靖国神社
 2001年8月13日小泉総理大臣公式参拝する。玉串料では無く献花代だと言う、私費との事で有る。政治家だけが問題に成って居るのはどうしてだろうか、財界の大物が参っても誰も騒がない、尤も民間人は余り関心が無い様だ。小生の親類縁者にも沢山戦死者が居たが、靖国神社参拝の発想は無い。

 60歳以上の人は戦時中の『会いに来ました九段坂』の軍神の母との絡みが思い出される。今は一宗教法人と言っても、時期を問わなければ過半の現職大臣がお参りするのは、矢張り別格ではないだろうか。別格官幣社と云うのでしたか。

 近代日本に成った明治から軍人を祀って居るのは、国家としての形態上必要な事も理解出来る。何故なら、軍人は国の為に身を捧げたので有るからです。勿論、善い軍人も、悪い軍人も居りました。しかし、今は一宗教法人です。太平洋戦争だけ考えるから、8月15日に成って仕舞う。又千鳥が淵に戦没者慰霊碑があり、終戦記念日の式典は無宗教で天皇陛下のご臨席で日本武道館で行われる。全て妥協の産物として、其れなりに意義が有り、バランスが取れていた。

 韓国や中国が、総理大臣の参拝を非難するのは内政干渉だが、なぜ此処まで頑なに反対するのかは、お互いに判って居るだけに難しい。日本は、参拝しなければ国内が治まらない。最も、国内と云うのは、遺族会と政敵で有る。この問題は、戦死者に対する哀悼の誠を捧げる問題とは別な所に行って仕舞った。

 中国も韓国も、厳しい経済情勢が、社会不安を作る。ナショナリズムで、矛先を交わす必要も有る。私腹を肥やすのに忙しい連中ばかりで、外交不在と云われた昨今の、日本の弱みに付け込み、北方領土で正に漁夫の利も得て居る。強行するのは、これも矛先所以である。国内では参院選が有る、自民党に取っては、遺族会のギブアンドテークも集票マシンにしか写らない。靖国は国内外の格好のカードに利用されて居なければ幸いで有る。真面目な小泉総理は、密室での談合と根回しを嫌うので、真正面から突進するので、こう云う事に成って仕舞った。

 ご遺族の方々も、決してこの様な形での慰霊は、お喜びには成らないでしょう。又、祀られて居る、軍神の方々も、大変迷惑に思って居ると思います。A級戦犯の東条英機元首相のお孫さんもTVのインタビューで、迷惑ですと言って居りました。そもそも合祀が強引過ぎたのでは無いでしょうか。独立した宗教法人が、勝手に遣るのですから、誰も意義は無い筈ですが、天皇陛下もお参り出来ない、奇妙な事では無いでしょうか。矢張り外国の様に、訪問された要人が、軍人墓地に献花する光景は素晴らしいです。この事が、事有る時は、軍人は誇りを持って国の為に戦うでしょう。ご遺族も、国の為に命を捧げた夫や息子等を誇りに思うでしょう。この様な国の管理の施設は、政争が此れを妨げ、又政治家は票になら無いばかりか、金にもなら無い。口先でリップサービス、後は又一年ほっとけば良いと思って居る。

 官軍と幕府軍の戦争で駿河湾に沢山の屍骸が浮いて居る。時の遊侠、清水の次郎長が子分を総動員して、屍骸の収容をして居るところに、官軍の将校が来て、官軍だけを収容せよと命令する。この時、次郎長が啖呵を切る。『てやんでー、官軍も賊軍も有るもんか、死んじまえばみな仏よ』。官軍の将校は、以後の行為をただ見て居るだけだったとの事で有る。講談の一節をお借りして、お開きに致します。
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謹製 平成13年8月15日