今日は、雲一つない紺碧の秋空。
最近人気が出てきたと言う、半四郎山から広見山を経て広見林道を下るコースを歩く。

山陽道〜広島道を経て中国道に入ると、流石に高い所を走る所為か、高速道はガスの中。
それも、やがて吉和ICに近づくにつれて晴れ、吉和冠山が青空にくっきりとその姿を見せる。
晴れた日は、山が近くに見える。
吉和ICを出ると、そこは雲海の底。
R488へと右折する辺りになると、そのガスも晴れる。

中国道はガスの中 吉和冠山 女鹿平山 R488を右へ


R488は国道とは言え、その道幅の狭さでは天下一品。
離合場所の少ない道路として有名である。

特に、県境を越え匹見町広見・裏匹見峡に至る島根県匹見町側は、
狭い道路を何処まで行っても離合場所が無い。
紅葉の季節に、この区間に車を乗り入れるのは、よほどの覚悟が要る。
この事が、この方面に足を向けたくない大きな理由である。

今日は朝早いので、このルートを往来する車は流石にいない。
中津谷川の渓流の紅葉も、まだ少し早い様だ。
山かげには霜が降りている。
三坂八郎林道への橋を左に見送ると・・・

中津谷川 山陰の霜 三坂八郎林道


・・・直ぐに、ダート道の十方山林道入り口が右に現れる。
暫らく進むと県境の峠にでる。
島根県側は、大型車通行不能の大看板が出ている。
いよいよここから、離合場所の無い一本道。
対向車が来ないのを祈るばかり。

右・十方林道入り口 ブナの森つくり 島根県側 大型車通行不可


見下ろす匹見の谷には雲海。
島根大学の演習場の看板を横目に見ながら、
ライトを点けて、ひたすら離合場所の無い狭い道を突進する。

匹見の里は
雲海の下
農学部演習林 車一台分の・・・ ・・・道幅が・・・


遮二無二走る事15分。
対向車に出会う事も無く、無事に広見の集落跡の広見林道入り口に到着。
やれやれ。
駐車場は、この広見林道入り口の広見集落跡周辺に充分有る。登山口まで歩いても直ぐだ。
広見林道を入り、直ぐに橋がある。
橋の手前に2台、渡って2台、駐車スペースがある。
(登山口の奥にも道路脇に駐車する場所はある)
駐車場所のすぐ先に、コンクリートの橋がある。

・・・延々と続き・・・ ・・広見林道・・・ ・・・入り口 橋の手前に
2台駐車可能
橋を渡って
2台駐車可能


コンクリート橋の袂が登山口。
「ガンバレ中高年」のプレートがぶら下げてある。
この「ガンバレ」の字を見ると、この山にも例の「落書きヤロー」が出没したか・・・
と、一瞬ドキリとするが、幸いにもコースに落書きは無かった。
暫らくは、奇麗な石垣の水田跡に育った杉の植林の間を登る。
昔は、こんな山奥でも米を作っていたのだ、と時の流れを思う。

直ぐに登山口 ガンバレ・・・ 登山開始 水田跡の杉植林


暫らく杉の植林帯の急登のあと、沢を渡る。登山口から15分。
自然林の中を登る事25分で、右手に五里山の山並が木間隠れに見え始める。

雑木林に入る 「例のグループ」
のリボン
木間から十方山 追いつく山仲間


更に10分の急登を喘ぐと、
右手に旧羅漢山や十方山、左手に大神ケ岳や安蔵寺山が望める尾根道に出る。
ここが尾根出合か。登山口から50分。
明るい笹道の先に、向半四郎山の山頂と、その右に半四郎山が見えて来る。

尾根道 旧羅漢山 十方山 大神ケ岳 安蔵寺山 向半四郎山


向半四郎山山頂に近づくにつれて、次第に360度の大展望が広がって来る。
東には、横川越の向こうにゆったりと十方山。
振り向けば南、吉和冠山とそれに続く寂地山。

リンドウ 十方山 吉和冠山 山仲間


三角点(棒)タッチ。
GPS:北緯34度34分23秒、東経132度05分08秒。
登山口から1時間20分。
山頂から西には、広見山の左に春日山。
正面、北には高原の様な半四郎山。その奥左に大きく広見山。
広見山の右肩の奥には中川山か。更にその遥か北は砥石郷山か。
その右、半四郎山の上に、双頭の恐羅漢山(左)と旧羅漢山(右)。

三角点(棒)タッチ GPS リンドウ 春日山 広見山 砥石郷山 左・恐羅漢山
右・旧羅漢山


南、冠〜寂地山〜右谷〜大神ケ岳〜安蔵寺〜燕と視線を巡らす先に、
津和野の青野山と十種ケ峰もクッキリ見える。
その右の稜線上に、特徴有る三子山の頭が三つのぞいている。
更にその右、西には大麻山が日本海をバックにそそり立っている。
360度の大展望を楽しんで、向かいの半四郎山へとササ原の急斜面を下る。

吉和冠山 大神ケ岳(左)
安蔵寺山(右)
青野山(左)
十種ケ峰(右)
三子山 大麻山 広見山(左)
半四郎山(右)


