2002年 医療制度・診療報酬制度改革案について

「厚生労働省は2002年度からの実施を目指す医療制度改革の試案を公表した。
医療費の膨張で保険財政がひっ迫し、持続可能な仕組みが問われる中、試案は
(1)高齢者医療制度の対象年齢を現在の70歳から75歳に段階的に引き上げ
(2)サラリーマン本人の患者負担を2割から3割に引き上げ
(3)老人医療費の膨張を総枠で抑制する手法を新たに設け、超過分は医療機関が負担――を柱としている。国民と医療機関に「痛みの分かち合い」をしてもらうという発想だ。」

 こんなニュースがまた伝わってきました。毎年繰り返される患者の自己負担を増やすだけの、医療制度の改革案とは到底言えないその場しのぎの改革案です。

 医療費削減と自己負担を増やすことは全く別の問題だと思いますが、医療制度の抜本改革が出来ないので、手っ取り早く、取れるところから取ってしまう自己負担増でその場の帳尻を合わせるやり方です。
 医療費削減に外来医療費や老人医療費の自己負担をいくらいじくっても効果が少ないことをまだ理解できないのでしょうか。

 特に今回、高齢者の対象を70歳以上から75歳以上に引き上げるとしたことは、あまりに突然すぎて、医療・介護の現場では大混乱してしまいそうです。今65-70歳の方たちは「冗談じゃない」と思います。
 医療制度で高齢者の定義を75歳にすること自体何も根拠のないことで、厚労省の老人定義は果たして何歳なのか、統計の内容によってコロコロ変わる年齢定義ではまともな議論は出来ません。
 そしてほとんどが70歳までに定職を退き、老後の定まった収入の無くなった年齢にも負担を増やすことですから、国民のコンセンサスをまず作ることが必要だと思います。

 特に介護保険制度の老人の定義は65歳です。
 介護保険の自己負担は1割です。
 医療保険の老人を75歳とすれば10歳の年齢差と負担率に差がありすぎます。介護保険の自己負担もこれに合わせて増額となるのでしょうか。今回は介護保険の話は出ていませんが、2002年改革では無視するのでしょうか。

 外来や入院の老人包括化医療と定額負担をすでに行っている方たちには、来年からまた包括を止めて、出来高に戻し2割負担にするのでしょうか。
 こんな事は何も示されていません。

今回は2002年の医療改定について、個人的な意見を述べてみました。

                    平成13年10月16日  吉岡春紀


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