深き虚空からの伝承



第三章の4


幼き日より 心を消す
命のままに 動くために

己の身をも かえりみず
闇の中を 走る

故郷は はるか彼方
しかし 望郷の念 知らず

幾星霜 過ぎ去り
涙 すでに枯れる

はぐれ雲に 相対す
無残に 横たわる

思い出した痛み
思い出した心
そして 涙 あふるる

失った時への思い
泉の如く 湧き

身に絡む焦燥
砂漠の如く 渇く

そして 未だ癒えず

彼女の名は「かなみ」。
忍の定めに生まれし、忍を捨てたい少女。


<前へ> <次へ> <戻る>