ホロコースト・日本こども会議‘99 メインゲスト ヤッファ エリアフ教授 (Prof.Yaffa Eliach) プロフィール |
現在、ホロコースト研究者の中で最も注目されているひとりであり、ニューヨーク市立大学、ブルックリン校教授(ユダヤ学における歴史、文学)として活躍中である。
1941年9月、突然ナチスの銃殺隊(アインザッツグルペン)がリトアニアのエイシスキ村を襲い、ユダヤ住民3500人が虐殺され、わずか29人が生き延びた。
教授は4歳の時、奇跡的にその虐殺から生き延び、少女時代をゲットーや隠れ場を転々とした。これらの体験を基にその後、ホロコーストの歴史研究を重ね、ニューヨーク市立大学で博士号を取得した(ロシヤにおけるユダヤ人の思想)。
1974年、米国で最初のホロコーストセンターをニューヨークに設立した。この業績は、その後、全米各地にホロコースト関連の教育施設が開設される先駆けとなった。
エリアフ教授は、1983年から14年の歳月をかけ、生まれ育ったリトアニア、エイシスキ村のナチス侵攻当時の写真、記録、資料など6000点を集め、ヤファ・エリアフ シュテートル コレクションとして保存している。ほとんどのユダヤ人集落が絶滅した中で、一つの村でこれほど多数の資料が残され、収集されたのは、他に例がなく、教授の行動力と熱意がその偉業をなしとげた。
1991年、カーター大統領が提唱した、ワシントンの国立ホロコースト記念博物館の諮問委員として、教授はその設立に関わり、自ら収集したコレクションから、エイシスキ村の1200点の写真を15メートル四方の高さに「 Tower of Life・生命の塔 」として展示し、毎年200万人の訪問者に、人種差別によって、罪のない多くの生命が奪われたホロコーストの事実を無言のうちに語り、伝えている。
エリアフ教授は、ホロコーストやユダヤ思想に関する多くの研究論文を米国、カナダ、イスラエル、カナダ、ヨーロッパ諸国で発表し、「Encyclopedia Judaica」など3種類の百科事典の編集に携わり、詩作や劇作にも作品を発表している。中でも著作のひとつである「Hasidic tales of the Holocaust」はクリストファー文学賞などを受賞した。また国際著作者人名辞典にも名を連ねている。
テレビやラジオなどにも、話題の人、としてしばしば出演する。米国CBSテレビは、その生き様を通し、社会に多大な影響を及ぼした女性に贈る「 Woman of the Year 」賞を、1995年教授に贈呈した。
現在、エリアフ教授はエイシスキ村がホロコーストによって消滅する以前の、900年にわたる彼女のユダヤ人村の歴史を集大成した著作、「There Once Was a World 」を、昨年9月に発刊した。この大作はエリアフ教授がその生涯をかけて収集した資料や、写真、生存者のインタビューなどから成り、同じようにかつてヨーロッパ、ロシヤ地域に点在していた、4950のユダヤ人村(シュテートル)の、さらなる歴史的解明に光を与えるものと注目されている。
さて、1995年7月、広島県福山市に開館した、日本で最初のホロコースト記念館(Holocaust Education Center)建設に、教授は協力を惜しまず、日本のこどもたちへの、平和メッセージ共に、コレクションの中からエイシスキ村の子どもたちの写真約70点を提供してくださった。これらの資料は訪れる子どもたちに、犠牲となった150万人のユダヤの子どもたちに深い印象を与えている。このことが1999年7月福山で予定している、「日本こども会議’99−平和、いま私にできること−」のメインゲストとして来日するきっかけとなった。
日本でのエリアフ教授の講演は子どもたちに、大きな感動を起こすものと確信する。
共に来日予定のご主人、デイビイド エリアフ氏(Dr. David Eliach )は、エルサレム生まれ。ラビの資格を有し、長年ブルックリンの高校長として教育に携わり、その温厚な人柄は、多くの人材を育てたとの名声をうけている。1997年エルサレム賞を受賞した。エリヤフ教授の良き理解者であり、恩師でもある。