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しぶき記事

適切な職員配置と職場環境の充実を要求
保育園支部 回答交渉

保育園支部がこども未来局と行った2021年要求書に対する回答交渉

 2月3日、保育園支部は9月に提出した2021年要求書に対する回答交渉をこども未来局と行いました。

正規職員の補充は不十分

 木下書記長は「先日の定数交渉では、環境局の正規職員の採用は元課が要求をしてきたので採用をした」という人事部長の発言があったことに触れ、「市役所全体で88名の増員があったにもかかわらず、なぜ正規調理員の退職補充がないのか」と担当課の体制を指摘しました。

担当課からの発表

 担当課からは来年度の耐震工事・ブロック塀改修工事予定園、3歳以上児の定員削減を行う園、ICTシステムの追加導入園、4つの正規調理員不在園が増えることや、認定こども園化予定の9園に再任用短時間のOB園長の配置すること等の発表がありました。

現場の要求に即した改善を

 正規調理員の採用について畑野支部長は、前述の定数交渉の場での人事部長の発言に触れ、「現場の意見は課の中で選別せずに、すべて人事にあげてください」と強く訴えました。続けて、ICTの機器の導入に関しては、タブレットがクラスに一台しかなく、職員間で分担している連絡帳や日誌、午睡チェック等がすすまないため、「導入園の拡充ではなく、端末台数の拡充」を要求しました。
 また、各園から「タブレットによるシフト表作成は、職員が思い描いていたものとは程遠く、一から自分で作った方が早い」という声が相次いでいることを例に挙げ、「先行実施した園の経験を活かし、改善したうえでマニュアルを作り対象園を増やしてほしい」と述べました。

コロナ禍による時間外勤務

 コロナ関連では、支部からは、園児や職員の感染による休園が相次ぎ、登園自粛を求めるもことも視野に入れるべきであることを訴えました。
 また、職員の子どもの預け先や学校での急な休園・休校により職員が休まなければならないというケースも増えており、時間外勤務が恒常化しているという現状を伝えました。
 コロナ以前からも、保育園は11時間(延長保育実施園は12時間)開園しており、長時間保育の子どもが増え、配置基準を割らないように、職員は時間外勤務で対応しています。
 時間外勤務が続くと、疲労が蓄積されていきます。職員が元気に働くためにも、時間外勤務ありきではなく、長時間保育に対応できる職員配置を今後も要求していきます。

権力者の利益を守る公務員の姿が暴露されるなかで
いま成果主義を持ち出し 何をするのか

 人事院は、今年度の人事院勧告とともに示した「公務員人事管理に関する報告」の中で、「職員の士気を高め、組織活力を維持するためには、人事評価により職員の能力・実績を的確に把握した上で、その結果を任用、給与等に適切に反映するとともに、人材育成の観点からも活用することが重要」と成績主義の強化をうたっています。

「あるべき姿」が評価されているか

 しかし、森友学園をめぐる問題で自殺に追い込まれた財務省職員の赤木さんの例を見ても、「上司の命令に従う」ことを成績優秀とすればよいというものではありません。私たちは、公務員として「全体の奉仕者」に資するべきで、一部の者の利益を優先しようとした財務省、その痕跡を消すために公文書改ざんを指示した上司・・・。本来のあるべき公務員の姿からすれば、明らかに反した人が厚遇されている構図です。
 国でも自治体でも、一部の者の利益を優先し、疑惑が発覚しても権力に与していれば、さしたる処分も受けない、そんな事例が次々発覚しています。
 こんなときに、成績主義強化を打ち出す人事院の良識を疑わざるを得ません。
 いま必要なのは、不正を働く高級官僚の存在や税金の無駄遣いが公務員全体の士気を下げていることをを省み、それを許さない人事政策を示す事ではないでしょうか。

現実の成績評価も労多くして・・・

 個々の職員の仕事を評価するのは、実際のところかなり大変です。例えば人数の多い部署と少ない部署、住民と接する業務と本庁の企画立案業務。配属されている部署や担当業務によって、職員の得手不得手も変わり、公平性を保とうとすれば、評価項目は多く、複雑になります。
 でも、そんなに評価ばかりに時間をかけていられません。簡略化すれば、家庭があったり持病や障害があったりする個々の職員の事情を汲むことが難しくなります。
 労力をかけた方が納得性は多少高いでしょうが、それでも、自分の評価に納得できない職員は出てきます。
 公平な評価を期待したいですが、実際のところは、その人事評価がどれだけあてになるのか、疑義が残らざるを得ません。

