第103回周南医学会シンポジウム
平成9年10月19日 玖珂郡玖珂町「キッドミュージアム」

「医師会ホームページの役割と問題点」
玖珂郡医師会・玖珂中央病院 吉岡春紀


 それでは私のテーマ「医師会ホームページの役割と問題点」についてお話しします。
   (講演の原稿を掲載しています)


 インターネットでは「WWW」と言われる「文字・画像・音声・動画」などを通信出来るサービスを利用して、個人や団体の情報を世界中に発信することが出来ます。これがホームページで、誰もが作ることが出来、このホームページに載せられたデータは、誰でも簡単にることが可能で、自分のコンピューターに取り込んで、利用することも出来ます。

全国の医師会ホームページの現状ですが、現在、都道府県医師会、郡市医師会のホームページも徐々に増えています。今年10月1日現在、日本全国の医師会ホームページはご覧のように、日本医師会をはじめ16の都道府県医師会で公開され山口県医師会も先日10月1日に正式公開しました。
 郡市医師会のホームページは現在109医師会が公開し、今年2月に比べ倍以上となっており、月々新しい医師会ホームページが開設されています。県内ではわれわれ玖珂郡医師会のホームページを平成8年8月に公開したのが最初で、今年8月に下関医師会・9月には萩市医師会がホームページを公開しました。

医師会ホームページの検索
 これらの医師会ホームページを検索する場合には、各々の医師会ページからリンク出来ますが福岡市医師会が作成した全国医師会マップは便利で、地図の都道府県をクリックすれば良いわけです。

 ではなぜ医師会ホームページが必要なのか、医師会がホームページを持つ意義として目的は医師会の地域情報ネットワークシステムの構築にあると考えます。医師会会員間の情報交換・病診連携・診診連携・地域医療レベルの向上に寄与する事だと思います。

医師会のホームページづくりの問題点
 医師会のホームページづくりの問題点として、各地の医師会ではインターネットを利用しているパソコン愛好家を中心に医師会のホームページを作りたいとする機運は生じていますが、「なぜ・なんでこんなものが必要なのか(不要論や時期早々論)やパソコン愛好者の遊びでは」などの反対意見もあり、理事会などの承認が簡単に得られないことがあり、特に大きな医師会ではこの傾向が強いようです。逆に医師会の意向としてホームページを作りたくても経験者がいないため出来ない医師会もあると聞きます。山口県医師会ではホームページの公開を機に各郡市医師会のホームページ公開を勧めておりますので、早い時期に県内の医師会ホームページが公開されると思います。

では医師会ホームページで何をするか
 情報発信としてはホームページに何を載せるかが問題であると考えます。会員向けの情報とするのか、一般向けの情報を充実するのかの検討も必要ですし、地域の住民がどれほど見に来てくれるのかという問題もあります。地域のインターネット環境の調査も必要でしょう。考えられることとして
1.医師会の広報活動の場とする。
2.一般市民に分かりやすい医療情報・健康情報を載せる。
3.医師会員だけの医療情報交換。 メンバー制のアクセス権
4.地域医療ネットワークの整備。
5.医師会、大学病院を中心としたネットワークの整備。
6.行政を含めた県内のネットワークを作る。
当面これらのことを考えておくべきでしょう。

全国の医師会ホームページで何を載せているかの内容分析では
 これは大阪府医師会の高橋先生がまとめられたものですが、ご覧のような比率で郡市医師会としては一般むけの休日診療所案内・医師会事業案内・健康情報・医療機関案内が主で特に休日当番案内は85%で掲載しています。一方会員むけには学術講演会関連や会員のみの会内情報システムとして利用している医師会もあります。
また少数ですが医師会の主張を公開しているものもあります。

玖珂郡医師会ホームページについて

さて玖珂郡医師会のホームページを作ったきっかけは、友人が日本ではじめて公認の医師会のホームページ(中津市医師会)を作ったことに影響を受けたことです。初めは私の病院のホームページに医師会ページとして載せていましたが、医師会活動や住民向けの半公的な情報発信は個人のページでは無理なことなどがあったからで、ホームページの内容の概略を理事会で紹介し了解を受け平成8年8月14日正式公開 しました。しかし、当時玖珂郡医師会内でインターネットの経験者は私一人でありホームページの内容の決定・更新などはむしろ勝手にさせていただいており、個人的な意見に少し偏りがあり問題点の一つです。

玖珂郡医師会ホームページの表紙です。
9月より医療制度改悪反対キャンペーンで背景を黒にしています。
内容(コンテンツ)は右のメニューにあるように役員紹介・玖珂郡医師会の歴史・医師会活動・休日当番・医療機関案内・一般向けの医療制度解説・医療保険制度改悪反対キャンペーン・医療制度を理解するための参考資料・主張・医師会関係リンク・周南医学会案内に分かれておりこの文字をクリックすれば良いわけです。

医師会活動・休日当番予定表のページです
医師会活動としてはC型肝炎多発地区における医師会の取り組み・緊急災害時応援態勢検討委員会・研修会・講演会記録等があります。右は12月までの休日当番表です。これはどの医師会にも中心に載せている住民向けのサービスですが、まだインターネットでの照会は少ないようです。

健康情報はどこにもありますが、医療制度や医療費の解説はすくないため、一般向けの医療制度解説も必要と考え掲載しました。国民保険と社会保険の違い・医療費の仕組み・ディケア・ディサービスとは・薬づけ・検査づけ医療とは・介護保険の解説を載せています。

