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非正規に頼る体制破たん 欠員が埋まらない
保育園支部 子どもの安全安心が守られるよう要求書提出

保育園支部66名が市役所講堂に集まる

 7月25日、保育園支部は2023年度要求書を保育企画課・指導課に提出し、66名が市役所講堂に集まりました。
 塩見委員長が「要求項目を現場の実態にあわせて説明する大切な機会だと思っている。要求の趣旨を真摯に受け止めてほしい」とあいさつしたあと、保育園支部から現場の実態を訴えました。

現場からあふれ出る 切実な訴え

  • ○配置基準について
    • ・事故後の提言の中にある3歳児の配置基準を2年待たずに早急に改善してほしい。また、現場が一番危惧している1歳児の配置基準の改善を。
  • ○正規保育士の採用について
    • ・今年度は7月中旬に中途異動が生じた。中途異動が起きない体制を。長期休暇は産育休者だけではない。
  • ○主任の専任化について
    • ・専任化されていない園ではクラス担任として1日中保育にあたらなければならない。主任の仕事はいつ行えばいいのか。家庭を犠牲にしている主任も多い。
  • ○会計年度任用職員について
    • ・水遊びやプールを開放的に遊べるようにしたいが、障害児加配、病休中の正規職員の欠員があるため、規模を縮小し、無難に保育を行っている。欠員が保育の質に影響を及ぼしていることは明らか。
    • ・正規同様の仕事をしなければならないが、賃金格差が大きすぎる。
  • ○正規調理員の採用について
    • ・調理講習会を保育園支部主導で行った。技術の継承は現場で行われるべきものであり、全園に正規調理員の配置を。
  • ○定年延長制度について
    • ・今年度から定年延長が始まるが不安の声が聞かれている。正規職員の定数外で、加配の子どもや気になる子の支援が行えるように制度設計をして、情報をおろしてほしい。
  • ○保育ビジョンについて
    • ・保育園支部は認定こども園化には反対であるが、予算措置が行われてしまった。認定こども園での保育内容を保育行政小委員会の議題にあげてほしい。
    • ・高南保育園では公民館と三田保育園での二重保育について本決まりにならないと何も教えてもらえなかった。現場の職員は子どもの最善の利益を一番に考えている。現場の意向を尊重してほしい。
保育企画課・指導課に要求書を提出

正規調理員採用について一歩前進か

 保育企画課藤川課長は「今後もいろいろなご意見を聴きながら、考えていきたい」と返答し、続けて正規調理員の採用については、「10年間の不採用計画が絶対ではない。ひきつづき人事と話していきたい」と言及しました。
 最後に塩見委員長から「配置基準については市労連交渉の場でも企画総務局長に伝えている」「正規調理員の配置は食数でわけられるものではない。検証を行う時期に来ている」と提起し、交渉を終えました。

健康的に働けるゆとりある人員体制を
人員確保に関する要求書提出

広島市職労が要求書を人事部長に提出

 8月7日、広島市職労は「職員が健康に働くための人員体制の確保等を求める要求書」を人事部長に提出しました。例年、現場で困っている欠員の改善をしてほしいと、繰り上げ採用の実施など要求を伝える場となっています。
 今年度は、感染症対策の緩和によるイベントや事業の復活、コロナ禍の遅れを取り戻す事務など、業務負担増が見込まれること、年度当初から欠員となっている会計年度任用職員の確保、技能業務職の正規採用、定年延長実施にあたり働き続けられる職場体制等を課題とし、7項目について要求しました。

働き続けるための人員体制の要求

 塩見委員長が特に訴えたい課題として次の点を人事部長に伝えました。

  • ●定年延長によって60歳を超えると給料は7割になるのに、60歳までと同じ責任・負担ということにはならない。「仕事が大変なら退職する」といったことが起こりかねない。業務分担への配慮が必要で、そのためには職場の人員体制にゆとりがないとできない。
  • ●障害者採用の職員から切実な悩みが寄せられている。また病休や中途退職も多く、専門性のある相談員の配置が必要。「広島市障害者である職員活躍推進プラン」にも人的サポート体制の整備を取り組むとしているが、職場で障害者の思いを受け止める体制になっていない。職員の声を受け止め職場に助言できる相談員を配置してもらいたい。
  • ●技能業務職の正規採用では、学校調理員で今年度採用をしてもらい感謝している。学校業務員や保育園調理員でも、正規不在で職場がまわらなくなっており、技術・経験の継承のため正規採用が必要。担当局にも要求するが人事当局としてぜひ対応をお願いしたい。

