奥匹見峡から恐羅漢山への縦走路。
その、略、中間点に位置する天杉山に登る。



ベースキャンプ

広島県山県郡戸河内町・深入山、「いこいの村ひろしま」。
深入山の麓にあるこの宿泊施設は、この4月にリニューアルしてお目見え。
部屋はモダンに改装されて気持ちが良い。
今日の高原は、少し湿っぽいが、初秋の雰囲気。

今年の夏には、深入山・林間コースに熊が出て、1週間程、入山禁止だった由。
明日の天杉山の方が、ここよりもっと山奥。
熊に出会うかも・・・。

いこいの村 ひろしま 深入山 熊が出た


日暮れまでの一時、高原の散策を楽しむ。
初秋の草花を探す。

ミヤマママコナ ゴマナ ハギ ハギ フジバカマ カンゾウの実


スロープは、すすきの穂に覆われつつある。

キセルアザミ ススキのスロープ ワレモコウ ツリガネニンジン キキョウ ススキ


前夜祭

「いこいの村ひろしま」のセラミック温泉は、何時までも体が温かい。
その風呂上がりの生ビール一杯は何とも言い難い。
レストランの天井は高く、頑丈な鉄製のシャンデリアが頭上にさがる。
壁には大きな陶版の壁画がダイナミック。
中世ヨーロッパの城の大広間のイメージ。
照明も薄暗いのは、ローソクの明かりを演出したものか。
かと云って、食事を楽しむには決して暗くない程度だ。
なかなか洒落ている。
食事は、それほどオシャレでは無かったが・・・。
例によって、我が友へのレポート。

陶版壁画と
シャンデリア
乾杯! ゼンマイ、フキ、
ワラビ煮物
タコ、レンコン
酢のもの
ピーナツ豆腐 アマゴの塩焼き
刺し身
(ハマチ、アマゴ)
陶板焼き
鯛、豆腐、椎茸
漬物 おすまし デザート 陶板壁画




一夜明けて、好天気。今日も暑そうだ。
R191を益田方面へ。
先週登った臥龍山登山口を通過して、
「聖湖マラソン」の発着地点・八幡高原191スキー場を見送り・・・

スキー場看板 道戦峠 191スキー場


・・・R191の島根県匹見町側に入る。
やがて、「西日本スキー登山研究センター」の白い看板が左手に見えて来る。
ここに赤い橋がある。渡って奥に進むと奥匹見峡だ。
沢沿いの舗装道路を暫らく進むと、終点が駐車場になっている。
20台は駐車可能。

スキー登山
研究センター
赤い橋 駐車場


駐車場の北西の角に、登山口のプレートがある。
3時間コースの書き込みがしてある。
初めは谷筋を進むが、途中から左斜面に作られたジグザグの道を尾根道まで登る。

Pの北西角に・・・ ・・・登山口 谷道へ 左斜面へ


尾根道の先に、高い一本の木が見える。
この木は添木で補強してあり、幹にはコン柱の様に、木のステップが打ち付けてある。
簡易の物見櫓に使用したのだろういか。目的は何だったのだろう。
西側の春日山が美しく望める展望所だ。
朝日の逆光の中、奥匹見峡・三の谷は黒く沈んでいる。
登山口からここまで20分。

尾根の展望所 簡易櫓と春日山 逆光の三の谷 急登の森へ カワラタケ


いよいよ森の中の急登が始まる。
暗い森にはキノコが多い。
白いキノコの傘の下に、ヤママユの蚕がカメラのフラッシュに悶える。

森の急登 ヤママユの蚕 シロオニタケ エンタープライズ? キノコ


休み所の無い急登を1時間10分、やや平らな所に着く。
木の幹に赤いペンキと黄色のテープがある。
ここまでは、かなり厳しい上りで、息切れが暫らく収まらない。
ここを下る時は、泣かされるであろう。
登山口から1時間30分。

急登は続く 大樹 尾根道・赤ペンキ


黄色のテープには、ここから天杉山まで110分(約2時間)と書いてある。
ある案内書に寄れば、登山口から山頂まで2時間とある。
しかし、登山口からここまで既に1時間30分。
更に、ここから山頂まで、2時間近くはかかりそうだ。
この本のレポーターは、山を一目散に走る国体選手であろう。
何だか登山時間を自慢しているみたいだ。
個人の記録ならいざ知らず、案内書と銘打つからには、
もっと、一般登山者向きのコースタイムを書いてもらいたいものだ。
そうでないと、読者は判断を誤ってしまう。
下山時間の遅れにも繋がり、危険だ。

この黄色のテープから野田原の頭(天杉山の手前のピーク)までの行程が長い。

黄色テープ 縦走路 倒木


黄色のテープから20分で、小さな沢を横切る。
奥匹見峡・三段の滝の源流、のたの原へ注ぐ沢の一つか。
この先、野田原の頭に進むに連れて、次第にブナの大木が目に付き始め、
森が深くなる。

目の前を横切ったニョロ君が、振り返って私を睨む。

ホオキタケ 三の滝源流 沢を渡る ぶな ニョロ君 野田の原の頭?


