NEON GENESIS

EVANGELION

二人の希望 written by 流れる星の流れ星

第五話

−少女は憧れの男の死を予感する、そして少年は−

 

 

 

 

 

 

 

アラエルと名付けられた第十五使徒との戦いが終わり、明る

かった空も、今はもう漆黒の闇に変わっていた。シンジとア

スカは使徒の心理攻撃を受けた為、一日の病院生活をしい

られた。

 

「なんであたしがイチイチ病院生活を送らなきゃいけない

のよ・・・ブツブツ・・・ガミガミ」

と、アスカはあんなに使徒の心理攻撃を受けて心身共に疲

れきっているはずなのに、そんなものは何処にも見受けられ

ない。

コンコン・・・不意に病室のドアが鳴り出す。

「はい?」

 

「僕だけど・・・入っても良いかな?」

「シンジッ。ええ、入ってっ」

アスカは本当に嬉しそうな声を上げる。自動ドアが開きそ

こから笑顔のシンジがユッタリとした歩調で歩いてくる。

 

「ごめんね、アスカ疲れてるのに」

「ううん、良いの。心理攻撃の痛み何かもう無いからね」

 

ベッドの側にある丸椅子に座るシンジは、アスカの綺麗なマ

リンブルーの眼を見つめる。アスカもシンジに釣られるよ

うにシンジの漆黒の眼を見つめる。・・・何も話さなず、

お互いの眼を見つめ合う二人は何処か安心しきってる。

 

「・・・僕は絶対アスカを守る」

「・・・ありがと、シンジィ。・・・あたしね最初は守ら

れるのが嫌だった・・・何時までも一人で生きていこうと

思っていた・・・」

 

アスカは綺麗な眼を優しく閉じて優しく独り言の様に呟く

「・・・うん」

「人は一人では生きては行けない・・・それを教えてくれ

たのは・・・シンジ、あなたよ。あたしは何時の間にか嫌

だったシンジを受け入れていた、そして何時の間にかあん

たを・・・その、えと・・・失いたくない掛け替えの無い

存在になっていたの・・・あたしもその存在を守る」

「うん、お互いを助け合おう」

 

カチャン・・・と、電気が消える。遂に消灯時間がやって

きたようだ

 

「ビックリ、消灯時間だわ。くぅ〜、邪魔された気分」

「はは。じゃ、僕は戻って寝るよ・・・また明日ね」

「え〜、戻るの〜?・・・ま、良いか。明日ね」

「うん。おやすみ、アスカ」

「おやすみ、バカシンジ」

 

帰りもユッタリとした歩調で歩くシンジを背中から見つめ

ているアスカは凄く優しそうだ。そして呟く。

 

 

 

「少し寂しいかも・・・」

 

 

 

そして次の日、午後

シンジ達は退院の為の手続きをやっていた。

 

「あ、あの!看護婦さん!」

「はい、どうしました?」

 

「こ、此処に鈴原トウジっていう男の子が入院してるはず

なんですが・・・」

シンジの突然の行動にアスカは驚かされた

 

「鈴原さんならネルフ技術開発部の人、数人と京都に」

 

此処でアスカ・シンジはハァ?と言った顔をする

 

「「なんでぇ?」」

二人は顔を見合わせ呟く、それに答える看護婦さん

 

「・・・さぁ・・・?」

 

シンジは思い切って聞いてみただけにショックが大きい

ブツブツと呟きながら二人は病院を後にする

「なんで・・・京都に?・・・・ブツブツ」

「しかも、なんでネルフ技術開発部となの?」

「本当だよ・・・お見舞いに行く決意が出来たのに」

「ま、場所が京都だけにあたし達はいけないわね」

「うん、全ての使徒を倒すまでは・・・」

 

午後の陽射しが二人を容赦なく照りつける、そして二人は

自分達の家に到着したのだった

 

「「ただい・・・ぶっ!?」」

二人がみたものはなんとミサトの脱いだであろう服だった

 

「お酒くさい・・・」

「ミ、ミサトったら。なんでこんなに部屋を汚すのよ!」

「ま、まぁまぁ。アスカ、僕が掃除するから」

「シンジッ!最近シンジはミサトの事甘やかしすぎよ!」

 