市当局「導入避けられない」

 国は人事院の「報告」を理由に、自治体への成績主義強化を強く「指導」し、定年引上げに合わせて実施することを迫っています。
 広島市当局は、他の政令市の動向も踏まえ、「避けて通れない」段階として、定年引上げの際に管理職以外の職員にも評価制度の給与反映を提案するとしています。
 広島市職労は、交渉を通じて現状の人事評価の問題点を指摘し、給与反映の「導入ありき」ではなく職員の立場から人事評価制度の改善を訴えていきます。

広島自治労連春闘学習会 オンラインで開催
声をあげ 均等待遇の流れをさらに

広島自治労連によるオンライン2022春闘学習会

 2月2日、広島自治労連はオンラインによる2022春闘学習会を行い、12団体55名が参加しました。

均等待遇 いまだならず

 学習会の講師は、自治労連非正規公共評の元議長で、現在はNPOで活動されている川西玲子さんで「公務公共労働者は連携して均等待遇の実現を」と題して、公務非正規労働者の問題を中心にお話をされました。
 はじめに、川西さんは40年前の公務非正規労働者のスローガンが「期限のない仕事に期限をつけて雇用するな!」「同じように働かせるなら、同じように扱え!」だったことを紹介。現在もこの2つの要求が達成できていない。会計年度任用職員制度は「期限」でも「均等待遇」でも制度格差を含んでいて大きな問題であると指摘しました。

格差なくすための法の整備

 この間、パートタイム労働法の制定や、非正規差別、男女賃金差別裁判での勝利判決を経て、徐々に民間労働者の非正規労働者の格差是正、労働条件の改善がはかられてきており、2012年の労働契約法改正では、通算5年を超える有期労働者の無期雇用の転換ルール(同法第18条)や、不合理な格差の禁止(20条)が定められました。
 しかし、法制度が進んでもなかなか実態の改善が進んでいない現状があります。川西氏はこの原因を、日本の法律のなかに「同一労働同一賃金」・「同一価値労働同一賃金」の規定がないためと説明しました。

「職務」を図る物差しを

 「同一価値労働同一賃金」とは、「同一労働同一賃金」が同じ職種・職務での均等をはかるのに対し、「同一価値労働〜」は、違う職種間の労働者の均等待遇をはかることを意味した言葉です。
 このためには、仕事の価値水準を図る物差しが必要となります。そこで、同一価値労働同一賃金を実現するために、国際的には「職務評価」として、項目ごとに細かく仕事の価値をポイント化し、その職種の業務がどれだけの労働価値があるか図る方法があることが紹介されました。

職務からみた時給と実際の時給との大きな差

 川西氏はこの職務評価の評価方法を使って、自治体非正規労働者の仕事を採点し、時間単価を算出しました。
 その結果、実際の待遇と職務評価による時間給に大きな差がある職種が明らかになる等、待遇格差の問題点を可視化できた結果、この職務評価で点数をつけた労働者は、「自分のしんどさが何なのか、理解できた」と、その効果を訴えました。

賃上げの根拠に

 実際、交渉で職務評価による仕事の分析結果を使用者に示し、非正規社員の処遇改善を勝ち取った事例等を紹介。「同じ仕事をしているのに、待遇になぜ差があるのか」を数値化し交渉の根拠とすることができる点を、均等待遇実現の運動に活かしていくことを呼び掛けられました。
 貧困層の拡大で社会が持たないことや、エッセンシャルワーカーの再評価など、社会を支えるために日本社会の大きな流れとして、均等待遇に向かっていかざるを得ず、「時代は進んできている」と学習会を締めくくりました。

国家公務員 一時金減額 年度またいで6月に

 昨年11月の衆議院選挙が絡んだ国会の開催日程の影響で、国家公務員の勤務条件を定める給与法改正が遅れました。このため、12月の一時金での減額調整が困難となりました。
 月例の給料で減額する案もささやかれましたが、さすがに給料からのマイナスは難しいという話と思われますが、結局、国家公務員は、0.15月(再任用職員は0.1月)の減額分については、年度をまたいで2022年6月の一時金から減額調整をするという、法的に問題がないのか疑問も残る対応となっています。
 広島市は、3月支給の一時金があるため、今年度の一時金減額分の調整が可能で、交渉日程も例年どおりでした。(他の自治体の多くは3月の一時金がありません。年間支給率は同じです)
 3月支給のないほとんどの自治体では、国の動向を見ながら、昨年12月の一時金でまともに労使協議もできずに、一時金減額を決着しています。
 一時金の支給については、全国の情勢と、広島市はちょっと違うので、頭の片隅に入れておきましょう。