過去のご法話 | |
八月初盆・永代経法要 | |
講師 山下瑞円 先生 | |
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講師からのコメント
過去から、命のバトンと共に、今ここに経典を通して
仏法(仏様のみ教え)が届きました。
私たちは宗祖親鸞聖人よりお勧め頂いた浄土三部経を
拠り所とします。それは、我々の先人のご苦労なくして
出遇うことができませんでした。
無始以来、生死(しょうじ)の苦海を迷って来た私を
「もう迷わせない」と、片時も離れることなく
この身今生に、、南無阿弥陀仏の仏様がご一緒下さっています。
この救いのお心が”私のため”であったと聞き開いていく場所が、
本能寺様の本堂であり、法要の大切な意義です。 |
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阿弥陀仏の、むかし法蔵比丘たりしとき、 「衆生仏に成らずはわれも正覚ならじ」 と誓ひましますとき、 その正覚すでに成じたまひしすがたこそ、 いまの南無阿弥陀仏なりとこころうべし。 これすなはちわれらが往生の定まりたる証拠なり。 (御文章4帖目8通) 岡山の高梁市から参りました山下です。本日は、初盆・永代経法要にようこそのお参りでございます。 今日は甲子園の抽選会の日です。全国四十九校の組合せが決まりますが、もう一つ開会式の選手宣誓も決まります。 一分半という短いものですが、自分で文章を作り、覚え、そして言葉に出して言わなければなりません。高校野球の宣誓では、「フェアプレイ精神に則り、正々堂々と戦うことが出来なければこの場を去ります」と誓います。法蔵菩薩は「皆の命を仏にすることが出来ないだろうか、命終えた時自ら建立した浄土に迎え取ることは出来ないだろうか」と、様々な方法手段を悩み考えられ、「このことが実現できなければ仏となりません」という誓いをし、阿弥陀仏と成ったと仏説無量寿経に書かれています。 ※1) お念仏では、南無阿弥陀仏といいます。この意味はお分かりでしょうか。 実は、南無阿弥陀仏の漢字に意味はありません。古代インドのサンスクリット語の当て字になります。 「ナム」はサンスクリット語の「ナマス」という言葉からなり、お任せしますという意味になります。 「ブツ」はブッダという言葉からなり、真実に目覚めた悟られた者という意味になります。 私たちはどうかというと、迷い苦しんでいると言われています。 私たちは不安と悩み、心配事、孤独、苛立ち、妬みなど迷い苦しんでいると思います。 これらを自分で解決できるでしょうか。解決できない事の方が多いのではないでしょうか。 世の中の道理に逆らうことはできません。この道理を仕方ないと割り切りながら生きていければ、 苦しみはないと思います。仏教では、私たちは煩悩を持っているいいます。煩悩とは自分中心の考えの事です。 この間、私のお寺で百足が出ました。百足はじっとしていましたが、私は袈裟を着て殺しました。 百足は何も悪い事をしていませんが、私の都合で殺してしまいました。 このように自分の都合のまま生きて死んだら仏に成れるという教えは信じられますか。 今年戦後八十年になります。人間過去を反省していくことは大切です。しかし、ロシアとウクライナ、 イスラエルとガザなど最近世界は不穏な状態になっていると思います。その中でイスラエルは少し特殊だと思います。 千年以上前から争いが続いて、中々解決は難しいです。その昔、法然上人の子どもの頃、 土地のトラブルで夜襲を受け、父を亡くしています。その時、父に「仇を取ります」と言うと 「仇を取るとその子孫がまた仇を取りにくる。争いを否定する仏法を学んでほしい」と言われたそうです。 このように争いはどこかで断ち切らないと終わりません。良い悪いはそれぞれの立場であると思いますが、 私は争いはしてはいけないと思うようにしています。 正信偈に「重誓名声聞十方」とあります。これには、名号の「南無阿弥陀仏」の御六字を 「全世界に聞こえ満ち満ちているようにする」と、重ねて誓われたと聖人が注釈されています。 この御六字に全ての功徳を施し、「私に届き廻心させて悟らしめよう」と誓われた方が法蔵菩薩です。 南無阿弥陀仏を称えているのは私ですが、出てきた声は全ての功徳を施された仏となって、 私の耳に入り仏の働きとなります。この御六字は、呪文でもなく、お浄土参りの道具でもその条件でもありません。 御六字に込められたメッセージは、「極楽浄土に仏として生まれてくる命を歩んでいるので、 どうかその生きる意味と命の行く末を早く気付いてくれよ、どんなことがあっても見捨てることがない仏が、 今ここに届いて導いているから、どうか安心の中でその命を丁寧に大切に精一杯歩んでみてくれんか、 任せよ必ず救う」というメッセージになります。南無阿弥陀仏は、称えたら救われるのではありません。 申されたところに救いが届いていると味わいます。不安や悩んだり孤独になった時、そして怒りが湧いた時、 ちょっと申してみて下さい。心が落ち着いてくると思います。 何か今までにない感情が湧いてくるのではないでしょうか。
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聴聞の心得 |
一、このたびのこのご縁は初事と思うべし |