医療制度を理解する事も必要であり、医療制度改正への参考資料・我々の主張として、下関の松海先生の論文を許可を得て全文公開しました。このページへの反響は大きくマスコミや他の医師会からの問い合わせもありました。

周南医学会案内・反対キャンペーンの主張です。その他理事の紹介、顔写真なども載せていますが省略します。

医療制度改悪反対キャンペーンについて
 個人的に昨年より有志とインターネットで医療制度改悪キャンペーンを行っていましたが、今年9月の医療法改悪を機会に全国的に反対の意志表示を行おうと言うことになり、9月1日よりページの背景を黒にするか、反対のロゴをつけるかでキャンペーンを行っています。現在100を超える医療機関や医師会で賛同を得ています。これは福岡県医師会と大牟田市医師会のページで私の主張のページにリンクが張られています。このキャンペーンも一般への反応はまだ不十分ですが地道に続けようという事になっています。

日本医師会ホームページ
日本医師会ホームページは今年の1月より公開されました。
コンテンツは注目情報・健康情報・放送スケジュールと各地の医師会から・お薦めのサーバー・医師会の紹介・メンバーズ・ルームなっていますが、まだ会員が必要としている情報や分析、対応等には十分なデータはありません。

日医インターネットニュースです。
いままでファクスニュースとして送付されていたものもホームページに掲載されていますが、いつでも読むこともできまた必要ならプリントしたり書き加えることもできます。

会員専用のメンバーズルームです。
日医の会員専用のページです。これを見るためには日医に登録したID番号とパスワードが必要です。

山口県医師会ホームページ
山口県医師会ホームページは先日10月1日に公開されました。表紙のページです。
山口県医師会ホームページの内容構成は
県民の皆様・医師会の紹介・郡市医師会の紹介・健康情報・感染症週報・休日当番案内メンバーズルームとなっています。

メンバーズルームは日医と同様に県医師会の発行したID番号、パスワードが必要ですので、県医師会にメールで申請する必要があります。掲載内容はまだ不十分で会員のみに公開するものも少ないようです。

医師会ホームページのコンテンツ分担について
例えば「健康情報」などの同じ内容を、多くの医師会が載せても新鮮さがなく努力の無駄もあります。今後はコンテンツ(内容)の分担やリンクが必要となると考えます。

主たる対象を誰にするのかは考え方がありますが今の所
 日  医 :主に会員向けの情報伝達
 県医師会 :日医と郡市医師会の橋渡し・県内の広域医療情報
 郡市医師会:一般むけ・地域医療情報・健康情報と考えています。

医師会健康情報リンク
各地の医師会で掲載している「健康情報」大阪府医師会の高橋先生がまとめられたものです。医師会別・疾患別にまとめられており極端な言い方をすれば「健康情報」このページにリンクすればよいわけです、各医療機関でも得意の分野の「健康情報」もおおく、分担を行う必要があると考えます。

現在全国の都道府県医師会でインターネットの環境が最も進んだ県は愛媛県や沖縄県だとおもいます。詳しい紹介は日本医師会誌にも載っていますので省略しますが、県内の医師会と会員とをイントラネットで結び医師会会員専用のホームページが充実し、医師会内の情報交換の一つとしてメーリングリストが作られています。外からはアクセスできません。またhimedarumaのホームページは全国医療情報システム委員会後に作られたメーリングリストのページで医療問題、コンピューター関係、インターネット関係の色々な問題が討議されています。全国組織の医師のメーリングリストとしては最大のものと思います。

今後の医師会ホームページの方向として、
一般市民に向けて広報活動としては休日当番や医療機関案内・健康情報・住民検診案内などの医療情報の発信だけでなく、市民からの医療相談にも対応できる双方向制のシステム作りも必要になると思います。これには多くの会員の参加が不可欠で、個々の会員では対応できない相談は、会員間のメールでの連携が必要です。

医師会ホームページを作ってみたいと思われる医師会への医師会ホームページ作りのアドバイスとしては
1.どこへ公開するか          
 プロバイダー利用が一般的ですが、郡市医師会用のホームページは県医師会のサーバーに統一して欲しいと考えますし、県医師会ではその方向で進んでいます。近日中に県医師会より通知されるはずです。
2.ホームページ作成委員会の設置 
 一般や会員が何を希望しているかの情報収集、理事会との調整なども必要で、コンテンツの決定には医師がタッチしないと統一性がとれないと思います。医師会内に広報委員を中心にホームページ作成委員会のような組織作りが必要です。
3.経験者がいない場合には業者委託も可能ですが費用がかかります。
 ホームページを業者に依頼することは可能で見栄えの良いページが出来ると思いますが、1ページ数千円は掛かるようで、最近はホームページづくりが簡単に出来るソフトも出ていますので、自分たちで作ってみることも必要でしょう。
4.出来るだけ大きな画像は入れない
 見栄えをよくするのため、画像を多用しますが、モデムを使った環境では時間がかかりますので、出来るだけ大きな画像は入れないようにしたらと思います。
5.頻回の更新がないと飽きられます。

今後の方向
1.全ての会員が、すぐにパソコン通信や、インターネットを開始することはまだ現実的ではありません。
2.急ぎすぎてパソコンを使えない会員に不利になるシステム作りは行わないようにしないといけません。従来のファクスシステムも併用する事も必要でしょう。
3.周辺の通信環境を整えながら、インターネットの面白さ、便利さなどを少しずつ理解してもらうよう努力する事から始めるべきです。
4.各地のパソコン同好会の活用も必要で経験者を医師会に登用し、パソコン講習会の開催・機種の調整なども行う必要があります。

各郡市での取り組みに期待して話を終わります。


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