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生活改善につながる賃上げを
人員体制確保のためにも 勤務条件改善が重要
広島市労連交渉 夏季一時金要求書提出

広島市労連が当局と交渉

 広島市の7つの組合で構成する広島市労連は5月30日、当局との交渉を行いました。冒頭、夏季一時金要求書を企画総務局長に提出。夏季一時金として2.5か月以上を支給することを求めました。
 当局からは「市職員の賃金労働条件改善を求める」要求書(3月22日提出)に対して、国や他の政令市等の動向を注視しながら、市人事委員会の勧告を尊重する基本的な考えに変更はないと基本的な考えを述べました。また、各要求項目については、昨年度の交渉で決着した内容を中心に回答・見解を示しました。
 一時金については、次回6月7日に回答、賃上げを含め今後の課題については、秋の賃金確定交渉に向けて協議を続けていくとしました。

昨年は初任給改善されたが物価上昇反映されていない

 山田議長は「今年度の課題として春闘では、民間の賃上げが進み、名目賃金は上昇したものの物価上昇の影響で実質賃金はマイナス1.9%となっている。公務員は賃上げが遅れるため、さらに厳しい状況が続いている。コロナ対策緩和後もテレワークや時差出勤を継続する提案については、介護や育児など社会的な要請があると認識している。各組合ごとでの協議としたい」と述べました。
 また、木下事務局長は次のように現状の課題を伝えました。

  • ●昨年の給与改定で恩恵が少なかった層に、今年の改定で配慮すること
  • ●コロナ禍で中止・縮小となっていた事業が復活し、しかも人事異動で未経験の職員が担うため、業務負担の増加が見込まれる
  • ●デジタル・DX化で省力化と言われるが、実態は市民に向けてデジタルとアナログの両方の対応が必要で、業務が増えている

こどもの安全のために職員が必要 もっと重く受け止めて

 広島市職労からは、塩見委員長が発言し「産育休などで正規職員がいない職場が増え、会計年度任用職員への負担が増え、処遇との差が拡大している。会計年度職員の欠員が続き、6時間保育士は4月の時点で66名の欠員。保育園では死亡事故を受けた検証委員会で3歳児の配置基準を20対1から15対1にするよう提言がされた。担当課任せにせず、市として重く受け止めてほしい。また、障害のある職員の相談を受けているなかで、本人が合理的配慮を希望する場合の対応が、職場で不十分との声がある。職場と本人の状況を考慮して双方に助言できる専門的な相談員の配置が必要と考えている」と訴えました。
 本格的な交渉は、11月の賃金確定交渉になりますが、交渉に向けての組合からの問題意識を当局に伝えました。

保育園支部 夏の要求書提出
一度たりとも解消されない欠員
安心して働ける環境を

保育園支部が夏の要求書提出

 5月31日、保育園支部は「夏の要求書」「正規職員に関する要求書」「調理員に関する要求書」「会計年度任用職員に関する要求書」を提出しました。急な呼びかけでしたが、34名が集まり、現場の声を届けました。

基準を割らずに夏休をとれるのか
常に欠員 確保は困難

 支部は例年夏期休暇が始まる前に夏の要求書を提出しています。夏ならではの保育を安心・安全に展開しながら、職員の心身の健康を維持できるように夏期休暇を取るには代替職員が必要です。保育園は国の施策でも課題となっている子どもひとりに対する保育士の配置基準である最低基準≠守らなければなりませんが、現場は恒常的な欠員である上に夏休代替の確保は困難です。これについて、保育園支部畑野支部長は「安心・安全の保育の体制を確保しながら職員がリフレッシュできるよう夏期休暇を取るためには現在の夏期代替制度は破たんしていると言わざるを得ない。新しい制度をつくるなどして対応してほしい」と訴えました。

正規増・処遇改善等 現場の声を届ける

 また「正規職員に関する要求書」「会計年度任用職員に関する要求書」では、正規調理員、保育士の採用抑制がされていることで一緒に仕事をしながら伝えていくことができにくく、保育・調理技術の継承が難しい状況を伝え、正規職員の採用を訴えました。会計年度任用職員からは「責任の重さや役割は違うが保育を行う部分では正規と同じ。処遇改善を」「制度が始まってからずっと続いている欠員は課が責任を持って職員の配置を」「障害児加配が8時間になったのは大変助かっているが、日任用8時間保育士が見つからない。4時間保育士2名ではなく、子どもの一日の生活を保障できる8時間保育士を通年任用で採用してほしい」などの声もありました。

あふれ出てくる課題 少しでも改善を

 最後に支部長が「何年も同じ要求書を出し続けているのは行事ごととしているのではない。要求が実現し、要求書を出さなくて済むようにして欲しい」と話しました。
 会計年度任用制度が始まり、現場は「職員を探さなくてもよくなる」どころか、ひっきりなしに課題が出てきます。現場の声を集め、伝えていきながら、少しでも働きやすい職場になるよう要求を続けていきます。