玄関に上半身に着る服がバラバラに散らかっていて、歩い

て行くうちにビールの空き缶、そしてリビングには下半身

に着る服が散らばっていた

「いっ?!し、下着までっ!?」

「だらしないわね〜!?とっちめてやるっ!」

「ァアァアスカ!良いよっ!今日だけだから・・・ね!」

「ま、まぁ、あんたがそこまで言うなら仕方無いわ」

「ありがとう、アスカ・・・」

シンジがニッコリ笑ってアスカの心臓を射抜く

「・・・うん、あたしも掃除手伝うわ」

「うん、ごめんね」

 

シンジは慣れた手付きで、アスカは不慣れな手付きで掃除

を始め出した。最初にミサトの部屋以外の窓という窓を全

て空け風通しを良くして、ゴミをゴミ袋に入れて次に掃除

機でホコリが溜まっている床を綺麗にする

 

「・・・平和ね〜」

「うん・・・アスカはあれから何も無い?」

「ええ、でも使徒には本当に嫌なモノ見せられたわ」

「あの使徒はアスカの心を殺そうと思ってたのかな?」

「そうでしょうね、あたしもあの時・・・自分の心を闇の

中に閉じ込めたくなるほど苦痛を味わったからね」

「・・・今は大丈夫だよね?」

「うん、時々不安になるけど・・・大丈夫よ」

「・・・辛い時は何か力になるよ」

「ええ、頼りにしてるわよ。バカシンジッ」

 

と、二人は掃除の手を早める。結局、全ての部屋を掃除し

てしまい、時刻は午後の六時になっていた

 

「ふぅ、ミサトさんの部屋以外の部屋を掃除したら、もう

こんな時間だ・・・」

「あぁ〜、疲れた〜・・・」

アスカは床に寝転がって大の字になり疲れを癒す

「アスカ、お風呂にお湯入れてあるから入ってきたら?」

「ナイスッ!バカシンジにしては気が利くじゃん!!」

「はは、ま、入ってきなよ?」

「うん、そうするっ!・・・そうだ、シンジ?一緒に入ろ

うか?」

 

シンジは耳まで顔を赤く染めあげ頭のヒューズが何個か吹

っ飛ぶ

「アス・・ア、アスカ・・・」

 

「ご、ごごご、ごめん・・・言いすぎたわ」

アスカもシンジの困った態度を見て自分が大胆発言したな

と思い少し頬を赤く染め、お風呂に直行する

 

「・・・ば、晩ご飯作ろ・・・」

 

 

 

 

お風呂・・・アスカはお湯に浸かりながら昨日の事を考え

ていた、アスカの顔は赤い、その赤さはお湯による暖かさ

の所為だけではなさそうだ

「お互いを助け合おう・・・か、ふふ、良い言葉」

それって、まさにあの2バカ達が言う夫婦ね

「へへっ。あ〜ぁ、昔あんなにシンジの事が嫌いだったの

に・・・今じゃぁ、最高に・・・す・す・・す」

何を言ってるのかしら・・・あたしって、でも最近シンジ

を見る目が変わったわ。

 

と、此処でアスカは鼻の頭までお湯に浸かり鼻からプクプ

クっと空気を出す

「プクプク・・・・・プハッ・・・はふぅ」

 

あたしは何時の間にかママの存在よりシンジの存在の方が

大きくなっていってる

「だから、使徒の心理攻撃は最後のトドメみたいにあたし

からシンジを奪ったのかしら・・・?」

ごめんね、ママ・・・あたしは時々ママを忘れる事が多い

「・・・ふぅ、身体洗お・・・」

 

アスカは気持ちの良いお湯から身体を立ち上がらせ、ピン

ク色のタイルに足を置く

「ヤダッ、病院の匂いがするぅ・・・これはキ〜ッチリと

身体洗わないとね」

スポンジに適量のボディソープをつけて首筋から洗い出す

「・・・エヴァでママの存在を感じられないのはあたしが

ママを忘れてる所為だから・・・?」

うん。そうよね、都合の良い話よ・・・ママの存在を感じ

取ろうとしないあたしが悪いのよ。

「ママ、本当にごめんね・・・今はシンジへの思いがママ

より大きい。自分勝手なあたしを許して」

 

