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第2回中央委員会
賃金が上がる社会へ労働者が声をあげよう

アステールプラザで開催された広島市職労第2回中央委員会

 2月14日、広島市職労第2回中央委員会をアステールプラザにて、オンライン併用で開催し、36名が参加しました。
 塩見中央執行委員長があいさつに立ち、松井市長の教育勅語問題にふれ、「自治体職員として、この問題をどのように考えるか。みなさんと活発に議論をしたい」と参加者に呼びかけました(詳細は左記の記事を参照)。

組合加入者を増やし 賃上げする国にしよう

 活動報告では、木下書記長が秋の賃金確定交渉での賃上げや会計年度任用職員の勤勉手当支給等、前進回答等の説明をしました。その後、2024春闘方針案が提案され、物価高騰のなかで、賃金が下がり続ける国から上がる国に転換する春闘と位置づけ、「ヒロシマ地域総行動」への参加を呼びかけました。職場の課題では、新規採用時期に向けて組合加入を訴えていくこと、長時間残業・サービス残業是正のための職場の議論を広げること等の方針等を確認しました。

すべての現業職の正規採用を勝ち取る

 質疑討論では次のような報告がありました。

  • 〇保育園支部・・・回答交渉の場で、担当課から来年度予算概要や調理員の正規採用や正規不在園の発表等の報告があった。現場からは、これ以上の正規調理員の非正規化を止めることやすべての担任を正規保育士で配置するよう求めた。
  • 〇学校調理員協議会・・・今年度も正規採用を勝ち取ったが、同一労働同一賃金の観点から、臨時的任用調理員の待遇改善が喫緊の課題。定年延長開始に伴い、定年延長者が働き続けられるよう配置基準の見直しを訴えたい。第19回給食まつりは2025年4月開催に向けて、プレ企画の準備を進めている。
  • 〇児童総合相談センター支部・・・保護者と職員が語り合い、目的を同じくして運動してきた。誰もが幸せに暮らしていける制度をつくっていきたい。事業団労組と嘱託職員の待遇改善について要求書を提出。会計年度任用職員の待遇改善により、嘱託職員との待遇格差が拡大している。専門性をもって働いているなかまを守りたい。
  • 〇学校業務員協議会・・・回答交渉において7年ぶりの新規採用を勝ち取った。担当課から直営の堅持と正規中心の組織づくりの業務が必要という言葉があった。今後の採用につなげ、業務員の知識と経験を伝えていける体制をつくりたい、
  • 〇女性部・・・あなたの働き方アンケート回答を集約中。ハラスメントの回答が多く、相談窓口を知らない職員もいることがわかった。周知徹底するように担当課に要求している。
  • 〇障害のある職員・・・職場環境について、本庁区役所で車椅子利用の職員が休憩しづらい環境にある。また障害者用トイレについてはオストメイトも利用できるように改善をお願いしたい。

 職場・職員の困難な状況がある一方で、労働組合の交渉を通じて休暇制度や人員面で一定の前進があることも、改めて確認できた中央委員会となりました。

全国で広島市だけの疑い
職員採用時の宣誓書に「憲法尊重、擁護」を誓う文言がない

憲法と教育勅語の関係 あらためて確認してみましょう

 松井市長が教育勅語を職員研修で引用した問題が、全国的な批判を浴びる事態になっています。
 広島市職労としてこの問題についての姿勢を示すにあたり、あらためて公務員の憲法擁護義務や教育勅語が国会で排除・失効の決議を受けたことを調べました。
 広島市職員=公務員として働くみなさんに、あらためて伝えたいこと等をまとめましたので、2回に分けて記事にしていきます。

