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Baby-Pro REPORT(1)
[ベビーカーのキャスターについての考察]

キャスターの特性と不具合の対処について

ベビーカーには、方向転換がスムーズにいくようにキャスターというものが付いています。
馴染みのある機構で、いまさら目新しくもないのですが、実はたいへんデリケートで複雑な問題を抱えたまま利用されています。ベビーカーは転がす目的のものですから、ちゃんと転がってあたりまえなのですが、実際にはそれがスムーズにいかないというクレームがあるのが現状です。

説明や検証にいつもかなり手間をとっていますので、一度整理をしておこうと思い、このページを加えました。商品が新しいうちからどうも動きが悪い、スムーズさがないという方は参考にしてください。

先に簡単に結論を言うと、「キャスターの不具合は注油や改修によって解決するものも多くあるが、一方の特性を取れば一方の特性を失うという、避けられない問題がある」というものです。また「不良かなとおもう症状が特性の一つだったり、簡単なメンテナンスで直るものだったりする」ので、気になる方はご一読ください。

< 設計上のパターン >

キャスターは通常2輪がワンセットになっています。この2輪はスチールの車軸で繋がっています。ホイールと車軸の組み方はモデルによって仕様が異なり次のようなパターンがあります。

@車軸とホイールが固定されているもの    
              → 左右車輪が完全に一緒に回る

A固定ではないが、若干の抵抗があるもの 
              → 左右車輪が別々にも回るがスムーズではない

B車軸とホイールの固定が解除されているもの   
              → 左右の車輪がスムーズに別々に回転する


@の仕様は古いベビーカーの一部に見られ、現在ではほとんど採用されません。キャスターは向きを変える時に内輪差という回転の誤差が生じます。その場で急に向きを変える時など、回転方向が逆向きになることさえあります。そのため@の同軸固定では、キャスターが思った方向にスムーズに向いてくれず、無理やり方向転換をすると、キャスターが捻れてベビーカーが大きく揺れることがあります。

Bのパターンでは、同軸固定を解除してあるので、内輪差をうまく吸収して小回りの良いキャスターになります。ただし、キャスターには独特の癖があり、走行中に左右にぶるぶると震える症状がでます(ウォーブル現象)。
速い回転時や、荷重があまりかかっていないときにおきやすいのですが、これは特性であり、不良ではありません。@の同軸固定にすると出にくくなります。

Aは@とBの折衷案ですが、加減が非常に難しく大量生産に向いていません。また、限りなくBに近いAにならないと、小回りの時のスムーズさが体感出来ないので、実際にはBの同軸解除が採用されるベビーカーが多いのが現状です。
 
    

日本メーカーのベビーカーは、基本的にAかBの仕様になっています。特に最近はBが増えました。一時、@のタイプのベビーカーが大量に出回り、クレームに追われたことがあるので、メーカーも懲りたのかもしれません。

生産ロットによって、Aのパターンで、やや硬く@に近い仕上りになってしまうケースがあり、そうなると当方の出荷前検品・調整が大変になります。けれど、可能な限り、すぐに快適に使用出来るように調整して出荷しています。

海外製品は、概して造りがラフなので、ほとんどがBの仕様。中には度が過ぎて(遊びが大きすぎて)タイヤがガタガタのものもあります。それらはこうした微妙な話とは無縁で、調整のしようもありません。そうしたあるまじきベビーカーは、Baby-Proで扱うこと自体避けています。

< 知っていてほしいこと >

・このようにキャスターが正確に働くには、「精度」と精度を保つための「強度」、適度な重量による路面との「抵抗」、適度な潤滑油の補充など、複雑な条件が絡んできます。赤ちゃんの重量も変わっていきますし、リクライニングによって車輪にかかる荷重バランスも変わります。
これほど要素が多いと、完全なものを作ることは、非常に困難であることが想像できます。
屋外での放置をせず、出来るだけ、ほこり(特に砂ぼこり)を避けること、時々掃除と注油をすることが大切です。

Aの仕様のベビーカーは、個体差があるので、同じ商品でも若干使用感が異なることがあります。小回りを優先するとBの仕様が理想なのですが、ウォーブルという、キャスターのブレが生じる可能性があります。しかし、ウォーブルはお子さんの体重増加とともに目立たなくなりますし、日本の生活環境を考えると、まっすぐどんどん進むというより、狭い路地やお店のなかをちょろちょろ転がすイメージのほうが強いので、私個人的には、同軸固定して安定性を増すより、固定解除して、小回りを優先するほうが便利と思っています。


< キャスターの仕様の問題に必ずしも関連しないクレーム例 >

A ショッピングセンターなどのつるつるの床において、キャスターが思う方向に
  向いてくれず、すべるように進む

この場合、適当な路面抵抗が得られず、思った方向にキャスターが向いてくれない、あるいは@の同軸固定傾向が強いためスムーズさを欠いている、といったことが考えられます。
ただし、ぜひ踏まえて頂きたいのは、キャスターの方向が回転する縦軸部分の単なるオイル不足であることもかなり多いということです。

