高退教会報バックナンバー


150 2017年10月(抄)


      目  次
つくろう 今です 歴史に残る年を       岡山高退教会長  萱栄次
岡山高退教第38回定期総会を開催    岡山支部  井上俊清
2017岡山高退教総会 講演・交流    岡山支部  美甘晃
「味があるなぁ」と作品群に感心       岡山支部  小川澄雄
第19回(2017)岡山高退教作品展目録
2017年定期総会 返信ハガキ紹介  
美作支部交流会報告                美作支部  草地浩典
第46回自然歴史探訪に参加して       岡山支部 美甘晃
2017・3・11・・に少し考えたこと。(連載第1回) 岡山支部 佐藤静雄
2017年度岡山高退教役員
編集後記

つくろう 今です 歴史に残る年を      
岡山高退教会長  萱栄次

今の政権ほど、日本の政治史上、歴史に残るであろう政権はありません。これほど、国民の声を聞かない、いや、聞くふりすらしない政権は初めてです。これほど憲法を無視して、違憲立法を強行する政権はかつてありませんでした。
ここ数年をふりかえってみても、秘密保護法、戦争法、共謀罪など、いずれも、国民の大多数が反対や慎重審議を求めたものです。しかし、国会での十分な討論はされず、数の力で強行されたのです。これらは、すべて、憲法9条をはじめ、国民の基本的人権を侵害する憲法に違反するものばかりです。
今年はまた、世界的にも歴史に残る年でありました。国連で、「核兵器禁止条約」が採択されたのです。長い間の核兵器廃止の運動が結実した画期的なことでした。しかし、唯一の被爆国である日本政府は、この会に参加すらしませんでした。これまた歴史に残る政権と言わざるをえません。
この歴史的政権が、現在、もっとも力を入れているのが「憲法改正」です。いったい、どのように憲法を変えたいのでしょうか。今まで「違憲立法」だと国民に非難されたものを「合憲」になるように憲法を改めるのが目的であるのは明らかです。
憲法・教育基本法(旧)の精神で教育活動をしてきた私達高退教にとっては、今年こそ、憲法を変質させようとする流れを止め、新しい歴史を築くための歴史に残る年としたいものです。

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岡山高退教第38回定期総会を開催   
岡山支部  井上俊清

総会のオープニングでは、濱越さんのアコーディオン伴奏で組曲「子どもを守るうた」を…♫キンピョウハンタイ、センソウハンタイ、♫コドモタチヲセンソウニオクルナ!♪、…総会出席者48人が思いを込めて合唱しました。 開会行事の後、討論に入りました。
 「28年間続いている教育全国署名にかかわって、『継続は力なり』、ゆきとどいた教育求めて延べ4億5千万筆もの署名を国会に積み上げた力は、着実に教育条件を前進させてきた。このことに自信をもって引き続いて署名運動をすすめていこう」「(安保法制の廃止と立憲主義の回復をもとめる『おかやまいっぽんの会』を知らない人は?)(10人程が挙手)。このように、広がりがまだまだ不十分な状態にある。市民と野党の共闘を発展させるために、『おかやまいっぽんの会』の活動を知り合いに広げてほしい」…など意見が出されました。
 また、『教育研究全国集会 2017 in岡山』(8/18~8/20)の成功に向けて、分科会等に岡山高退教から30人の要員を確保してほしいこと、積極的に分科会等に参加して発言してほしいことなどが訴えられました(高教組に参加券があります)。
 会計担当者からは会費納入時の要請がありました。「会費払い込みの手数料が年間15,000円にもなっている。もったいない。手数料の安いATMで振り込んで欲しい。なお、郵便局の口座を持っている人は月3回までは無料扱いなのでこれを利用してもらえたら…」。このことに関連して、「ケチケチしないで会費を値上げすべきだ」との意見がありましたが、逆に値上げに強い反対の意見も出されました。
最後に役員改選があり、新役員が選出されました。

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2017岡山高退教総会 講演・交流   
岡山支部 美甘 晃

