富・道口・八島
32.藩境石(はんさかいいし)
 玉島から矢掛町に出て成羽に至る成羽街道。富の東端、小田郡との境にある山が富山で、この坂道は富峠と呼ばれています。この峠の頂上、道の東側にある、ひょうたん形の池のそばに、「従是北庭瀬領」「従是南岡山領」と刻まれた花崗岩の石柱があります。これが「藩の石柱」で、この石を境に北(矢掛町横谷方面)は庭瀬板倉公、南は備前池田公の領地だったことを物語っています。

33.砲台跡(ほうだいあと)
 遥照山(ようしょうざん)系の東端と富山の西端が造る鞍部のやや平坦な所から東に約300m。俗称「アセン原」と呼ばれる所にある「砲台跡」は、矢掛町横谷に面した山の斜面を利用して造られ、砲門と見られる3つの口が開かれています。慶応3年4月、岡山藩が幕末の国内の動揺に備えて築いたものです。慶応4年(明治元年)1月の玉島事変(玉島騒動)の際には、松山藩の動向に備え、付近3ヶ村の藩内農民銃兵を動員、砲3門と共に配備されました。………歴史・伝説・民話(玉島事変)参照

34.薬師庵(やくしあん)
 神前神社の近くの薬師庵には、良和6年(1017)に作られた建重要文化財の仏像「薬師如来座像」があります。高さ82cm、檜の寄木造で全体に温和な作風で、藤原期の特色がよく出ています。地域住民の熱意で修理され、現在も美しい姿を保っています。かつてこの像は、薬師庵の東500mのところにあった西光坊という寺にありました。今から300年余り前、岡山藩主池田公は、当時藩内にあった1万有余の寺社のうち、わずか601社を残して他は全部整理。西光坊にも火が放たれましたが、村人が火の中から仏像を持ち出し、池に投げ込み救ったというエピソードを持つ像です。

35.神前神社(かんざきじんじゃ)
 亀山焼の窯跡が、神前神社の境内にあり、亀山焼がこの付近で焼かれたことを今に伝えています。亀山焼は陶から移り住んだ陶工達が、平安時代に盛んに焼き、甕の泊から積み出され、表面に格子模様があるのが特徴です。宝物庫には、亀山焼の壺が保存されていますが、亀山焼の製品が完全な形で残っている例は、極めて少なく、玉島ではこの一個だけです。<絵馬><絵馬>拝殿天井に飾られた縦1m余り・横2mの大きな絵馬。この村の人が伊勢参りの帰路、大阪で購入し奉納したもので、明治4年にあった日本最後の仇討ちの様子が描かれています。現在、玉島の有志達で往時の亀山焼を再現しようとする試みが取り組まれており、展示会も開催されています。

36.天王山古墳(てんのうざんこふん)
 倉敷市最大の前方後円墳で、市の重要文化財に指定されています。この古墳は玉島唯一の前方後円墳で、出土した円筒埴輪から5世紀中頃のものと考えられています。市の教育委員会などでは全長50〜60mと推定していますが全長120mにも及ぶ県下有数の大きな古墳だという説もあります。

37.甕の泊(もたいのとまり)
 富田の亀山一帯は現在、春は桃の花が咲ほころび、のどかな風景が私たちの目を楽しませてくれます。しかし寛文10年(1670)に干拓されるまでは海でした。港があり、多くの千石船が出入りし、亀山(甕山)の港からも盛んにいろいろの品物が積み出されていました。その中で最も多く積み出されたのが亀山焼で、いつの日からか、この港を甕の港・甕の泊と呼ぶようになりました。名勝として多くの歌に詠まれ、平安時代、藤原家経が「運びつむもたいの泊 舟出して こげどつきせぬ貢物かな」と詠んだように、当時大変栄えていたことが偲ばれます。

38.道口の津(みちぐちのつ)
 かつて瀬戸内海には、大阪〜九州間の多くの船が往来していました。そして大阪から西に向かう船が、波風の荒いとき、藤戸海峡から連島の北を通り、甕の泊、そしてここ「道口の津」と海岸の近いところを選んで航行していました。平安時代、応保3年(1163)、京都の智恩院の僧・釈迦禅師が、筑紫を発って道口の津に着いたときの詩が「本朝無頼詩」という本に残されています。

39.富八幡神社(とみはちまんじんじゃ)
 祭神は仲哀天皇・神助皇后・応神天皇。宇佐八幡宮を勧請したものと伝えられ、江戸時代には、備前池田藩の支配する上竹・下竹・亀山・道口・富の5部落の総氏神でした。本殿・幣殿・拝殿のほか、東西の参道が残っています。

40.要害山砦跡(ようがいざんとりであと)=陽海山ハイツ
 現在は住宅地ですが、寛文9年(1669)の干拓以前、ここは海に突き出た半島形の丘陵でした。中国地方最大の勢力を誇った毛利輝元。天正10年(1582)豊臣秀吉の備中松山城の水攻めによって、高梁川以西の領有を条件に秀吉との和議に応じ、5年後の天正15年(1587)、高梁川以西の毛利の最前線の拠点として、築かれた砦です。玉島高校には戦国時代荒武者が刀を磨くのに使ったと言われる「磨き瓦」など、要害山で発掘された遺物が保存されています。