国際交流賞にホロコースト記念館など2団体


 広島国際文化財団(山本信子理事長)は二十一日、第二回国際交 流奨励賞の受賞者を発表した。「アンネ平和賞」などを通じて平和 へのメッセージを発信し続けているホロコースト記念館(大塚信館 長)=福山市御幸町中津原=と、核実験の被曝(ばく)者に医療支 援などをしたヒロシマ・セミパラチンスク・プロジェクト(下崎末満代表、五十 人)=広島市西区鈴が峰町=の二団体。


 ホロコースト記念館は、第二次大戦中のユダヤ人大虐殺(ホロコ ースト)をテーマに、写真や遺品などを集めた日本初の資料館。一 九九五(平成七)年にオープンした。「アンネ平和賞」として、国 内外の子どもたちから平和メッセージを募り、昨年の「日本子ども 会議99」で発表。国境を超えて、子どもが平和について学ぶ場をつ くった。


 セミパラチンスクプロジェクトは、旧ソ連のセミパラチンスク で、四十年間に四百七十回もり返された核実験の被曝者へ検診用 の車や医薬品を贈った。現地の市民と一緒に灯ろうを流し、核兵器 によるすべての犠牲者のめい福を祈った。今年は現地から一年間、高校生二人を留学生として受け入れる。


 国際交流奨励賞は昨年度、平和への願いを実現するために国境を 超えて活動している市民や団体を支援する狙いで、同財団が創設。 中国新聞と中国放送が、前年の一年間に報道した個人や団体を、各 社分から一件ずつ選んでいる。


▽日本初の記念館 全国から3万7千人


「五周年の節目の年。ボランティアの小さな活動に、温かい評価 をしていただきうれしい」―。広島国際文化財団の「第二回国際交 流奨励賞」の受賞が決まったホロコースト記念館(福山市御幸町中 津原)の大塚信館長(50)は笑顔で喜ぶ。


 一九九五(平成七)年に開館。日本初の試みは、ホロコーストに 関心のある人たちを掘り起こし、引き寄せた。地元をはじめ、全国 各地から三万七千人が来館。「平和を願う気持ちが強い、ヒロシマ という土壌だからこそ活動が膨らんだ」と振り返る。


 海外からもホロコーストの生還者や第一線の研究者約二十人が訪 れ、地元の子どもたちに生々しい記憶を伝えた。「二十一世紀を担 う子どもたちに、差別や偏見の恐ろしさを肌で感じてほしい」。子 どもたちに発信することを第一に据えてきた。


 昨年は小・中学生から平和メッセージを募った「アンネ平和賞」 を、福山市など全国四カ所で開いた「99子ども平和会議」で発表。 今年は英国・ロンドンである国際会議に子どもたちと一緒に出席す る。「まだ最初の一歩。今後は子どもたちの主体的な活動をサポー トして、全国、世界に向けて発信したい」。さらにグローバルな活 動を目指す。

(2000年1月22日掲載)

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