痴呆や問題行動をコンピューターで判定することは、非常に難しいことです。でも本文で述べているように、今の一次判定ソフトはひどすぎます。
いろいろ問題はあると思いますが、痴呆や問題行動がコンピューターで判定されるためには、この項目に介護の手間を考慮した点数を付け、その合計点数で介護度の見直しをすべきだと考えました。
補正が必要な対象者
現在の一次判定ソフトも寝たきり度の高い事例では、痴呆の有無に拘わらず、要介護度は相応に高く出ますので、寝たきり度のB、C群の判定は今の一次判定を利用し、介護度に勘案できる問題行動があれば、痴呆度を加味して二次判定を行うことで良いと考えます。一次判定の点数補正は行いません。 従って寝たきり度のB、C群の判定はこれまで通りの二次判定審査と言うことです。
「元気な痴呆・問題行動例の判定」としているのは、寝たきり度が低い例での認定であり、基本的にはN,J群や一部のA群を対象にします。これらの群で、痴呆のがすすみ問題行動があっても、一次判定が低いことが問題だからです。
問題行動の分析と点数化
基本は第7群の問題行動別に介護の手間のかかり具合を考慮し点数化しました。
日医からの通達にあった、「痴呆例の認定には「見守り」の時間等を勘案した“高齢者の介護に要する時間”を十分に評価した上で、審査・判定を行っていただきたいと考えております。」と言うことを参考にして、介護の手間を介護に要する時間に置き換えた基準が必要と考えたからです。
そこで下記の表の如く
「介護に抵抗」や「外出して戻れない」「暴言暴行」「火の不始末」「常時の徘徊」などの、介護に手間のかかると予想される、また放置すれば危険な行動には高い点数を、「作話」「幻視幻聴」「同じ話をする」「落ち着き無し」などの介護の手間はそれほどかからず、生命に危険のない行動は低い点数とし、19項目全てに点数配分しました。
本文は試案1で述べていますが、この合計点数100点が妥当かどうかは、介護の現場で判断されねばなりません。この試案1で検討を行っていただいたある審査委員の方から、これで判定すると平均すると要介護度は2ランクくらいアップするので、少し配点が大きすぎるのではないかとの指摘も受けました。問題行動が多いとそのくらいのアップは当然だとおもいますが、問題はその行動の内容と介護の手間の問題です。そこで試案2の配点も考えてみました。
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ア.被害的 |
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イ.作話 |
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ウ.幻視幻聴 |
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エ.感情が不安定 |
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オ.昼夜逆転 |
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カ.暴言暴行 |
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キ.同じ話をする |
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ク.大声をだす |
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ケ.介護に抵抗 |
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コ.常時の徘徊 |
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サ.落ち着きなし |
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シ.外出して戻れない |
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ス.一人で出たがる |
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セ.収集癖 |
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ソ.火の不始末 |
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タ.物や衣類を壊す |
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チ.不潔行為 |
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ツ.異食行動 |
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テ.性的迷惑行為 |
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点数の付け方
調査票で問題行動「あり」の場合この点数を加算し、「時々」の場合には点数の0.5を加算することにします。
点数補正の自由
調査書と主治医意見書の問題行動の取り上げ方はほぼ同じ項目のチェックはありますが、一致はしておらず判断に迷います。今回は調査書を優先しました。但し、主治医意見書に調査書にない問題行動項目のチェックがあれば点数の半分を加算しても良いこととしました。
また、痴呆の補正として第6群の5アからカの6項目は痴呆の程度と現状の認識力を表していますので、この項目が多いと問題行動の介護はもっと手がかかると判断して、第6群の5アからカの6項目のうち3項目以上は合計の点数を1.5倍する事にしました。本文ではこのように試案1にもこの加算を行うこととしていますが、点数が増えすぎて介護度が異常にアップするならば、試案1ではこの補正はせず、試案2で第6群の補正を考えても良いと思います。その時は第6群項目3-4項目では1.5倍。5-6項目では2倍の点数とするくらいが妥当ではないかと思います。
一次判定の補正判定
その合計点数を、一次判定の要介護基準時間に加えた時間を、痴呆・問題行動例での一次判定結果として要介護認定の時間に当てはめて表示し、これを基準に二次判定を行う事とします。
すなわち 要介護1 30分から50分未満
要介護2 50分から70分未満
要介護3 70分から90分未満
要介護4 90分から110分未満
要介護5 110分以上
この基準に合計点数を当てはめて一次判定とします。
勿論、これで決定ではなく他の状態も考慮して、二次判定を行う必要があります。
大事なことは、これらの痴呆・問題行動を持った高齢者を介護している方たちは、在宅であれ施設であれ大変な苦労をされているわけであり、厳しい認定を行うよりも必要ならもっといろいろなサービスも受けることができ介護の苦労を少しでも和らげることができる認定制度でなければならないと思います。
6月10日 改訂