 午後の学習・交流では、「教育勅語と道徳の教科化」と題して、おかやま教育文化センターの田中博先生の講演があり、その後、講演内容をもとに質疑・交流をおこないました。
 森友学園問題に関連して、同学園が同保育園園児に教育勅語を暗唱させているという、一瞬耳を疑うようなことが判明、世間の注目を浴びました。文科省審議官が、国会答弁で「教育勅語には今日でも通用するような普遍的な内容も含まれていて、適切な配慮のもとに活用していくことは差し支えない」と発言し、教育勅語を学校教育
で使うことについて「憲法や教育基本法に反しないような形で教材として用いることまでは否定されることではない」と政府が閣議決定するなど、戦後完全否定されたはずの教育勅語が亡霊のようによみがえり、へたをすると復活してしまいそうな気配さえ感じる情勢です。 2015年の小・中学校の学習指導要領の一部改正で、「道徳の時間」が「特別の教科 道徳」に変更され(いわゆる「道徳の教科化」)、2018年度から全面実施されます。新指導要領の示す指導項目の中には、平和の希求や平等、人権や民主的な社会づくりなどの「ことば」はなく、責任、奉仕、謙虚、感謝、畏敬の念などの文言が目立つとのこと。民主的道徳教育をすすめるにあたっては、徳目の押し付けではなく、個人の尊厳、個人の正義と社会の正義を共に探求することが大切であり、教育勅語をめぐる情勢もふまえ、道徳の教科書を注視し、文科省の示す道徳の内容を多くの人に知らせ、これから道徳教育をおこなう教師を精神的に支援することが大切だということを確認しました。
 講演後の交流では、「ある意味これはチャンス、教育勅語が子どもたちを戦争に駆り立てるためにいかに利用されたかをしっかり教えるべきだと、ある会で発言したところ、年配の参加者から教育勅語はそんなに甘いものではないと反論された。」
「教育勅語には日本人に色濃く存在する義理・人情という感情を刺激する側面があるのではないか。」「教育勅語は大和ことばではなく、もったいぶった響きのある漢文訓読の文体。アベの大嫌いな中国で生まれた儒教を元に、明治政府が考案したもの。」
 「われわれの道徳教育はどうあるべきかという議論が足りなかったのではないか。」
「われわれの道徳は、憲法の理念に基づく人権・民主主義を基本にした近代的市民道徳だ。」など、多彩で興味深い意見が相次ぎました。


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「味があるなぁ」と作品群に感心
―7月5日~9日に第19回高退教作品展を開催―

岡山支部 小川澄雄

 岡山高退教の第19回作品展は、7月4日(火)搬入、7月5日(水)から7月9日(日)までの日程で生涯学習センターを会場に開催されました。4日の搬入の際には作品を持ち寄った制作者は勿論、事務局・地区幹事の先生方が会場づくり・展示作業に汗を流しました。
 第19回作品展には32人が60の作品を出品しました。
 前回の作品展と異なり、地区活動の紹介コーナーを設けませんでしたが、ご遺族のご厚意により、最近お亡くなりになった花谷純夫氏の木彫作品・道信千昭氏の水彩画も出品していただきました。遺作展の性格も併せ持つ作品展となりました。
事務局には数年前から「年齢を重ね、作品を作れなくなった」とか「毎回作品を出していた先生がお亡くなりになった」などの声が寄せられていました。一方、退職したての人たちへの出品働きかけが十分でないのか、若い層の出品申し込みがなかなか増えていません。
 とはいえ、絵画、写真、書、服飾・手芸・工芸、ペーパークラフト、論文・・・と多分野にわたる作品群が会場いっぱいに並べられました。
 会場を訪れた人たちは、展示全体をゆっくり見て回る人、写真コーナー重点の人、油絵重点の人など、それぞれの興味に従って見学していました。