アメとムチで国民不信が広がる
不都合な情報も発信し 国民的議論を

トラブル続出のマイナカード 強行突破しようとする政府

 各地でトラブルが続々と報じられるようになったマイナンバーカード。そうした渦中にあるにも関わらず、政府与党は健康保険証を廃止し、マイナ保険証に一本化する改正法案を成立させました。一方で、世論調査で72%がマイナンバーカードの利用に不安を感じると回答するなど、国民のマイナンバー制度への不信が高まっています。
 この不安の声に真摯に向き合うのではなく、カード普及を強引に推し進めようとするやり方ですが、制度への信頼欠如は、むしろカード普及を後退させることにつながるのではないでしょうか。

目の前の目標にとらわれ過ぎ

 マイナポイントによるカード普及策も、場当たり的に見えます。マイナポイントのためにカードを受け取った人は、ポイントの受け取りが済めば、その後はマイナンバーカードを使わなくなる可能性があります。全国民の7割まで申請件数が伸びていますが、制度への不信が広がるなかでは、住所の転出入の際の継続手続を怠ったり、カードの有効期限が来ても次のカードに更新しないなど、今後はまた普及率が下がっていくことが懸念されます。
 健康保険証を廃止し、無理やりマイナンバーカードを使わせようとしても、現在のような不具合が生じる事態も加わり、いざ健康保険証廃止となった際に、保険資格の確認ができない人が多数に存在するようなことになれば、医療保険制度が行き詰まりかねません。

不具合情報の注意喚起をせず 混乱をさらに拡大させている

 いま、マスメディアでカードの不具合の情報が、次々と発覚しています。カード普及に不利益な人的ミスやシステムの不具合などの情報が、むしろ、いままで隠蔽されてきて、それが一気に噴出している状況です。
 最初から、うまくいってない部分に対しては、きちんと国民に対し情報を周知し、個人情報の漏洩などが起きないよう注意喚起すべきところを、カード普及のために、むしろ意図的に消極的な対応してきたと感じざるをえません。
 例えば、マイナンバーカード総合サイトをよく見ると、「マイナンバーカードの代理受取を装ってカードと暗証番号をだまし取ろうとする不審な電話がある」との注意喚起がされています。しかし、こうした問題が広く報道されたり周知されることはありません。多少、騙されて困る人がいても、カード普及率向上には代えられない。そんな国の姿勢が見て取れます。

国民不信が広がっているのに 着々と次の段階へ

 国民がカード申請に二の足を踏むからと、情報を隠すようなやり方で、かえって不信感を増大させ、それでも強引にカード取得を進めようと強権的な方法に傾倒していく。このままでは、マイナンバーカードをめぐって、こうした悪循環が続き、とても民主国家とは言えない強制的なやり方が続く懸念があります。
 一方、こうした状況下で、着々と次なる民間企業との連携や、マイナンバーカードの利用拡張が進められています。国民の個人情報がいったいどこに使われようとしているのか?一人ひとりの「自分の個人情報をコントロールする権利」が、どんどん浸食されていく社会とならないか、不安が広がるばかりです。

2023年春闘アンケートそのC
年休取得 目標未達の職員も多く
余裕ない職場実態

質問8 昨年度あなたは年休を何日取得しましたか?
質問8 円グラフ

 今回も春闘アンケートの回答について掲載していきます。

若干の改善がみられる有給取得

 質問8は有給休暇の取得状況です。回答の分布については、グラフをご覧ください。
 年休が11日以上取得できている方が半数を超え、11日未満の方は4割ちょっととなっています。6日未満が減少し、その分、16日以上が増えており、年休取得状況が若干改善していることがうかがえます。
 ただ、広島市では、職員の年休の目標取得日数を14日としており、多くの職員がこの目標に達していない状況です。

質問9 あなたは普段の仕事で、心身に疲労を感じますか。
@毎日非常に疲れる672
Aたまに非常に疲れる647
B毎日、多少疲れる634
Cたまに多少疲れる426
D毎日疲れを感じない56
Eどちらともいえない66

4人に1人が強い疲労感

 心身の疲労について尋ねた質問9では毎日非常に疲れると回答された方が全体の27%で、4人に1人以上です。強い疲労感が持続するようだと、心や体の健康が保てるか心配な状態です。毎日仕事で能力を発揮するには、次の日に疲れが残らないくらいの疲労にとどめることが大切です。

質問10 あなたの職場の人員は足りていますか 円グラフ

6割が「人員不足」感じる

 質問10は人員が足りているかです。
 「人員が足りない」が半数を超え6割になっています。昨年は「人員が足りている」がもう少し多かったですが、新型コロナ感染症に感染した職員が多かったことも関係してか、「人員が足りない」と答えた方が、その前の年の6割水準に戻っています。