削除された宣誓書の記載

宣誓書
市教育委員会の宣誓書

 地方公務員のあり方は、日本国憲法にあります。第九十九条の 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふにより、公務員は第九条「戦争の放棄」や第二十五条「健康で文化的な最低限度の生活」などすべての条文を尊重し、擁護する義務があります。
 そして地方公務員法第31条(服務の宣誓)「職員は、条例に定めるところにより、服務の宣誓をしなければならない」と規定しています。宣誓書にサインをしなければ、業務に従事することができません。ところが、広島市の宣誓書には、「憲法の尊重、擁護」についての記載がありません。調べてみると1983年の宣誓書から削除されていることがわかりました。
 さらに調べてみると政令指定都市18市(確認できなかったさいたま市を除く)、45都道府県(確認できなかった奈良県を除く)で「憲法の尊重、擁護」を誓う記載があり、全国で広島市だけが憲法の尊重擁護義務を記載していない可能性があることがわかりました。なぜ削除されたかの理由はわかりませんが、削除すべき理由も見当たりません。なお、市教育委員会の宣誓書には、記載があります。

憲法擁護義務 再認識する機会に

 上部団体の自治労連の学習会では、公務員の憲法擁護義務について、この採用時の宣誓書に触れた説明が定番となっており、広島市が一般的な自治体と違う宣誓書を使っているという認識は持っていました。ただ、まさか全国唯一かも知れない、というのは驚きでした。
 知った以上、広島市職労としては、この宣誓書に、全国の自治体と同様に憲法の尊重擁護を記載するとともに、あらためて憲法擁護義務について職員の自覚を促すための研修を求めたいと考えています。

3・1ビキニデー広島集会
世界各地の放射能被害 拡がる核禁止の動き

 2月23日、3・1ビキニデー広島集会が東区地域福祉センターで行われ、オンライン参加を含め70名超の参加者が集まりました。
 1954年3月1日のビキニ水爆実験により、その近海で操業していた漁船の多くが死の灰を浴びました。当時、被爆したマグロ漁船として注目された第五福竜丸の展示館で、長く学芸員を務められた安田和也さん(第五福竜丸平和協会専務理事)を迎え記念講演がありました。

多岐にわたる放射能汚染

 前半は、第五福竜丸のを含むマグロ漁船の被爆を中心にしたお話で、広島型原爆の一千倍の威力の水爆ブラボーだけでなく、3月〜5月の間に6回の核実験があったとのことです。当時の様々な資料を分析し、延べ一千隻の日本漁船が周囲で活動しており、汚染された魚の水揚げ、雨に放射性物質が混じるなど日本での多岐にわたる放射能汚染状況の説明がありました。
 また、アメリカの圧力で必要な調査や充分な補償がされなかったこと、ビキニ水爆実験を契機に日本の原水爆禁止運動が、女性を中心に大きく広がったことなどが語られました。

世界中に核兵器の被害者

 後半は、世界各地の核実験や核製造による住民・軍人の放射能被害についてのお話で、アメリカ・ネバダ州核実験施設の風下住民、米・仏・英国がかつての植民地で核実験を行い、住民が放射能被害に苦しんでいる実態に触れ、旧ソ連や中国も含め大国のエゴにより世界中で核兵器の被害に遭っている人々がいることを改めて学びました。
 核兵器禁止条約が、こうした核兵器の製造や実験を通じての健康被害も含め、核兵器の非人道性を確認し、製造や保有、運搬も含めて禁止している意味について、実態から学ぶ機会となりました。
 最後に6項目の行動提起を含む、集会アピールを全会一致で採択し終了しました。

役職定年制・・・60歳を超えたら管理職を外れる
再確認 定年延長制度とはD

 定年延長の解説、5回目は役職定年制についてです。

60歳を超えたら管理職、ライン職から外れる

 役職定年制とは、定年は延びたものの管理職はそのまま継続しない「役職についての定年は60歳まで」とするものです。定年が延びても組織の新陳代謝を維持するためとしています。
 いまの現役世代の昇格を保障するため、60歳到達時に管理職だった職員については、管理監督職から外れる仕組み、それが「役職定年制」です。なお、国の通知では60歳に到達した日から、年度中途でも降任できる規定となっていますが、運用上は翌年度4月1日からの降任が原則です。
 広島市も「60歳を超えた職員はライン職には配置しない、5級職でも主幹や専門員等のスタッフ職として配置する」としています。