何時の間にか身体を洗い終わっていたアスカはプラスチッ

クの桶で湯船のお湯を掬い自分の首筋から流し始めた。身

体がキレイサッパリするともう一度湯船に身を沈める

「・・・ふぅ〜」

 

同時刻、キッチンではシンジが晩ご飯を作っていた。今晩

のご飯は豚肉のしょうが焼き・ポテトサラダ・シメジの味

噌汁、シメジの味噌汁はミサトの二日酔いの為に作った物

 

「普段は二日酔いになんか成らないミサトさんだけど、今

回は飲み方が異状だからね・・・」

僕はなぜミサトさんがあんな異常な飲み方をするか知って

いる、それは加持さんへの思いから来る悲しみの所為だ

 

「・・・」

 

ミサトさんに言いたいことは一応ある・・・

 

「寝る前にミサトさんと話してみようかな・・・」

ミサトさんの気持ちを知っているのに僕はアスカと楽しく

話をしている・・・この複雑な気持ちをアスカに相談して

みようかな・・・気分が落ち着くかも

 

「・・・駄目だ・・・アスカは」

アスカは加持さんが死んだことをまだ知らない

「昨日、アスカは使徒の心理攻撃をあんなに受けたばっか

りだし・・・心が不安定な時に加持さんの事は話ちゃ駄目

だ・・・」

色々な事を考えていたシンジは、無意識の内に料理を作り

終わっていた

 

「あ、全然心がこもってない・・・」

 

その時シンジは後ろに何かを感じ取りゾクッとする

 

「バッカシッンジ!」

「わっ!」

シンジが後ろに振り向くとそこにはバスタオル一枚で身を

まとったアスカだった

「身体を少しお湯で濡らした美少女はどうかしら?」

「アスカ、綺麗・・・」

シンジはすんなり思った言葉を口にする

「シンジィ・・・真剣な顔で言わないでよ・・・」

「だ、だって・・・じゃなくアスカ風邪引くから早く着替

えておいで」

「うん、着替えを覗くんじゃないわよっ」

「・・・・わ、解ってるよぉ」

シンジは着替えを覗いた事は無いが衣擦れの音を真近くで

聞いたと心の中で呟いた・・・

 

黄色のタンクトップとジョギパンを着込んだアスカが椅子

に座り込むとシンジはご飯とオカズを二人分並べ始めた

 

「あれ?ミサトの分はどうしたのよ?」

「あ、ミサトさんは気分が悪いからって、寝てるよ」

 

勿論ウソである、しかしアスカはそれを見抜けずに今日の

晩ご飯を見つめる

「久々だなぁ〜、シンジのご飯っ」

 

「はは、たかが一日だろ?」

「でもそれだけシンジの作るご飯は美味しいって事よ」

「聞き飽きない言葉をありがとう」

「「いただきますっ」」

二人はユニゾン合掌すると食事を始め出した

「モグモグ・・・ゴックン、うん!最高!!」

「ぷっ。大げさだよ〜、アスカ」

と、二人は楽しくお喋りをしながら食を進めた

「うん、このお味噌汁うまいっ」

「まあね」

「へ〜、この豚のしょうが焼きってぇのも良い味でてる」

「自信作」

「うんうん、ポテトサラダも優しい感じの味が出て懐かし

い感じがするっ」

「僕が作ったからね」

「へへ、バ〜カ」

こんな微笑ましい会話と共に何時の間にか食事は終わって

いた

 

 

カチャン・・・ジャブジャブと食器を洗うシンジ。

アスカは何となくベランダで月を見つめていた。

 

「綺麗な月ね・・・」

こんなに平和だと、本当に使徒っているのかな?って思う。

 

「ねぇ、あたし達ってこの時代に生まれてきて良かったの

かな?」

 

あ〜ぁ、もっともっと平和な世界でシンジと一緒に暮らし

たいな・・・でも、今のままでも良いか。悲しい事・嬉し

い事、その二つがあるからこそあたし達は今のあたし達に

なれたんだから

 

背後からカラカラと窓が開きシンジの声が聞こえてきた

 

「アスカッ」

「あ、シンジ」

「僕、いまからお風呂入ってくるよ」

「ええ、ユックリ温まって来て」

「うん。アスカも少ししたら部屋に入りなよ?風邪ひくか

らね」

「ええ」

またカラカラと窓が締まりアスカは月を見つめた

 