各職場の人員配置の課題

 参加した役員からそれぞれの職場の課題について発言しました

〈保育園支部〉

 保育園では年度中途の担任の異動が起きている。子どもたち・保護者との信頼関係を再構築しなければならず、職場にとって大きな負担となっている。中途異動が必要ない人員体制を確保するには、採用を増やすしかない。

〈学校給食調理協〉

 正規採用があって大変感謝しているが、新規採用の職員が正規一人校で勤務せざるを得ず、多くの非正規職員をまとめる立場に立たされる。新採のときには、ベテランと組んで仕事を学べるような体制が必要で、配置基準の見直しが課題と考えている。

〈環境局支部〉

 環境局では役職定年の対象者がおり、60歳超えた後にどんな仕事をするかが課題となっている。現場で案を考えても、人事に認めてもらえないと困ることになる。

〈区役所〉

 厚生部を再編してすぐコロナ禍になったため、再編後の体制に対しての評価が難しい。あらためて検証する必要があるのではないか。ワンストップ事業がこの間導入されたが、窓口の部署と、本来の担当部署の双方で事務が生じ、業務の二度手間の部分もあり、市民サービスは向上する部分もあるが、職員の業務負担も増えていると感じる。

 人事部長に対し、山積する職場の課題に少しでも応じてもらいたいと訴え、交渉を終えました。

優勝いける!? 9連勝で盛り上がる
カープ野球観戦

カープ野球観戦

 市職労の恒例行事だったプロ野球観戦を4年ぶりに実施し、7月26日のマツダスタジアム・ヤクルト戦に、組合員とその家族100名が集まりました。8連勝中で迎えたこの日の試合は、2点リードを許すも3ランで逆転し9連勝!最高潮に盛り上がる試合展開で、隣同士でカンフーバッドを叩き合い喜びを分かち合いました。

広島自治研 市民公開講座
デジタル化・標準化で
地方自治・住民自治は発展するのか

 広島自治体問題研究所は、7月30日、「市民公開講座」を開催しました。
 講演では、広島修道大学の教授の門脇美恵氏が「第33次地方制度調査会の議論状況ーポストコロナ社会における国・地方のあり方をめぐってー」をテーマに講演しました。

地方制度調査会の議論を分析

 門脇氏は、「第33次地方制度調査会」の議事内容を分析し、

  1. @地方行政のデジタル化と国・地方の一般制度をどう変えるのか
  2. Aコロナ感染拡大の対応の教訓から「非平時」の範囲、対応をどう考えるか
などを柱に議論されたと報告されました。

■一般制度をどう変えるかの議論については、住民自治の視点で考えるべきで、

  1. @格差解消など課題を解決できるのか
  2. Aマイナンバーなど行政の受け手として便利になることのみが強調されているが、住民自治を高める視点が必要でないか。
  3. B統一化・標準化だけで進んでいくと情報の集積のみとなり、多様性を尊重する地方自治とのバランスが保てるのか
などの意見が出ているとしました。

■「非平時」の対応については、

  1. @個別の法で規定されているのに一般法に「非平時」を規定する必要があるのか
  2. A地方は人員不足等を訴えているが国は関与を強めており、都道府県を超えた応援体制をつくれるのか
  3. B民間を活用するにしてもリザーブを置けるのか、リザーブを置くことをどこが決めるのか
などの意見が出されました。

調査会の議論が政策に反映されているのか

 門脇氏は、「議事録を読み込めば、多様な意見が出されていることがわかるが、内閣府の『第33次地方制度調査会』のホームページでは意見を汲み尽くしているとはいいがたく、十分な情報提供となっていないこと、また議論が十分にされていないのに、国の法改正がされてしまう」と問題点を指摘しました。「第33次地方制度調査会」の議論は、国民生活に深くかかわる問題が議論されており、多くの人に発信をしていく必要性を訴えられました。
 今ほど国民の中で「いのちとくらし」に関心を集まっている時はなく、地方自治のあり方を考える自治研活動をどう広げていくかをあらためて考える機会となる講演となりました。