5分で鞍部(ホンゾウのクビレ)。

大正3年、戸河内町横川(恐羅漢スキー場辺りの集落)の住人、藤田半四郎と息子の武若が、
時ならぬ春の大雪、吹雪の中、広見集落へ下山するべき所、
この鞍部(ホンゾウのクビレ)から西のツゴウ谷に迷い込み、遭難した。
それに因んで名づけられたのが「半四郎山」であるとか。

今、晴れわたった穏やかな秋空の下、この鞍部(ホンゾウのクビレ)を歩く時、
その昔、ここで半四郎親子が吹雪きに飲み込まれて遭難した悲劇など、
想像すら出来ない。


半四郎山(左)
恐羅漢・旧羅漢(右)
ホンゾウのクビレ ホンゾウのクビレ
から見る半四郎山
ホンゾウのクビレ
から向半四郎山
ホンゾウのクビレ
から横川越
ホンゾウのクビレ
からツゴウ谷
西
半四郎親子が迷い込んだ谷


振り向けば、今下りてきた向半四郎山の山頂に豆粒の様な人影。
斜面の山道の幾何学模様が美しい。
沢を渡り緩やかな山道を登ると、10分程で半四郎山山頂。

向半四郎山
北斜面
ツルリンドウの実 沢を渡る 半四郎山頂へ
山頂直ぐ


山頂手前の東斜面に大きな岩「タチ石」がある。
山頂は平らで広く、360度の展望。
三角点タッチ。GPS:北緯34度34分34秒、東経132度05分26秒。
向半四郎山から15分、登山口から1時間35分。

北には今から行く広見山。その右に恐羅漢山と旧羅漢山。

山頂手前「タチ石」 半四郎山山頂 三角点タッチ GPS 広見山 恐羅漢、旧羅漢


東側、横川越の向こうに十方山。
五里の山並の端、南に吉和冠山、寂地山。その右手に大神ケ岳と安蔵寺山。
更に目を右に転ずると津和野の青野山と十種ケ峰。その右に大麻山。
西に春日山
かくして、グルリの大展望の後、今から行く広見山に視線が戻る。

10分程展望を楽しんだ後、広見山へと笹道を下る。
ここからは、近年、下刈りがされていないので、薮こぎを楽しむ。
道はハッキリしている。

横川越 吉和冠山 大神ケ岳(左)
安蔵寺山(中)
青野、十種(右)
大麻山 春日山 広見山へ


鞍部から広見山の山裾にかけて、白い幹の枯れた大木が多く見られる。
笹の生い茂る急傾斜を鞍部(七人小屋のキビレ)に向かって下る。

鞍部へ下る 白骨林 広見山 薮こぎ


白い幹の枯れた大木が天を突く。
雑木林の中を15分程下ると、沢のある鞍部(七人小屋のキビレ)に着く。
鞍部を過ぎて直ぐに・・・

広見山 白い枯木 鞍部
(七人小屋のキビレ)


・・・見上げる枯大木の幹に、立派なサルノコシカケが並んで生えている。
熊がこれを採ろうとしたのか、幹に生々しい爪跡らしきものがある。
雑木林の尾根道の右に、広見山の山頂が見えて来る。
20分程の急登の後、雑木林の空が開けて・・・

サルノコシカケ
と熊の爪跡(?)
サルノコシカケ 近づく山頂 暫らく登り・・・


・・・明るい笹尾根に出る。
振り向けば、半四郎山の向こうに向半四郎山。三子山や遠く青野山・十種ケ峰も望める。
再び雑木林を登ると・・・

・・・明るい笹尾根 後ろに向・半四郎 青野山・十種ケ峰 三子山 雑木林を抜けて・・


・・・山頂手前の尾根道に出る。紅葉が美しい。
山頂は既に多くの山仲間で賑やか。
鞍部(七人小屋のキビレ)から40分、半四郎山から55分、登山口から2時間30分。

・・・紅葉の・・・ ・・尾根道の先に・・ ・・・直ぐに・・・ ・・・山頂へ・・・ ・・・到着


三角点は見当たらず。山頂でのGPS:北緯34度35分12秒、東経132度05分39秒。
山頂は広いが、低い潅木に囲まれ北西方面の展望が少し悪い。
恐羅漢山・旧羅漢山が指呼の間に迫る。
その右手、焼杉山の向こうに十方山がなだらかな尾根を南に引いている。
ベテランらしき人に、恐羅漢と十方のピークを尋ねたが、
「ここからは見えない」との返事。此れには、ちょっと首を傾げる。