「・・・」

 

 

時刻は午後11時、この時間帯になると辺りの家家の窓か

らは光が消え去っていた。遠くからは車が走る音、バイク

の甲高い音・・・しかしそんな音を聞いても少しもうるさ

いとは思わない、反対に眠気を誘うような・・・

 

「あ〜ぁ、もう・・・眠たくなってきた」

アスカは自室でボーッとしていた・・・

 

コンコン、

 

不意にノックされるフスマ

 

「・・・シンジ?」

「うん、一応お休みを言おうと思ってね」

「うん、あたしも眠たいから・・・そろそろ寝るわ」

「「おやすみ・・・」」

 

 

 

シンジは自室に入り勉強机に座り頬杖をしながら考える

「一時間後にミサトさんの部屋に行こう・・・」

部屋の電気は豆電球と机のスタンドの小さな光で少し悲し

い感じがする

「僕は信じない・・・加持さんが死んだなんて・・・・」

 

   

アスカは一度はフトンに入って気持ちの良い暖かさで眠る

間際まで行っていたのにトイレに行きたいという衝動に襲

われ眠たい眼をゴシゴシしながら起き上がった

「う〜、寝る前に行くべきだった・・・」

 

フスマを開けるとシンジの部屋から明かりが洩れていた

「・・・起きてるんだ・・・」

 

ポツリ呟くとアスカはフラフラッとリビングに向かった。

ミサトの部屋を通ろうと思った時、アスカの耳にすすり泣

くミサトの声が一瞬聞こえた

 

「・・ん?!・・・・・・?」

 

しかしアスカはこれを聞き間違いと思いトイレに向かう

 

ゴボゴボジャァァァア

トイレも済ましてさっさと寝ようと思ったアスカだったが

もう一度ミサトの部屋の前を通ると今度はハッキリとミサ

トがすすり泣く声が聞こえた

 

「ウェ・・・加持くぅぅん・・・どうしてぇ・・グスッ」

 

な、なんでミサト?加持さんとケンカ?でもケンカごとき

で・・・こんなに泣く?まさか加持さんに何かっ?!

 

「加持さん・・・」

 

アスカは何とも言い様の無い悲しみに襲われながら自室に

戻らずシンジの部屋のフスマを少し開けた

 

「・・・シンジ、少し良い?」

 

シンジは頬杖をやめて、呟きながら頷く

 

「アスカ・・・うん、入ってよ」

 

フスマを開けられたアスカはシンジに進められてベッドに

腰掛ける

 

「・・・」

「・・・アスカ、どうしたの?」

「なんだか・・・悲しい」

シンジはアスカの頬を伝う一粒の涙を見逃さなかった

 

「・・・」

 

 

 

「加持さんって死んだの?」

 

加持の死を突然呟いたアスカに驚くシンジ

「加持さんの事知ったんだ」

 

「シンジ、それ本当なの?」

 

「うん、加持さん・・・亡くなったらしいんだ・・・」

 

「加持・・さんが、死んだ・・・」

力無くベッドに倒れそうになるアスカを素早く抱き止める

シンジ

「アスカッ、気をしっかりしてっ」

 

「うぇっ・・・加持さんがぁ・・・グスッ死んだ・・・」

アスカを抱き締める力を少し強めるシンジ

 

「アスカ、聞いて。ミサトさんは加持さんの遺体を見てい

ないんだっ」

「でも・・・でも、ミサトのあの泣き方がそれを物語って

る・・・」

シンジはガバッとアスカの肩を持ち自分から引き剥した、

そしてアスカの肩を揺さぶりながら

「アスカ、あれはミサトさんの早とちりだよ!加持さんの

遺体も出ていないのに死んだなんて言うのはまだ早い!」

 

