中高年の皆さんに


 年齢とともに運動量が減り運動不足を感じている中高年の方は多いと思います。そこでいきなり運動を開始すると思い掛けないケガや障害を引き起こすことがあります。そんな時の注意を書きますので運動をする場合の参考にしてください。
 中高年になると自分で感じている以上に体力が落ちている事が多く、まずは自分の体力を過信しない事が重要です。
中高年の方に適切な運動はどのようなものがあるのか、またどのように運動をすればいいのかを考えてみましょう。
 またなぜ運動が必要なのかはスポーツなんかくそくらえの項目をみてください。

どのような運動がいいのでしょうか。

 中高年の運動としてどのような運動がいいかというと、散歩、歩行、ジョギング、ハイキング、サイクリング、水泳、ゴルフ、テニス、テレビ体操、太極拳、ゲートボールなどがあります。しかしこの運動でなくてはならない、というのはなくどんな運動でもいいです。というのは運動の種類というより運動の仕方でどのような運動が良いかが決まるのです。ただし基本的に守ってほしい事がありますので以下にまとめます。

1)痛みが無いこと
 健康のために運動をするのがいいという事で腰や膝などが痛くても無理して歩いているという話を聞く事があります。痛みがあるような状態で運動をするのは逆効果です。あくまでもどこも痛みのない時に痛みの出ない範囲で運動をしてください。また肥満者や足や腰に変形性の疾患がある人は腰、膝、足関節に負担がでるために水泳やサイクリングなど荷重がかからない運動から始めるのが原則です。

2)安全である事。
 無理なく運動をするには、きつくなったらすぐに休めるような態勢で行う事が重要で、自分のペースを守る事が安全につながります。中高年になると身体の反応が鈍くなり後でいろいろ症状が出る事がありますので注意が必要です。

3)継続できる内容にする。
 運動をするのは継続する事が必要です。週に1日では疲れるだけ、2日では現状維持、3日で運動の効果が出る。と言われますが、あくまでもそれが目安であってそのようにしなければならないという事はありません。疲れが残らないようにどんな場合でも自分のペースを守る事が必要です。その場合仲間がいればやりやすくなると思います。しかしながら、その場合仲間の人に無理してついていく事もあり、ペースが守れないようだと困ります。一人でもマイペースでやれてきつくなったらすぐに中止出来るようなものが一番です。欠点としては、一人でやろうとすると自由でいいのですが、運動に対して目的があるか、ある程度意志が強くないと定期的に運動ができなくなるので困ります。

4)楽しみがあること。
 仲間と楽しみながら出来るものが一番の理想です。そしてその楽しみを見つけるのも必要です。ただ歩くだけでは面白みも、楽しみもありません。散歩する場合に距離や時間やコースをメモしておいて経過を比較するのも自分の身体の状態が分かり良い事です。ゴルフに熱をあげている時にスコアーやパット数を大事にメモしているのと同じ事がいえます。また、近くにある草や木または近所の庭の花や木々などや鳥を見つけて観察したりするのもいいでしょう。それらを観察していると今まで、なにげなく見ていた物が新鮮に映り新たな発見があり意外と楽しくなるものです。

5)リズムがあるもの
 運動をするという意味では前述のように周囲を観察しながら散歩というのは当てはまりません。リズミカルに行える運動は理想的なものといえますが初めは休み休みでいいのです。


 どのように運動をするか

 どのように運動をするかといういと、少なくとも週に3回以上1日20〜30分を目標にしてください。運動の効果が出るといわれている数値です。初めのうちは回数や日数は気にする必要はありません。気楽に取り組む姿勢が重要です。運動強度としては少しきついかな、と感じる程度とします。それは疲れを残さない範囲で行なう必要があるからです。若いうちは1日寝たら疲れは完全に取れていたと思います。しかし皆さんの中にはゴルフやテニスをした2〜3日後の方が疲れが出る、と感じていらっしゃる方が多いのではないでしょうか。年と共に身体の反応や回復力が鈍くなっている証拠です。

 身体の疲れは血液検査である程度、客観的にそして定量的にわかります。しかし一般の人が容易に血液検査をするという訳にはいきません。そこで一般的な疲れの判断としては、疲れたなと思う時の精神的な要素も加わる自覚症状と脈拍数を見るのが参考になります。しかし脈拍数を計りながら運動となると窮屈になりますのでそれは運動の効果を見る判断にするといいと思います。

 その方法はまず、安静時の脈拍数を調べ(だいたいの目安ですが20〜40歳代75/分、50歳代以降80/分)それに運動後の脈拍数を調べて、その時の疲れの状態と共に経過を比べてみるといいでしょう。同じようにきついと感じていても数カ月後には脈拍数の減少という良い変化がでているかも知れません。このような事も一つの楽しみになればしめたものです。運動の前後にストレッチや準備運動、整理運動を欠かさない事も重要です。運動後に足や手の筋肉の状態をみるのも疲労状態を判断するのに役立ちます。