半四郎遭難の連絡隊が大雪の中、
広見から戸河内町横川へ向けて越えたのは、「横川越」であったとか・・・。
雪の中、広見から横川まで14時間かかったそうだ。

南に吉和冠山〜寂地山、大神ケ岳

GPS 左・恐羅漢、
右・旧羅漢
十方山 横川越 吉和冠山 大神ケ岳


大神ケ岳の右には安蔵寺山と燕岳。
その右に津和野の青野山・十種ケ峰。
更には大麻山

左・大神ケ岳
右・安蔵寺山
左・安蔵寺山
右・燕岳
青野山、十種ケ峰 大麻山 左・青野山
右・十種ケ峰
大麻山


三子山がはっきりと三つのコブを現す。
爽やかな秋空のもと、例の豪華昼飯。

三子山 とり重¥350 フライドチキン 味付けヤリイカ
¥260
ほうれん草
ごま和え


可憐に咲くリンドウの隣で、リュックを枕に暫しのお昼寝。
山の仲間達はそれぞれの方向へ下山。最後に恐羅漢方面・北へ向かって下山開始。
小さな尾根を越えたあと、急降下。
こちらのルートは上りには使いたくない。

リンドウ 昼寝 半四郎への山仲間 広見林道へ下る 急降下


さすがの急坂も緩やかになり、山頂から40分で沢に出会い、此れに沿って下る。
ここはミチガ谷か。
沢沿いの道の途中に、「恐羅漢登山口」の古い看板がある。
ここにある意味が良く解らない。

左手に沢 沢沿いの道 荒れ道 道標


沢沿いに歩く事25分で広見林道に出る。
広見山山頂から1時間05分。
この辺りの林道は、殆ど元の姿を留めていない。
沢と化して、大きな石がゴロゴロしている。
ここで10分間のコーヒータイム。沢水の「お冷や」が美味しい。
ここ広見川の上流から、多くの沢を跨ぐ橋を渡りながら、広見林道を登山口に向かって下る。

広見林道へ出る 道標 沢と化した林道 ハゲノ谷?


広見川沿いの林道は、最近は使われていないので、かなり荒れて歩きにくい。
林道と思うから歩きにくいので、新しく出来た山道だと思えば、大変立派に整備された山道である。
モノは考え様。

広見川は次第にその幅を広げ、多くの沢から水を集め、次第に水量も豊かになる。
流石に裏匹見峡の上流だ。川の両岸に巨岩が目立つ。

植林の中 沢沿いの大岩 荒れた林道


沢沿いの紅葉は未だ。
広見林道を下ると、沢を渡る橋が多く作ってある。
50分程下った所の「小赤谷橋」には「昭和43年10月竣工」のプレートがついている。
約30年近く前の事だ。

この辺りでは、先の台風で林道が大きく破壊されている。

植林帯 紅葉 小赤谷橋 林道崩壊


突然、下の沢の方から人の声が聞こえて来る。
4〜5人の青年が沢水に浸かって測量をしている。
沢沿いの壊れた道を修理する為のものだとか。

この近くの橋には「おしどりはし」の名があり、昭和39年と刻んである。
今から35年ほど前の話だ。
広見林道は、車でここまでは入れる。

暫らく行くと流された橋。
更に民家跡があり、今は工事事務所に使われているようだ。
この辺りは集落が有った所らしい。
整然と石垣に囲まれた水田跡が、あちこちに広がっている。
今は稲の代わりに杉の植林がしてある。
林道を下り始めてここまで1時間15分。
広見山山頂から2時間20分。

測量そする人々 おしどりはし 昭和39年 水田跡の杉植林


石を積み上げた墓標の様なものが五つ、道端に並んでいる。
場所か場所だけに、半四郎親子らの遭難に関係ある物に思えてくるのは、私だけであろうか・・・。

今は放置されているワサビ田がある。その昔はワサビ泥棒がいたのか・・・。
益田警察の古びた「注意看板」が寂しい。
昭和38年の豪雪までは、広見には人が住んで居たとか。
今は全く人が住んでいる気配はない。

その先、直ぐに、登山口と駐車場に到着。
林道を下り始めて1時間20分。
広見山山頂から2時間25分。下山完了。
一周に掛かった時間は4時間55分。
休憩時間も入れて6時間半の山行きであった。

墓標か? ワサビ田 登山口と駐車場 下山完了


帰りは裏匹見峡経由で、匹見峡温泉「やすらぎの湯」に向かう。
裏匹見峡の紅葉は未だ早い。

ススキ 匹見峡は駐車禁止 鈴ガタキ 裏匹見峡




温泉と反省会

「やすらぎの湯」の露天風呂から見る庭の紅葉が美しい。
紅葉を愛でながら、ゆっくりと湯に浸かる。

匹見峡温泉
やすらぎの湯


反省会は「やすらぎの湯」付属のレストランで。
例によって、我が友へのレポート。
冷奴(¥600)と、おまかせセット(¥1、000)がお勧め。

メニュー 乾杯! 冷奴 いか煮付 いかリングフライ
肉団子
たこ黄金和え
うなぎ入りだし巻き
蒸えび
えびしんじょ
ぶた角煮 木細工のあゆ


暫しの休息の後、匹見の里はすっかり夜。
満月が、煌煌と帰りの夜道を照らす。

温泉の灯がともる 満月


今日の山行きは、今年一番の好天気で大満足。

35年前までは、この広見の山奥に人が住んで居た事を思うと、
歩きながら、何やら感動を覚えた一日であった。


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