当会甲斐会長が、RCCラジオ「ごぜんさま−みんなのわ−」のコーナーに出演しました。その時の上野アナウンサーとのやりとりです
「ごぜん様さま」みんなのわ のコーナー
| 平成15年7月16日(水) 10:15~10:25 | |
| 作業療法でできること | |
| 甲斐 雅子(かい まさこ)(社)広島県作業療法士会会長 | |
| 名前 | 内容 |
| 上野 |
今日のみんなのわは、「作業療法でできること」というタイトルで社団法人広島県作業療法士会会長の甲斐 雅子(かい まさこ)さんにお越しいただきました。 よろしくお願いします。 |
甲斐 |
お願いします。 |
上野 |
前回は、理学療法士会の会長ということで、梶村さんにお越しいただいたのですが、今回は広島県作業療法士会ということですが、甲斐さんは聞くところによりますと、会員番号1番ということなのですね。 |
甲斐 |
はい。どうゆうわけか私が1番です。私が就職した当時は、県内に作業療法士をかかえている施設は私が勤めている中国労災病院以外には2つの施設しかありませんでした。その頃は養成する学校が県内にありませんでしたので、人数が少ないのは無理からぬ事情があったわけですが、福岡の学校を出身した私は、広島県の作業療法士が予想以上に少ないのにびっくりしました。県民の方々に作業療法を少しでも理解していただくためにも私たちが一人一人ばらばらに活動していてはいけないということもあって、広島県作業療法士会を昭和56年に立ち上げました。その時点の会員数が7名ですからいかに少なかったかわかるでしょう。皆が役付きという会運営でした。 |
上野 |
今はずいぶん多くなっているのでしょう? |
甲斐 |
はい。県内に養成校が増えたこともあって、現在は584名の会員がいて、平成7年に社団法人になりました。 |
上野 |
リハビリの一翼を担うという作業療法とはどういう療法なのですか? |
甲斐 |
リハビリというと、平行棒の中で歩くとか、特殊な機器を用いてのトレーニングというイメージを持っている方が多いのですが、大半は理学療法場面を思い描いているようです。そうゆう目で作業療法を見ると、「訓練しているようにみえないところ」が作業療法の特徴といえます。作業療法では日常の生活動作そのものを治療の手段として用いていきますので、「これがリハビリ?」と聞かれることもあるんですよ。 |
上野 |
日常生活を用いたリハビリとはどのようなものなのですか? |
甲斐 |
顔を洗う、食事をとる、排便をする、仕事をする。など日常生活はさまざまな作業の連続といえます。何らかの障害で日常生活が不自由になった場合、日頃よく行ってきたこれらの動作を繰り返して行うことにより、記憶を引き出したり運動能力を高めたり、意欲を高めたりするわけです。その中で作業療法士は生活に役立つ動作や道具の工夫も紹介していきます。 よく患者様は「歩けるようになれば」と歩けたらすべての日常生活が自立するような錯覚を起こしがちですが、実際は移動していった先で何かをする時に介助がいる場合が多いのです。たとえば一人で何とか歩けても、狭いトイレ内でのズボンの上げ下げや後始末が難しくて、介助者がいつもついて回らなくてはいけないとか、、 |
上野 |
日常生活を用いる重要性がわかってきましたが、その他にも何かありますか。 |
甲斐 |
そうですね。作業療法を受けて「これならば家でもリハを継続できる」あるいは「家へ帰ってからが本当のリハビリという風に感じていただけたらいいですね」 |
上野 |
甲斐さんは呉市の中国労災病院でお勤めということですが、そこでこのようなことをされているのですね。 |
甲斐 |
はい。中国労災病院は急性期医療に取り組んでいる病院ですので、最近はICUからも処方が出るようになり、超早期から作業療法を実施しています。 |
上野 |
ICUの時期からのかかわりというのはどういうことですか? |
甲斐 |
意識状態が不安定だったり、座位が許可されていない場合が多いので、今まで述べたような日常生活動作を用いたアプローチをすぐには導入できません。 |
上野 |
それでは具体的にはどのようなことをされるのですか。 |
甲斐 |
意識障害のある方の場合は、意識の表出能力を探るために様々な刺激を与えます。この時、よく動くほうの手足に刺激を入れるほうが、脳への刺激にもなり有効です。もちろんリスク管理を行って許容範囲の刺激ですが、、、。そして何らかのコミュニケーションがとれるようになれば、たとえば良いほうの手に鉛筆を握らせたりします。発声が困難な場合でも、患者様が鉛筆本来の持ち方ができれば、この方はこれが鉛筆だとわかっているし、その使い方も心得ているということを私たちに伝えてくれます。 |
上野 |
ここでも使い慣れたものを利用するわけですね。 |
甲斐 |
はい。その他には私自身の手を利用して、指模倣や計算、じゃんけんなんかを患者様と行っています。こうゆうアプローチは対象者が座位を許可されていない時期から可能ですので、注意・集中力や知的能力などの高次脳機能へのアプローチが開始できます。 |
上野 |
急性期から行うことが重要と考えてよろしいのでしょうか。 |
甲斐 |
はい。使わないものは身体も脳も錆びていくと考え、なるべく早くからリハをすることが大事です。 その後お元気になられた方々から私は多くのことを学びました。たとえば脳卒中で倒れたある患者様は、「寝たまま手遊びや物当てゲームをしたことはよく覚えている。めんどうだなあと思った。でもその他のことは何も覚えていない。」と語りました。このことから感情をともなった出来事や自分が考えて能動的に行った行為は覚えているのに、受身で受けた医療は何も覚えていないのです。 また、別のケースですが、「鉛筆を持って自分の名前6文字が書けたとき:ああ生きていると涙が出そうだった。」と後日話してくれました。当時その患者様は気管切開のため発声が困難でいつも気難しい表情でしたが、それからはとても前向きにリハに取り組んでくれました。何がきっかけになるのかは人さまざまですが、心が動けば身体も動くということを忘れずに、作業療法を行っていきたいと思っています。 |
上野 |
そんな素敵な作業療法士さんになりたいと希望される人や、実際にどのような仕事をされているのか見学したいという人もおられると思うのですが、そのようなときにはどうすればいいですか。 |
甲斐 |
広島県作業療法士会広報部にお問い合わせください。 安芸医師会船越訪問看護ステーションの作業療法士 望月さんが対応します。 |
上野 |
今日はどうもありがとうございました。 |
甲斐 |
こちらこそありがとうございました。 |