 また目標を持つ事も大切です。早足やジョギングをする場合に、前回楽しみながらという項目で書いたように、距離とタイムをメモしておき、1ヵ月後にはタイムを短縮しようという数値目標をたてるのもいいでしょう。道具や場所をあまり気にしなくてすむランニングが一番身近な運動といえます。それに市民マラソン大会や駅伝などへの参加もはげみになりますので皆さんのところで駅伝チームを作ってはどうでしょうか。

表1は年代別の目標心拍数〔(220-年令)×0.8〕と最大心拍数の目安です。
 表1
    年齢   最大心拍数   目標心拍数
  20〜30   195     170
  30〜40   185     160
  40〜50   175     150
  50〜60   165     140
  60 以上   155     130


表2は運動強度と運動の例です。あくまでも目安ですから参考程度にしてください。

 表2
    運動強度     運動の例
    (心拍数)          
    100     普通の歩行
    140     ジョギング
    180     全力の運動 


ゴルフプレーでの注意
 ゴルフプレー中にギックリ腰になった、という話をよく聞きます。このいわゆるギックリ腰ですが、原因がなんであれ急性腰痛症を総称してこのように呼びます。その原因で多いのは腰椎椎間板(腰骨の間の軟骨でクッションの役目をしている)や、腰椎椎間関節(腰ぼね同士を連結している関節でここで腰を曲げたり伸ばしたりをしている)由来の痛みです。

 これらの痛みは準備運動不足や腹筋、背筋の筋疲労などにより引き起こされます。腰をひねる動作や前屈動作などゴルフは腰にとっては負担のかかる姿勢が多くあるため急性腰痛症を起こしやすいのです。

 この特徴は安静時にはほとんど痛みはなく、動こうとすると腰痛のために身体が自由にならなくなります。状態としては大変ですが、それらの多くは坐骨神経痛の症状のお尻や下肢の痛みやシビレなどはなく、4〜5日安静にしていればほとんどは治ります。しかし全力でスイングして腰椎椎間板ヘルニア(腰ぼねの軟骨であるクッションの中身が飛び出して神経を刺激し発症する)になつた人もたくさんいらっしゃいます。

 少しでも腰痛、下肢の痛みやシビレがある場合はプレーは中止しましょう。


 ジョギングでの注意
 ジョギングをはじめ、走る事が多い運動をする時はシューズにも気をつけてください。最近のシューズのなかには土踏まずの部位が盛り上がっているものがあります。このようなシューズを履くとO脚が強くなり、関節内では内側の軟骨に負担が増し外側では靱帯や腱が骨をこする刺激となり痛みがでる事があります。というのは中高年になると少なからず膝関節の内側がすりへった年齢的な変化がきているはずです。

 そのような変化は関節の内側の半月板という軟骨のクッションがすりへる事により起こってきます。それと同じ事がシューズをはくことにより起こるのです。逆に膝に痛みがなく扁平足の方にはこのような靴は治療にも障害予防にもなり最適といえます。


 テニスプレーでの注意
 テニスをする場合、年齢を考えて最近のパワーテニスのようにハードヒットしないようにしましょう。バックバンドを両手打ちをされている方はいらっしゃいますか。身体のバランスを考えると非常に良い打ち方といえます。というのは若いころから常に同じ腕だけで打っていると背骨が横に曲がる脊柱側弯症になる事が多いからです。  

またラケットは少し軽めにしガットの張りは力を入れなくても飛びやすい、少し硬めの方が楽にプレーができて良いと思います。


 その他の注意
 プールでの運動は全身運動で心臓、肺の強化になり非常に良いのですが、泳ぐだけですと体重がかからないために骨に対しての刺激はありません。従って、膝などに痛みの無い人は骨に刺激を与える意味で泳ぐことに歩行やジョギングを付け加えるといいでしょう。

 腰が痛い時はコルセット、膝が痛い時はサポーターを、と思われるでしょう。腰の場合は問題はないのですが、膝痛に対しては膝を保護すると思われたのが逆効果になる場合があります。例えば、膝蓋骨(膝のお皿)と大腿骨の関節面での軟骨の障害の場合、それらの軟骨がこすれ合うことが原因なのでサポーターで膝を押さえ付けることは症状の悪化を引き起こすことになります。膝の痛みに対してはどのようなサポーターでも良いというものではありません。


 私もですが中高年を例えると中古の機械と同じです。古い機械でもいつも調子をチェックして大事に使えば長持ちします。それと同じ事なので私達の身体も大事に使いましょう。
 いくら長生きできても好きな事が出来ないのでは困ります。
 いつまでも元気で仕事や趣味ができるように身体は少しでも鍛えておきましょう。
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