 「なかなか味があるなぁ」と木工作品のテープカッターの前を動かなかった男性、「論文“戦時中の国民学校教科書の実相”は時間があればじっくり読んでみたい」と女性。「田圃の中の牧草ロールは魅力的、あの風景は自分が撮ってみたいショットだった」と写真講座に通っている女性・・・などのことが、受付係のメモに記されています。
 また、行事を終えてやってきた小学生がペーパークラフトを見て「僕これ欲しい」とペーパークラフトのボールを手放さず、親を困らせていたことも耳にしました。さらに、絣の着物やタペストリーなど手間をかけた作品群に感心していた女性たちの姿も見られました。
 前年に続き、今回も藤原洋平さんデザインの案内はがきを用意しました。「はがきをもらって見に来たよ」という人もあり、それなりの効果はあったようです。とはいえ、見学者が爆発的に増えたとはいえず、例年とほぼ同じくらいの人数でした。

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美作支部交流会報告
美作支部 草地浩典

 4月28日(金)津山市南新座のアリコベールを会場に、2005年から2015年まで中国の南京師範大学の留学生としてまた三江大学の日本語教師として過ごした曽田康載氏から話を伺った。
 全般的なことは会報に連載されているので省略するが、使用していた教科書、写真等の資料を示しての話は具体的でわかりやすかった。中国の文字は漢字で日本語と同じであるが、発音が四声で日本語とは全く違うので興味がわいてきたこと、留学生は若い人がほとんどで自分が最年長だったこと、みんな親切であったこと、成績優秀者の表彰には必ず賞金が付くこと、日本語教師としての作文の添削指導にエネルギーを使い大変だったことなどの話があった。
 太極拳を指導していただいたが、実際に行ってみると全く何をやっているのか全然様にならなくてうろうろしているだけであった。曽田さんの素晴らしい動きに見とれていただけで、とても短時間でできるものではなかった。忘れないように毎日練習していると言われていた。
 日中間には現在領土問題などいろいろ問題があるが、中国では教師と親に対しては伝統的に尊敬の念が強く、自分は教師の立場のためか特に問題視されるようなことはなかったそうだ。中国人は自分第一主義の行動原理があるようでそれがエネルギーにもなっているが公共のマナーの問題やいろいろな軋轢になっている面があるのかもしれない。
 国際関係学院(高級軍人養成大学)では日本語会話の教師として勤めたが、軍人養成の学校のため情報管理など独特の雰囲気であったと具体的に指摘された。
 最後に自分は留学生として、また両面の生活だったため中国語のマスターという点では消化不良になってしまったのが悔やまれると発言された。
 連載を読んでいるものの実際に話を聞くと、より具体的なのでよく理解できた。私自身旧知の間柄だったため懐かしく、楽しい時を過ごし大変嬉しかった。
 曽田氏の思いを十分報告できていないがご容赦頂きたい。
〈参加者の感想〉
・自分も海外に言った経験があるがその国の言語に没頭しなければ言葉は身につかないというのは同感である。
・同文同種の関係なので差異は認めながらの交流が大切である。
 東洋医学がもっと重要視される必要がある。長いスパンでじっくり効果があることを自分の体験で知った。
・自分第一主義からくる行動なのであろうが、公共のマナーの問題に時々遭遇することがある。国と国との関係ではいろいろ問題もあるが民間人同士はよくやっていると思う。
・10年にわたる長期の活動に感心した。何よりも健康に留意されていたのだと思った。
・お二人の話を一緒に聞けたらさらに良かった。
・社会科が専門なのだが中国語を学び、さらに日本語の教師として活動された熱意に対して敬意を表したい。
・中国の拡張主義に不安がある。お互いに意思の疎通が大切である。
・2015年7月7日の最後の授業の話から、自分の最後の授業を思い出し感動が伝わってきた。
〈その他〉 今回問題となっている共謀罪について、戦前の治安維持法下の例などを参考にして心の問題にまで踏み込まれることへの危険性について話し合った。また、陸上自衛隊日本原演習場でのアメリカ海兵隊の単独訓練の問題について憲法の枠組みを超えるものであり、許されないと確認した。
 年金問題の現状や冤罪で苦しむ人を救済する国民救援会についての取り組みの説明もあった。先輩の女性の先生がフォレスタを追って札幌へも行かれた、その意欲に感心するとともに、今の政治のあり方に強い怒りを示された。我々もその強い思いを引き継がなくてはと思った。定期総会、作品展等への参加を呼びかけて散会した。参加者は10人。 