幾つも涙を流す自分を見つめるシンジを抱き締めたくなる

アスカ

「グスッ・・・シンジィ・・あたし・・」

自分の首に手を回してくるアスカを抱き締めるシンジ

「アスカ、僕は加持さんが死んだなんて絶対信じない」

「・・・うん・・・あたしも信じない・・でも」

「ん?・・・でも・・?」

「悲しい・・・」

「加持さんは絶対に僕達の前に現れるよ、生きてね」

「うん、怒ってやらなくちゃね」

「うん、そうだね」

涙目になって微笑むアスカを見つめるシンジ

「・・・アスカは僕に聞かないの?」

「・・・どうして、あたしにこの事をすぐに言わなかった

か?」

「うん」

「あたしは聞かない・・・シンジが優しいからこそあたし

に言わなかったのよ」

「僕は・・・また逃げ出したのかな?」

「それは違う、迷ってたのよ・・・誰にも相談出来ないか

らね」

「・・・そう言ってもらえると助かるよ」

「あたしも加持さんが死んだなんて思わない」

「うん」

「シンジィ・・・このまま此処で寝てもいぃ?」

「うん、僕のベッドを使いなよ」

アスカにフトンを掛けてやり頬を撫でるシンジ

 

 

「・・・シンジも入ろうよ・・・」

顔を赤く染めあげ絞り出したように呟くアスカに微笑み、

もう一度頬を撫でるシンジ

 

「このままアスカが眠るまで見ていたい」

「バ、バカッ、勝手にしなさいっ」

と、苦笑いと共に目を閉じていくアスカ。シンジは床に座

り込み自分の両手をフトンの中に入れていき、アスカの片

手をそれで包み込むのだった

 

「シンジの手・・・暖かい」

「アスカに寂しい思いはさせないからね」

「・・・ありがと・・・あたしもシンジに寂しい思いはさ

せないから」

「うん、ありがとう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一時間位たっただろう、シンジはアスカが完全に眠ったの

を確信すると両手で包み込んでいたアスカの手を離し最後

にもう一度アスカの頬を撫でて自分の部屋を出ていくのだ

った。シンジが向かう部屋はミサトの部屋・・・

コンコンとシンジがミサトの部屋に向けてノックする

「ミサトさん」

「・・・」

「ミサトさんっ」

「何よっ、うっさいわね」

「開けますよ?」

「・・・」

何も言わないのでシンジはユックリとフスマを開ける。

部屋の中は豆電球が小さくミサトの部屋を薄暗いオレンジ

色に変えていた

「ミサトさん、加持さんの事で」

「やめて・・・もう、彼は死んだのよ」

「・・・遺体は出たのですか?」

「出てない・・・でも加持くんは・・死んだの・・」

「でももくそもないですよっ」

「シ、シンジくん・・・」

「遺体も出ていないのに・・・死んだのも確認していない

のにっ・・・勝手に好きな人を殺すなんて・・加持さんが

可愛そうですよっ!」

「・・・・」

 

 

ミサトは言い返せなかった・・・シンジの言うことがもっ

ともだったからである

「・・・ミサトさん、僅かな望みを信じて・・・加持さん

の無事を祈りましょうよ。加持さんは絶対にミサトさんに

会いに来てくれます」

「・・・わたし、疲れたから寝る・・・一人にして」

シンジは震えるミサトを見つめて優しく言う

「解りました、ご飯が出来てるんで食べてくださいね」

「グスッ・・うん・・・」

「おやすみなさい、ミサトさん・・・生意気な事言ってす

いませんでした」

「良いの・・なんか、元気が出てきた」

それを聞いたシンジは自分の部屋へと戻っていった

 

自分の部屋に戻るとまず最初にシンジの目に入ってきたの

は多分恐い夢でも見てるのだろう・・・

アスカの少し恐怖に染まった顔を見てシンジは駆け足気味

にベッドに近づく

「アスカ・・・」

「イヤ・・・シンジを取らないで・・」

シンジは床に座りアスカの側で腰を曲げてベッドにもたれ

かける

「アスカ、僕は誰にも取られないよ・・・安心して」

そしてフトンの中に両手を入れてさっきと同じようにアス

カの片手を包み込むのだった・・・

「シンジィ、ずっとあたしの側にいてね」

「・・・起きたの?」

と、シンジはアスカの顔を覗くとアスカは安心しきった安

らかな寝顔になっていた

「良い夢を見てね・・・」

 

 

つづく

次回

−涙を流す青き髪の少女−

 


曖昧劇場エヴァンゲリオンを見てくれて、

ありがちょんまげ・・・すんません、いま一度ありがとう

ございましたっ

ご不明な点などを発見した時は適当に僕に送ってくださる

か、闇の中に葬ってくださるか、見てみぬフリをしてくだ

さい

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流れる音の流れ星さん

 

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