木漏れ日を逃れて、大ナメクジがゆっくりと動く。
ツチノコはこんな姿なのだろうか。

すわ!ツチノコ? ヒメベニテングダケ ブナの森へ ぶなの大樹 下刈りされた道


森は益々深くなる。
ブナの大木は緑のドームの柱となり、その数を増す。

山道は、何処までも熊笹が2m幅に刈り取られて、歩き易い。
これが、登山口から山頂まで延々と整備してあるのだから、その労力には頭が下がる。
後で町役場で伺うと、教育委員会と地元の方々が、
一年に一回、山頂まで下刈りをされる由。
感謝である。

ブナの古木 深い森 平で少し明るくなる


今度こそ、このピークに登りついたら野田原の頭(手前のピーク)だ、
と頑張って登るが、裏切られる事3〜4回。次々にピークが現れる。
道が平らになり、森が明るくなる頃、やっと平らな野田原の頭に到着。
とうとう前方に天杉山が姿を現す。
この間のアップダウンは最もしごかれる区間だが、
ブナの森が最も素晴らしい区間でもある。

この辺りの雰囲気なら、ばったりと熊に出会いそうだ。
実際に出会えたとしたら、是非、写真を撮りたい。
死んでもカメラを手放しませんでした・・・、になるかな。
黄色いテープから野田原の頭まで1時間45分。
登山口からは3時間15分。

恐竜の喉仏 杉の大木 野田原の頭 1190mピーク
の左に恐羅漢
天杉山


野田原の頭からコルまで10分。
天杉山に登り返す事45分。
最後の力を振り絞って歩を進める。
ブナの木も疎らになり、明るい潅木地帯になったと思ったら、ついに天杉山山頂。
黄色のテープから2時間40分(160分)。
登山口から天杉山山頂まで4時間10分。
三角点タッチ。
GPS:北緯34度37分06秒、東経132度07分27秒。

天杉山へ 天杉山の大木 明るくなると・・・ ・・・山頂
三角点タッチ
GPS 天杉山プレート
(広島ハイキングクラブ)


山頂は潅木に囲まれ、展望は東に開けるのみ。
左から高岳、聖山、深入山、砥石ク山、内黒山。
山頂は木陰が無く、暑い。
早速、例の豪華昼飯。

天杉山山頂から、縦走路は更に南へ。
中川山〜台所原を経て恐羅漢山へと続いている。
案内書によると、ここから恐羅漢山往復2時間、と有るが、
もう、この案内書のコースタイムは信用出来ない。
もっとも今は、その体力も残っていないし、時間も無い。
恐羅漢まで往復するならば、一般登山者には恐らく3時間以上かかるであろう。
恐羅漢山から天杉山を往復した広島ハイキングクラブのプレートが残されている。
往復にかかった時間はどれぐらいだったのだろうか。

今から、帰りの下りも長丁場なので、エネルギーを残しておかなければ・・・。

豪華昼飯 高岳 聖山 高岳(左)聖(右) 深入山 砥石郷山


暑い山頂で1時間程休憩。
午後2時、下山開始。
山の日暮れは早い。5時までには下山しないと暗くなる。
山頂から黄色のテープ(110分)までは、野田原の頭も含めて3〜4回のピーク越えがある。
下山時の登り返しは、かなり疲れる。
アップダウンの繰り返しで、ただただ歩を進めるのみ。頭の中はカラッポ。
何時しか深いブナの森をぬけ、黄色のテープへ到着。
山頂から1時間40分。
ここで一息。水も残り少ない。今日は2リットル持ってきたが、それでも足りないぐらいだ。
後は登山口までの急降下が待っている。

内黒山


いよいよ、うんざりするほどの急降下が始まる。
何時も下る時に思うのだが、よくもこんな急坂を登ったものだと。
先週から使い始めた2本ストックが真価を発揮する。
過去、笹を掴んだり木の枝を掴んだりして下っていたが、4本脚のお陰でスピーディーに下れる。
あまりにも厳しい下りが長かったので、左足のマメが破れてしまった。
靴紐の締めがあまかったのを反省。

展望所辺りからは、夕暮れの三の谷に、白く筋引く「三の滝」が見える。
西の春日山はシルエットに変りつつある。

脚を引きずりながら、ほうほうの体で登山口まで。
「黄色のテープ」から1時間。
山頂から登山口まで2時間40分。

三の滝 シルエットの春日山 下山完了
疲れた〜・・・


下山完了:午後4時40分。日暮れには何とか間に合った。
やれやれ。



温泉と反省会

ベースキャンプ「いこいの村ひろしま」に戻る。
受付の係りの人曰く。
「出かける時と今とでは、えらい違いですね」、と。
朝は元気な出征兵、夕方の今は敗残兵の様に見えたのであろうと、我ながら苦笑い。
セラミック温泉、サウナ、冷水シャワーの繰り返しで、少し人心地がつく。
体中の細胞が水分を欲しがる。まるで乾いたスポンジの様に。
週末の昨夜、あれほど賑やかだった食堂に、今は人の気配はない。
「柳川山菜せいろ蒸」をゆっくり食べる。

乾杯! 柳川山菜せいろ蒸 ¥1150 枝豆


やっと体中の関節に力が入るようになる。
マリオネットの糸が張られ、少しずつ動き始めるように・・・。

久し振りに体力テストをした。
よし。これなら、当分の間は「大丈〜夫だ〜」。




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