当院について脊柱側弯症一般整形外科


 脊柱側弯症はさまざまな原因で発症しますが未だ原因が明らかではありません。脊柱側弯症のうち特発性側弯症が約8割に及び、またその頻度は女性が約8割を占め、10歳前後の女性に限れば約4%に見られます。 日本側弯症学会の指導で昭和53年以降、学校検診の充実が図られていますが、私たちの側弯症外来には検診で見落とされ変形がひどく進んだ患者児童がまだ年間数十例も訪れて来られます。
 骨成熟期以前は手術をしないで保存療法による治療効果が期待できるので、発生頻度の高い小学5・6年生女子は必ず前屈テストを実施して発見していただきたいと思います。 
 側弯症の程度は現在、全世界で“立位”でのレントゲン写真をコブ法で測定した角度数で表現します。(写 真1) しかしこの角度は撮影姿勢によって変動することがあるのです。写真の成人例では大きな角度の変化が見られています。(写真2) 不用意な撮影ではこのように側弯度は10°以上の大きな変動が発生するので、撮影するときの姿勢には特に注意が望まれます。私たちのところでは安定した撮影姿勢がとれる装置を使用しています。(写真3) 
 側弯症は脊柱の回旋(ねじれ)に伴って発生する三次元変形の病気なので二次元の側弯度では説明できない背部変形が見られ、側弯度だけをみての治療方針では判断を誤ることがあります。(写真4) そこで私たちはデジタルカメラを転用したシルエッター(自動体型撮影器)を使用して、変形を計測し(写真5)、その評価も加味して治療方針を決定しています。なお、本器を使用した治療効果の判定、治療経過の記録、姿勢全般の評価などについてはこれまでの日本側弯症学会などで紹介をしています。
側弯変形の明らかな症例は成長期に急激な進行が見られるので、側弯度で25°以下でも装具を処方することがあります。
約20年前に私が開発した治療装具;TLSO(Hiroshima)(写真6)は、パッドを使用して脊柱の回旋(ねじれ)を矯正しながら、かつ側方弯曲も正すという理屈であり、背部隆起などの変形の矯正に効果的であると考えています。
 代表的治療例を紹介します。患者さんは13歳、女性。手術が勧められそうな弯曲ですが、装具による治療により4年後には装具なしでもコブ角の矯正は維持されています。特記すべき点は脇線、背部隆起などの変形の矯正が良好で、とても脊柱側弯症とは思えない外観が維持されています。(写真7)(写真8)
 不幸にして側弯度50°以上に進行し変形が大きくなれば、将来、背部痛、心肺機能障害などで生活に支障をきたすおそれがあるので手術療法が必要となってきます。側弯矯正手術については脊柱前方矯正固定術写真9:ISOLA)や後方矯正固定術(CDHorizon、ISOLA etc)などを広島県立身体障害者リハビリテ−ションセンタ−、広島総合病院、たかの橋中央病院などの協力を得て実施しています。
 残念ながら現在の矯正手術の方法では背骨は固定せざるを得ません。したがって脊柱の固定部分の上下に過度な負担がかかってき、中高年となってくると椎間板障害など脊椎の様々な症状を引き起こし易くなってきます。

 “可能なかぎり手術を避ける努力をするべきです!”

【付記1】 私たちの側弯症外来では家庭での朝夕の身長計測をお願いしています。もし10歳・11歳で身長の伸びが少ない場合や朝夕の身長差が2cm以上あれば脊柱側弯症の存在、進行が疑われます。簡単な指標なので、成長記録に朝夕の身長測定を加えて下さい。

【付記2】 私たちの開発した腹筋力測定器(写真10)の計測結果では、側弯症の子供たちは腹筋が驚くほど弱いという結果が出ています。
 あなたのお子さんは

“あお向けに寝て両手を頭の後に組み、起き上がれますか?”

 文部科学省のデータでは30〜40年前の子供に比べ、食生活の向上などで子供たちの体格は1〜2歳上に相当しています。学年でなく同じ体格で比較すれば、総合運動機能である走り幅跳びなどは親の年代に比べ非常に弱い!という結果が出ています。(小学校では腹筋力測定はなく、文部科学省はこの異常状況を把握できていません。)
 背筋群は抗重力筋なので、運動しなくても体格の成長とともにある程度筋力向上を見ますが、腹筋群は意識をしなければ働くことの少ない筋肉であり筋力強化は伴っていかないのです。
 腹筋力はいくら強くても困ることはなく、日頃より腹筋強化を考えた運動を心がけましょう。


写真1
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写真2
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写真3
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写真4
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写真5
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写真6
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写真7
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写真8
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写真9
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写真10
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