Apricaなら付属のオイルがありますので、定期的にキャスターの継ぎ目にさして下さい。末尾で紹介するようなシリコンスプレーも手軽で便利です。

Bの同軸解除パターンのキャスターで、車体も比較的新しいなら、たいてい注油で完治します。(本当はグリスなどの方が長持ちしていいのですが、シリコンオイルでも十分効果があります。)



B 空のときはまったく問題なくスムーズだが、子供を乗せると急に方向転換が渋くなる

これは、キャスター縦軸部の不具合の典型的な例です。購入初期ならキャスターの縦軸部分の継ぎ目にオイルをさして下さい。簡単に直ることが多いです。Bの仕様のベビーカーで、クレームがあるとすればたいていこのパターンです。



C 対面ハンドルで前方のキャスターをフリーにしているが、どうも操作性がイマイチ

ベビークルーザーやドッチモターンやi-thruのような、対面時に、赤ちゃんの背もたれ側のキャスターを方向転換に利用する製品があります。これらの商品の性格について、踏まえておいて頂きたいことがあります。

一般にキャスターは進行方向前側にある方が、方向転換がスムーズと言われています。ただし、背もたれを倒した状態でお子さんを乗せると、どうしても背もたれ側の車輪に多くの荷重がかかり、キャスターのスムーズさが損なわれがちです。お子さんの体重が増えると特に感じやすくなります。重心から遠いキャスターほど操作性がよくなる特性上、避けられません。

一定以上にお子さんが重たくなって、小回りがききにくくなったら、足元側のキャスターをフリーにする(4輪キャスターの場合)、あるいは対面ハンドルを背面に変えるなど、工夫をしてみてください。    
★後輪キャスターの扱い方については下記ページにも解説があります。
  Baby-Pro REPORT(23)



D 長く使ううちに、キャスターが固くなってきた

荷重にかかわらずキャスターの回転が悪い場合は、縦軸部に砂が噛んだりしてキャスターが消耗していることがあります。メーカーに送って分解清掃、グリスアップしてもらうと直ることもありますが、なかなか一旦痛むと元に戻りません。丸ごと交換しないといけない場合もあるでしょう。

本来デリケートなパーツなので、古くなったらそれなりに不具合は出てきます。上のお子さんと次のお子さんとの間で使用しない間がある場合、決して屋外に置きっぱなしにしないようにしましょう。キャスターに限らず、稼動部の不具合は必ず出ます。もちろんシートの痛み、色褪せなども心配ですからね。


E 長く使用してきて、なんとなくいつも左右にベビーカーが流れる(斜行する)ようになった

車軸にごみが絡んでいるだけでも抵抗になって、ベビーカーが斜行するようになることがあります。タイヤの軸部に髪の毛やヒモなど汚れが巻き込まれてないか確認しましょう。

(ちなみに対面ハンドルでは大抵のベビーカーが直進性を失います。これはキャスターのせいではありません。解説はBaby-Pro REPORT(23) にて)


F 海外製品の丈夫なベビーカーを購入したが、前輪の片方のキャスターがバタバタ震えたり、タイヤが1つだけ浮いて空転していることがある

程度の差こそあれ、実は多くのベビーカーにあることです。
たとえば、イスに例えると、3脚のものは、少々ラフに作っても、必ず均等に床に接地しますが、4つ脚になると、かなり精度高く作らないと、たいてい不均等になり、微妙なガタツキがでます。

ベビーカーは、前輪側の負荷が後輪より軽くなるように造られており、旋回性を高めていますが、それで路面との摩擦が少なくなっているところに、上記のような4脚ゆえの左右のバランスが加わり、たまたま負荷が軽くなった方のキャスターは「転がすとブルブル震える」「前輪の外側タイヤが接地せず空転する」といった現象が起きやすくなります。

日本の軽量で華奢なベビーカーの場合は、お子さんの体重で、すぐにバランスがとれて、このような事例が出にくいのですが、海外製品の頑丈なものほど、タイヤの空転、キャスターのブレ具合の左右差が出やすくなります。

「そんなに精度が低いの」と思われるかもしれませんが、価格の安い高いにかかわらず、現実にはそういう状況です。折り畳みの複雑な構造を持つ限りは仕方ないと、感じています。

 
< ベビーカーの命綱 潤滑油 >
ベビーカーのように動かすものは、メンテナンスフリーとはいかないものです。
スムーズに転がらなくなったり、向きが変らなくなったり、折り畳みが硬くなったら、潤滑油をさしてあげましょう。

場所によって、粘性のあるグリスなどの方が都合が良いところもありますが、特に詳しい方はお任せ致します。あまり知識のない方は、およそオールマイティに使用出来るスプレータイプのシリコンスプレーをお勧めします。浸透性が高く、狭い隙間にも入りやすいことと、べたつきないことから、回転不良、開閉不良など広く対応します。

また、出来れば不具合が出てから使用するのではなく、普段からメンテナンスしてあげると、寿命が倍増するばかりか、使用感も快適になります。

ホームセンターで「シリコンスプレー」といえば、たいてい数百円で売っています。出来れば溶剤を含んでいないものがいいです。(プラスチックを痛めないので)

Baby-Proで出荷前検品などに使用している業務用オイルも販売しています。

ベビーカーオプション
http://www.baby-pro.co.jp/shopping/baby_shop.cgi?Category=car06

 
 

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