04/9/18

文学 72

菜根譚

菜根譚から引用した言葉に感銘することが何度もありましたので、このたび岩波文庫の菜根譚(今井宇三郎訳注)を読破しました。300ページ余りの本ですから、毎晩10ページづつ読めば1ヶ月で読めるだろうと思っていたのですが、意外に手間取って2ヶ月以上もかかりました。菜根譚は論語に比べて遥かに読みにくいのです。両書の巻頭の文章を例にして、読みやすさを検討してみますと、

論語

【本文】子曰、学而時習之、不亦説乎。有朋自遠方来、不亦楽乎。人不知而不チ、不亦君子乎。
【読み】子曰く、学びて時にこれを習う、亦よろこばしからずや。朋の遠方より来るあり、亦楽しからずや。人知らずしてうらみず、亦君子ならずや。
【意味】孔子言う、学んだことをいつも復習していると、いつの間にか身についてくる。これはなんと嬉しいことではないか。親友が遠方からやって来て話し合う。これはなんと楽しいことではないか。世人が自分を認めてくれなくても不満を抱かない。これはなんと立派な人ではないか。

菜根譚

【本文】棲守道徳者、寂寞一時。依阿権勢者、凄涼万古。達人観物外之物、思身後之身。寧受一時寂寞、毋取万古凄涼。
【読み】道徳に棲守(セイシュ)する者は、一時に寂寞(セキバク)たり。権勢に依阿(イア)する者は、万古に凄涼(セイリョウ)たり。達人は物外の物を観、身後の身を思う。寧ろ一時の寂寞を受くるも、万古の凄涼を取るなかれ。
【意味】道徳を守りぬく者は、一時的に不遇で寂しいことがある。権勢におもねる者は,一時的に栄えるが結局は永遠に寂しく痛ましい。達人は常に世俗を超越し,死後の生命を考える。そこでむしろ一時的に不遇で寂しくても道徳を守り、永遠に寂しく痛ましくなるような権勢におもねる態度を取るべきではない。

菜根譚には棲守、寂寞、依阿、凄涼などの難解な言葉や、物外の物、身後の身などの特別に解説を要する熟語があります。やはり2500年前にできた論語と400年前にできた菜根譚では、文章の複雑さが違うようです。

私としては、明快な論語が相変わらず最も気に入りの書ですが、菜根譚も今後の生活指針として大いに活用していきたいと思っています。

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