KJさんから『怪奇大作戦』の第三弾をいただきました!

今回は二つのお話です。

 

 

 

 

 

 

 

「いたでしょ」

 

大学の頃の話になる。

春休みで実家に帰省してたとき、実家で営んでいる印刷会社の

従業員のおばさんが茶飲み話に来た。その日はたまたまお彼岸

の連休だったと思う。

おばさんは私を見るなり、「Kちゃん、昨日H町の本屋さんに

いたでしょ?」と言う。

「え?昨日はずっと家でゴロゴロしてて、一歩も外へ出ていな

いよ。」

「いいえ、お父さんといたわよ。本屋の駐車場で。車もちゃん

と見たし。アタシが挨拶しても知らん振りだったじゃない。ち

ょっとひどいよ。」

「オヤジもずっと家にいたよお。H町になんか行っていないっ

てば。」

「ホント?ウソじゃないよね?」

「母さんに聞いてみたら?ホントに家でずっとゴロゴロしてた

から。」

「でも、アタシがお父さんとあんたを見間違えるわけないし、

それにあの車は三菱の灰色の、何年も前のギャランだから、こ

の辺でそんな車めったにあるもんじゃないし。持ってるのはあ

んたのお父さんだけでしょ。変ねぇ。」

なおもいぶかしがるおばさんだったが、田舎者らしく純朴な人

なので、冗談でそんなことは言わない人である。

おばさんが見た親子は、一体誰だったのだろう?

 

 

 

「舞う女」

 

兄の体験である。兄が大学浪人して、予備校にいた頃だから、も

う随分昔になる。

東京の大手予備校の寮に当時兄は住んでいた。

ある夏の夜のこと。ふと目が覚めると、ベッドと反対側の壁、つ

まり横になれば目線の先にある壁が、何故か放送終了後のテレビ

みたいに「ザーーー」と砂嵐になっている。

「?」

兄は不思議に思いながら、その壁から目が離せないでいた。と、

突然、その砂嵐をバックに、女性が現れて舞いはじめた。長い髪

と白装束、両手には短剣(短刀?)を持っている。女性の目は異

常につりあがっている。

日本舞踊の様に、その女性はゆっくりゆっくり舞いを続けた。

こんな異常な現象に遭遇しながら、兄は不思議と恐くはなかった

そうだ。

女性はしばらく舞った後、フッと突然砂嵐とともに消えたそうで

ある。

 

 

 

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創さんのコメント

初めの「いたでしょ」は、ドッペルベンガーって言うんでしたっけ?

わたしの友人にも、似たような体験をしたやつがいます。

 

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