい」と訴えました。

職種ごとの要求を伝える

 会計労組からは各職場の状況として、介護認定調査員では窓口対応などで本来の調査業務に専念できていないことや、訪問に出る際の軽自動車やアシスト自転車の増車を要求していることを伝えました。
 消費生活センター相談員は、今年度から日・祝が閉庁日になり勤務条件が改善され助かっている。それでも相談員の人材確保が厳しく、高齢化は深刻。次世代の相談員育成が大きな課題と訴えました。
 学校給食調理員からは、保育園の処遇改善加算を学校給食調理員にも適用し格差を是正するよう求めました。

2025年春闘アンケートA
要求額の平均下がる現象
昨年度の賃上げが影響?

 春闘アンケートの報告 その2です。賃上げ要求額に関する質問です。

要求額「1万円」が大幅に増え平均要求額を下げる

 質問4(1)の賃上げ要求額(月額)では、平均額が昨年と比較し4千円以上下がりました。
 今回の賃上げ要求は、もともと下がる可能性も感じていました。昨年度、市職員の給料が30年ぶりの引上げ率になり、若年層や会計年度任用職員では大幅な賃上げが実現しました。これを受けて、「賃金をさらに上げろ」となるのか、ちょっと満足して要求額を控え目にするのか、今回のアンケートでは、この賃上げ要求額がどう出るかを注目していましたが、結果は後者になりました。
 賃上げ要求額を1万円と答えた方が、昨年から大幅に増え、3万円や5万円を要求した方は、数では微増ですが、割合では減っています。

賃上げ要求額(月額)グラフ
質問4(2)-2)
時給制、日給制の方に伺います。時間給でいくらの賃上げを要求しますか。
賃上げ要求額別人数の表

時間額は昨年とほぼ同額

 質問4(2)では、月額制ではない方の賃上げ要求額について、時間額の平均値は昨年とほぼ同額の208円の賃上げ要求額となりました。6時間パート換算で月額2万4千円アップの水準です。

高年齢層の職員には厳しい状況
物価高騰を上回る賃上げ必要

 人材獲得競争が激しくなるなかで、初任給の引上げが民間企業でも顕著で、公務員も大幅な引上げが実現しました。一方、物価上昇の影響は全世代に及びます。昨年度は、高年齢層の職員にも一定の引上げをしたものの、この4月からの地域手当引下げで、その上げ幅は半分以上削られる形となっており、厳しい状況が続いています。
 毎年3月に提出する広島市職労の要求書では、春闘アンケートで集約した平均賃上げ額を要求額として掲げてきましたが、今年は全国組織の春闘方針で掲げられた統一要求額を下回ってしまいました。このため、今年の要求書では統一要求の3万2千円を要求額としています。

同期のつながり 話ができる仲間を増やそう
2025 新入職員歓迎 ウェルカムパーティー

広島市職労主催の「ウェルカムパーティー」

 4月18日、広島市職労主催の新規採用職員歓迎会「ウェルカムパーティー」を開催しました。新規採用者と先輩組合員あわせて24人が参加しました。
 初対面の人同士で、趣味やマイブーム等を記入した紙を相手と交換する自己紹介ゲームで、参加者同士の交流を深め、その後は各々のテーブルで話をしたり美味しい料理を堪能しました。
 ビンゴ大会では、日常生活に役立つアイテムのプレゼント。最後に若手の先輩組合員から「悩んだときに相談できる仲間がつくれる」と労働組合の魅力を伝え、加入を呼びかけて締めくくりました。
 今後も、新採職員の同期のつながりを深める機会をつくっていきたいと思います。

軍備拡大で平和は築けない
激しく変化する情勢のもと働く者の 仕事・暮らしを守ろう
第96回広島県中央メーデー

ハノーバー庭園に集合

 5月1日、広島県第96回中央メーデーが「働くものの団結で生活と権利を守り、平和と民主主義、中立の日本をめざそう」のスローガンのもと開催され、広島県労連に加盟する労働組合などから約350人が参加しました。
 集会に先立って、平和記念公園噴水前からデモ行進を行い、「核兵器廃絶 こどもたちの平和な未来を」「舟入病院小児科・夜間救急を残そう!!」「軍拡やめて農業守れ」「ミサイルより毎日のごはん」「学校に自由を!こどもたちに笑顔を!」など各単組が持ち寄ったプラカードを、道行く市民やドライバーにアピールしながら、集会会場のハノーバー庭園まで歩きました。

