要介護度の基準案見直しについて



 昨日4月6日の地元の新聞によると厚生大臣は要介護認定の基準案を見直し、審議会に諮問したとのことです。
 「昨年秋の要介護度認定をめぐり、要介護度が実態より低く見積もられたため批判が相次ぎ、これを受け当初35分刻みだった介護時間を20分刻みで細かくした」とあります。
 要介護1は30分-50分未満、要介護3は70分-90分未満、要介護5は110分以上。
 これにより介護時間115分では当初要介護度3が5に認定され全体的にモデル事業より重いランク付けになるとの記載でした。

 これに基づき個人的に見直し案の基準でモデル事業の介護認定結果を推定してみました。
(5分刻みで10年基準を均等に配分し見直し案の時間に合わせ合計したものです)
ただし10年度モデル事業と同じものを時間の基準だけの変更とする場合で、時間の計算式に違いはないと仮定した場合です。タイムスタディの内容が変更されていれば結果は違います。

この結果は下記のような表となります。
 10年モデル事業の要介護3の一部と要介護4.5はすべて要介護5となり極端に要介護5が増える結果です。要介護度5の割合も8.2%から35.8%となりました。自立・要支援は変化ありません。

要介護5の最重度の介護認定が増えることは申請者にとっては良いことかもしれませんが、推定介護時間の配分を変更しただけで、なんのロジックも見えません。
もともとこの推定介護時間による認定は要介護者の実状をあらわす認定になっていないこと、在宅介護で認定するには問題の多いこと、コンピューターソフトの中身が公開されていなかったことなど問題がありました。今回不満の多かった認定の結果の低さに対応するために、介護時間だけを短縮した結果だとすれば、将来的に混乱が続くことは予想できます。
こんなに要介護5だけが増えれば、保険料にも大きな影響が出ます。
こんな手直しを今やっていていいのでしょうか。介護認定制度を続けてゆくためには要介護者にも認定審査員にも納得できる、システムでないと長続きしません。
それとも、タイムスタデーの配分時間も変えているのでしょうか。

介護時間の基準見直しによる要介護度の変化 表
/ 10年モデル結果 改訂予測数
自立 14471 14500
要支援 11620 11600
要介護1 35048 20000
要介護2 40603 21400
要介護3 38173 23200
要介護4 20838 22100
要介護5 14375 62300
175128 175100

10年度モデル事業要介護度の割合と見直し結果
/ 要支援 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5
推定介護
時間
1日あたりの
要介護時間

5分以上
1日あたりの
要介護時間が
30分以上
65分未満
1日あたりの
要介護時間が
65分以上
100分未満
1日あたりの要介護時間が
100分以上135分未満
1日あたりの
要介護時間が
135分以上
170分未満
1日あたりの要介護時間が
170分以上
見直し区分
諮問案
4月6日

1日あたりの
要介護時間が
5分以上

1日あたりの
要介護時間が
30分以上
50分未満

1日あたりの要介護時間が
50分以上
70分未満

1日あたりの要介護時間が
70分以上
90分未満

1日あたりの
要介護時間が
90分以上
110分未満

1日あたりの要介護時間が
110分以上


 11年4月7日



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