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第46回高退教自然歴史探訪の旅に参加して
岡山支部 美甘 晃

 5月28日(日)、高退教自然歴史探訪の旅に初めて参加した。今回のテーマは“備後の国の成り立ちとホロコーストの現実~旧山陽道を行く~”、広島県福山市周辺をバスで周遊するのである。
 20代後半に5年間矢掛高校に勤務し、当地で生活した時期もあって、岡山・広島の県境付近にはなじみがあり懐かしいところである。この4月から笠岡高校の非常勤講師をしていて、同僚の先生方にも福山や神辺在住の人が何人かいらっしゃる。縁なきものとはとても思えず、チラシを見るなり「これは参加しよう」と即決した。
 ところが当日、参加者23名のうち60代前半は私くらいしかいないことが判明。大先輩方に囲まれて、少し小さくなって連れて行っていただく感覚。しかし、その分まことにゆったりした時間を過ごすことができたと思う。“若い”会員さんみんな再任用で忙しいのか、あるいは旅の趣旨・内容が趣向と少しずれるのか定かではないが、何としても60代の参加が増えてほしいと痛感。次の機会には必ず同世代の人を誘おう。
 旅は、午前9時にJR総社駅前に集合して、バスでJR井原線沿いを福山方面へと移動する。このあたりの備西・備後地域には、まるで“日本昔ばなし”に出てくるような何とも言えない風情がある。そのような中を、備後国分寺跡、堂々川の砂留、二子塚古墳、ホロコースト記念館、備後一宮吉備津神社と巡っていった。
 近年それと判明した備後国分寺跡、暴れ川の治水の努力を示す堂々川の砂留、備後一宮吉備津神社など、どれも地域の豊かな歴史と先人の偉大さを実感させるものであり、備前の国との共通性やつながりを強く示唆するものでもあった。久しぶりの中田啓司先生の解説も傾聴し、お元気な様子に感銘。
 二子塚古墳では、福山市による整備がすすみ、偶然にも石室の一般公開直前で、市教委の方々が準備作業の真っ最中。石室内部を拝見させていただいたうえ、詳しい解説までいただいた。何という幸運。こんなことがあるからわからない。事務局・幹事の方々も万々歳だった。
 ホロコースト記念館では、日曜休館日にもかかわらず館長さんをはじめスタッフの方々のご厚意により、1時間あまり開館していただいて、詳しく案内までしていただけた。ここは、教会牧師である館長さんが1971年にアンネ・フランクの父オットー氏に偶然出会ったことをきっかけに開設された。ヒットラー・ナチスによる想像を絶する戦争犯罪により、第2次大戦中500万人ものユダヤ人、ロマ、障害者などが虐殺された。そのうち150万人が子供であったというが、展示物は、来館者の年齢構成も考慮し、あまりにも悲惨なものは避けているということであった。「ただ同情するだけでなく、平和をつくるために、何かをする人になってください」という、オットー氏の言葉を胸に刻みたい。ここでは、「アンネのばら」を背景に全員で記念写真におさまった。
 備後吉備津神社では、人力車をひいた腹掛け・股引き姿の青年と遭遇。全国の一宮をすべて巡るのに挑戦中で、秋田まで人力車を引いて行くプランだとか!? 頑張ってほしい。
 吉備津神社を最後に、一路総社駅へと帰還し、17時すぎに現地解散となった。天候にも恵まれ、ゆったりと豊かな一日を過ごすことができた。準備・運営してくださった幹事の方々に大いに感謝したい。

追記:福山市神辺付近では、トンビが10羽ほども田んぼの上を舞っていた。帰路の矢掛町の小田川では、若いサギが5~6羽それぞれ勝手な方向を向いて水辺で休憩していた。神辺でも若いトンビが巣立ちの練習をしていたのかもしれない。そういえば少し飛び方がぎこちなかったような…。備西・備後あたりの風景は、やはりどこまでも穏やかで優しく、そして、懐かしいものであった。

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