大会宣言


 2020年1月以来、人類社会に大きな影響を与えている新型コロナウイルス感染症は、5月8日をもって、感染症法上の位置づけが、季節性インフルエンザと同じ5類に移行しました。しかし、ウイルスの性質が急に変わったわけではなく、科学的な知見にもとづく感染症対策が求められます。
 コロナ禍を奇貨として前のめりにすすめられた「GIGAスクール構想」の矛盾も解消されていません。ICT機器はあくまでも道具であり、教育の目的を達成するための手段にすぎません。高教組は情報管理者を専任で配置するよう求めていますが、県教委はICT支援員配置事業の予算を削減しています。生徒1人1台端末の原則個人負担もそのままです。教員が本来の業務である児童生徒の指導に注力できる教育条件整備と、教育費負担の軽減を求めていきましょう。
 定年引上げが始まり、今年度末には定年退職者が出ないことになります。定年年齢が段階的に引き上げられますが、60歳以降は給料月額が7割とされています。再任用の賃金・手当のあり方とあわせて、同一労働同一賃金の原則に反する待遇となっていることは大きな問題です。人事院は60歳前後の賃金カーブが「なだらか」になるよう、「給与制度のアップデート」をすすめるとしています。ベテラン層の賃金抑制を許さず、若い世代も安心して将来設計できる労働条件の実現を目指して交渉をすすめましょう。
 教員免許更新制が廃止され、4月から新たな研修制度が始まっています。研修記録の作成と管理職による受講奨励が柱となっていますが、今のところ岡山県教育委員会は、「負担が増えないように」「強制ではない」と回答しています。一方、文部科学省は、現在構築中の研修システムを、来年度から運用するとしています。文部科学省のシステムが教職員の負担増や管理強化につながることのないよう、声をあげていきましょう。
 ロシアによるウクライナ侵攻が長引くなか、中国の台湾問題や北朝鮮の核・ミサイル問題も口実に、大軍拡がすすめられようとしています。近隣諸国の人びとと良好な関係を築くには、粘り強い外交と交流をすすめるしかありません。防衛費の2倍化は、教育費や社会保障費を圧迫し、さらなる国民負担の増大を招きます。「教え子を再び戦場に送らない」と誓った教職員組合運動の原点に立ち戻り、憲法を生かした施策の実現を求めましょう。
 職場を基礎に「支えあい、助けあい、高めあう」とりくみをすすめ、仲間を増やして協力・協働の力を強めましょう。
2023年6月10日
岡山県高等学校教職員組合第81回定期大会