ボランテァ平成の赤ひげ

 
 最近、友人の話で痛快なのを紹介する。昨今ボランテァが市民権を得つつある。 
 ある高校で、昨年の冬休みに、宿題の代わりに地域でボランテァ活動をしても良い事になった。ある女子生徒は、毎日弁当を持って町の中にある中程度の病院に通った。窓口で、ボランテァをする旨を申し出、待合いの椅子に陣取り漫画を見てゲラゲラ笑って帰るを繰り返し、3日目の帰りに、院長先生に証明書を書いて下さいと言って、ノートを窓口に差し出した。事務員さんは、最初戸惑って居たが、しばらくして、一ページにビッシリと埋め尽くされたノートを持って来て、ご苦労様と渡してくれた。そして、ドイツ語らしいよと言ってくれた。其の女子高生は、喜び勇んで家に帰り、両親や兄弟に得意になって見せびらかした。
 やがて、冬休みも終わり、得意満面で院長先生が書いてくれたノートを担任に提出して、皆にも事例紹介が行われて、称賛の的になり、天にも昇るような心地であった。
 その後一ヶ月位して、担任の先生が青い顔をして放課後に、其の女子生徒と項垂れていた。担任の先生はドイツ語が全然判らず、職員会議の時に事例紹介をしていたら、英語の先生が、ちょっと見せて下さいと言って読み、ビックリ仰天したとの事である。そこには、3日間の病院における女子生徒の行動と、ボランテァ精神を教えないで、ボランテァを進める学校側への忠告が厳しく叱責されていた。達筆なドイツ語が父兄にも、担任にも意味が判らず、結果的に職員会議の場で披露される事になり、平成の赤ひげ先生『してやったり』と微笑む顔が目に見えるようです。 目立ちがりや、人にうける事に快感を感じる、流行のみに溺れる、等々、その中に『ボランテァ』が入っている等は正に、とんでも無い事である。



平成の赤ひげ

先生、有り難う御座いました。心から御礼を
申し上げます。

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