介護保険制度施行直前の緊急問題 -1-

4月1日の介護保険制度施行まで後4日になりました。
問題を山積みで見切り発車的な実施となりますが、このまま実施されては困る課題もたくさんあります。制度発足後も訴えて行くべきだと思います。

本日からは小出しで、少しづつ問題を整理してゆきたいと思います。
-在宅重症介護者の自己負担の問題と施設でのサービス費用について-

 在宅で、多くの介護サービスを受ければ月50万円を超すことがあり、24時間サービス・訪問看護など単価的に高額なサービスを毎日受ければそんな額になりますし、現実に受けている方も多いといわれています。しかし介護保険制度後は支給限度額が設定され「要介護5」でも月額36万円弱ですから、介護保険実施後は、要介護度で決められた支給限度額以上のサービスを受けたければ自分の負担になると言うことです。

 例えば、現在受けているの介護サービスの合計が45万円の方は、もし認定で「要介護5」の認定を受けていても 45万円-36万円=9万円 で9万円分は自己負担となり、別に基本料金の36万円分の1割負担もありますので 9万円+3.6万円=12.6万円を毎月負担することになります。
 介護保険制度でも医療費と同じく介護サービスにも高額負担の補助制度はありますが、
支給限度額を超えたサービスへの補助はありませんので、サービスを続けていきたい方には厳しいものだと思います。
 全国ではかなりの人数になると思います。
 これらの重度の介護を必要としている方には、自己負担が払えねば今受けているサービスを減らしなさいと言うのでしょうか。こんな方のケアプランを作成するケアマネも困ると思いますが、ケアプランは限度額内で作るしかないと思います。
 介護保険制度は「公平な負担と公平なサービス」と言うのでしょうが、介護保険制度の矛盾の一例で
困っている人を切り捨てる制度です。
 そしてこの問題は解決しないまま4月を迎えました。

 このように重度の障害のため多くの介護サービスを受けておられる方は在宅では家族の大変な介助以外に40-50万円もかかる事は分かっていながら、最高の支給限度額を36万円程度に設定したことに問題があります。一方では施設の介護サービス費は24時間の介護と医療の継続もできる介護療養型病床でも40万円未満ですから、特別養護老人ホームや老人保健施設はむしろ在宅サービスよりかなり安い設定となっています。無制限にサービス額を上げろと言っているのではありません。介護の現場でのサービス費用がどれだけ必要か分かっていなかったことの反省と早い対処が望まれるのですが、今のところ無視されています。

 今後在宅では自己負担を払えなくなり、在宅介護が難しくなる例は増えてきますので、この方達は施設に入所する事になります。社会的入院を無くし、在宅を推進する介護保険が、逆に重度の介護を必要としている方には在宅介護を難しくさせ、施設入所を推進してしまう結果になると思います。
 そうなった時の施設の数・高齢者の数など医療供給体制については、今のところ全く考慮されず病床数・施設数は制限一本槍ですから、3-4年先の混乱が目に浮かびます。

 それにしても介護報酬の決定課程にも大きな矛盾のある制度です。

 在宅で、24時間のサービスを受ければ50万円にもなるサービス料金の設定が、施設では介護療養型病床でも40万円程度ですから、欧米の同様の施設の介護料とは比べものにならないくらいの低額ですし、それで居てサービスの内容は同じ事を要求していますので、矛盾ですし、施設介護費は安すぎると思います。
 以前ドイツのナーシングホームの料金が月50万円程度と聞いたことがあります。日本の特別養護老人ホームに準じる施設だっと思います。日本のほぼ倍の料金です。これならもっと人員配置基準が厳しくても対応でき、夜間の介護者を増やしたり、介護の充実が図れそうです。

 在宅と施設の考えたかの違いでしょうが、この金額設定は今後の在宅介護や医療を考えたとき、重度の介護・医療が必要な方は在宅では無理だと言っていることになると思っています。

                  3月28日


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