国民が苦しむ生活とそれを許容し軍拡進める政治

 ハノーバー庭園で行われたメーデー集会では、神部泰実行委員長(県労連議長)が開会あいさつに立ち、メーデーの歴史を紹介した上で、賃上げはされているものの長引く物価高騰に追いつかない現状、それに拍車をかけるアメリカ大統領の関税施策、国民の生活を省みることなく大軍拡に突き進んでいる政治や、平和行政を歪めようとしている広島市政について批判し、労働者の団結で政治を変えていくことを訴えました。

医療・介護の現場 崩壊の危機が切実に訴えられる

 団体からの訴えの中で、医療現場やパート労働者からは、人手不足や低賃金・サービス残業の横行など厳しい職場実態や病床削減、介護事業の縮小で患者の尊厳を持った生活が保障できない状況が報告されました。
 またノーベル平和賞受賞の喜びとその意義を広島県被団協理事長の佐久間邦彦さんが訴え、会場の参加者と共に「ノーモア ヒロシマ」「ノーモア ナガサキ」「ノーモア WAR」とコールし、戦後・被爆80年の今年、核廃絶と平和を求める運動を大きくしようと気持ちを一つにしました。

賃金格差の解消と核廃絶にむけて決意を固め団結

 最後に、最低賃金の引き上げや同一労働同一賃金による格差の解消、核兵器廃絶に向けた運動と世論を被爆地ヒロシマからさらにひろげることなどを求めるメーデー宣言が読み上げられ、大きな拍手で採択されました。
 働く仲間が人間らしく、まともに暮らしていける仕事・地域の実現を求め行動する決意を固め合う集会となりました。

「戦争」と「食」の深い関係性
大切な「食」を支配の道具にさせない
ヒロシマ憲法集会

藤原辰史教授の記念講演

 憲法記念日の5月3日、2025年5・3ヒロシマ憲法集会が開催され、551人(会場414人、オンライン137人)の参加がありました。

参加者インタビューからはじまる
給食の意義と歴史の学び

 記念講演では、藤原辰史教授(京都大学人文学科学研究所)から「非道の時代の平和論〜食の歴史学のアプローチ」をテーマに講演がありました。はじめに講師自らが壇上を降り、「学校給食で何を食べましたか」と集会参加者にインタビュー。脱脂粉乳やコッペパン、米飯、揚げパンなど世代による給食メニューの変化を参加者で共有することから始まりました。
 藤原氏は「1930年代初頭に東北地方が凶作で苦しんだとき、栄養学者の佐伯矩氏が、国に全員給食の実施を勧めたことから始まった」と解説。「経済的に恵まれた子も貧しい子も等しく同じものを食べ、恥ずかしい思いをしなくて済む」と経済格差なく学校教育を受けることができる、現在にも続いている給食の意義と歴史を説明しました。

技術発展で食料生産は飛躍 食の独占 = 権力掌握のシステム

 講演のテーマである戦争と食の関係について、20世紀に誕生した農業技術システムと大規模殺戮システムは、トラクターが戦車に、毒ガスが転用されて化学肥料や農薬に、飛行機は爆弾を農薬に換えて農業用に、というように収穫量の飛躍には軍事技術が結びついている歴史があると指摘。
 また、ガザの人々の現状をみると、空爆や地上戦など武器による攻撃だけでなく、軍事的封鎖により住民たちの移動を制限して、これまでも大量の失業者を生み、今では電気も水もストップし、食料も行き渡らせなくすることで人々の飢えは極限に達しています。
 ウクライナとロシアの戦争で、両国から食料が輸出されなくなると、世界市場を支配する人たちが利潤を得ました。「砂時計のくびれ」とは、「くびれ」の上が膨大な生産者、下が膨大な消費者、上下をつなぐ「くびれ」は世界で10に満たない企業が握っている状態を表現した言葉です。食は独占すればするほど強い権力を握れるのです。

食料支配 静かな暴力として作用

 こうした食の現状は、スローな暴力と言えるもので、人々の食や暮らしの延長線上に「戦争につながる仕組み」があり、「私たちはそれをしっかりと見極め、平和への運動を進めていく必要があるのではないでしょうか」と訴えられました。