5級職員の増加で職員比率に偏り

 60歳到達年度に6級以上の管理職を含む5級以上だった職員は、翌年度から5級の主幹や専門員として配置されます(定年前再任用を選択しなかった場合)。現役の5級職の職員もおり、5級比率が膨らむことになります。
 かといって、現役の昇格を抑制すると、従来の人事制度が崩れ、新陳代謝も停滞するため、これまでの昇任・昇格人事は保ちながら、60歳を超えた職員の4級・5級格付けでの配置が実施される方向です。
 級別の職員バランスに偏りが出ることは否めませんが、制度上の問題と割り切り、「5級格付けのスタッフ職」として、現場の業務を支える役割を担うことになりそうです。

来年度の定数案で 職員増具体化

 社会全体の高齢化等を考えると、職員構成の高齢化も避けて通れないところはありますが、引き上げられた定年まで健康に仕事を続けるために、より配慮が求められます。賃金が70%になることもあり、負担軽減を考慮する必要があります。
 定年延長協議の際に、採用を上積みしていくとして労使合意しましたが、来年度の人員定数案で、この定年延長の対応として35人増員(短時間再任用と入れ替え)と示され、負担軽減の具体化が取り組まれる予定となっています。

ケアが大事にされる社会へ 利益優先政治からの転換を
第67回はたらく女性の広島県集会

ロードビルで開催された第67回はたらく女性の広島県集会

 2月18日、ロードビルで第67回はたらく女性の広島県集会がオンライン併用で開催され、会場77人、オンライン41人、計118人が参加しました。4年ぶりに会場で物資販売を行い、大変盛況な集会となりました。

女性が声をあげ 制度を変えてきた

 開会とともに佐々木マツエさんを講師に10分間ストレッチし、体をほぐしました。集会実行委員長の佐藤真奈美弁護士は、昨年のノーベル経済学賞で男女の賃金格差を研究したアメリカの経済学者クローディア・ゴールデン教授が受賞されたことにふれ、「ほんの50年前には女性だけに定年年齢が若く設定されていたが、『それはおかしい』と気づき、声をあげ、広がり、裁判も経て制度を変えてきている。歴史を学に社会を変えていこう」「今日の集会で学び行動していく元気を共有しよう」と集会参加者を励まされました。
 続いて、職場・団体からの発言として、広島県医労連、全教広島、地域労組ひろしま、合同労組、広島自治労連、新婦人広島県本部、福保労オハナ分会から7名が発言しました。

現場から見える医療費の問題

 記念講演では、NPO法人医療制度研究会理事長の本田宏さんが、「ケアが大事にされる社会へ〜医療・介護・福祉・くらしの現場から見えるもの〜」のタイトルでお話されました。
 ユーモアを交えながら、「病院はライフライン」「医師不足は医療事故のもとであり病院をなくさないでほしい」という住民の願いをかなえるためには公的病院を統廃合し医療費抑制することはあり得ない、しかし医療費抑制で得をする人たち=世界1高額の製薬会社や高度医療機器メーカーなどの医療界、経済界、官僚、政治家、アメリカが存在することを指摘しました。
 また、大阪や東京に建設されている民間病院では、日本人の3倍の医療費を請求できる海外の富裕層を対象(医療ツーリズム)として病院経営を行っている実態も紹介され、参加者一同驚愕しました。

国民が自分で考える社会

 後半では、「私たち国民が『考える』教育を受け、自分の考えを発言できる国民になることが投票率を上げ、政治を変えることになる。国民のいのちが大切にされる社会に変えていこう」と呼びかけられて講演を終えました。
 橋本敏子副実行委員長(女性センター部長)が、はたらく女性をめぐる情勢を報告し、2月22日の地域総行動でのはたらく女性実委要請項目と集会一同による岸田首相への要請文を提案し、採択されました。
 最後に集会参加者全員で「ケアが大事にされる社会」に望むことを、各々ボードに書いて掲げるアピールを行い集会を終えました。