厚生省状態像「要介護5 例5」

解説 
 最後は「要介護5の例5」です。右端の段の背景ピンクの例です。
 麻痺も拘縮もひどく、身体障害もひどく殆ど何も自分ではできない全介助の例です。
 意志疎通・問題行動にもチェックがされていますので、植物状態ではないようです。

 要介護5からの逆転は、状態がもっと悪いのに介護度が落ちる逆転しかありません。
 やはり色々ありますが、極端な逆転はこの状態で、嚥下・飲み込み見守りが必要から
 できないに変わった途端、基準介護時間116分から77分となり一次判定結果は「要介護3」
 なってしまいました。と言うことはこんな状態像では食事も全介助でむしろ嚥下を見守りの方が
 あり得ないので、できないとした調査員は申請者に不利な調査を行ったことにもなります。
 そのほか2項目の逆転は色々ありますが、この例で視力・聴力自立からほとんど見えない・
 聞こえない
に悪化させると、基準介護時間106分10分減ってしまい、一次判定結果は
 「要介護4」となってしまいました。

調査項目

逆転要介護3
逆転要介護4
要介護5例5

第1群

1.麻痺 左-上肢

ある
ある
ある

(麻痺拘縮)

右-上肢

左-下肢

ある
ある
ある

右-下肢

その他

ある
ある
ある

2.拘縮 肩関節

ある
ある
ある

肘関節

ある
ある
ある

股関節

ある
ある
ある

膝関節

ある
ある
ある

足関節

ある
ある
ある

その他

第2群

1.寝返り

できない
できない
できない

(移動)

2.起き上がり

できない
できない
できない

3.両足での座位

できない
できない
できない

4.両足つかない座位

支えが必要
支えが必要
支えが必要

5.両足での立位

できない
できない
できない

6.歩行

できない
できない
できない

7.移乗

全介助
全介助
全介助

第3群

1.立ち上がり

できない
できない
できない

(複雑動作)

2.片足での立位

できない
できない
できない

3.浴槽の出入り

行っていない
行っていない
行っていない

4.洗身

全介助
全介助
全介助

第4群

1.ア.じょくそう

ある
ある
ある

(特別介護)

イ.皮膚疾患

ある
ある
ある

2.片手胸元持ち上げ

要介助
要介助
要介助

3.嚥下

できない
見守り必要
見守り必要

4.ア.尿意

ない
ない
ない

イ.便意

ない
ない
ない

5.排尿後の後始末

全介助
全介助
全介助

6.排便後の後始末

全介助
全介助
全介助

7.食事摂取

全介助
全介助
全介助

第5群

1.ア.口腔清浄

全介助
全介助
全介助

(身の回り)

イ.洗顔

全介助
全介助
全介助

ウ.整髪

全介助
全介助
全介助

エ.つめ切り

全介助
全介助
全介助

2.ア.ボタンかけ

全介助
全介助
全介助

イ.上衣の着脱

全介助
全介助
全介助

ウ.ズボンの着脱

全介助
全介助
全介助

エ.靴下の着脱

全介助
全介助
全介助

3.居室の掃除

全介助
全介助
全介助

4.薬の内服

全介助
全介助
全介助

5.金銭の管理

全介助
全介助
全介助

6.ひどい物忘れ

ある
ある
ある

7.周囲への無関心

ある
ある
ある

第6群

1.視力

ほとんど見えない

(意志疎通)

2.聴力

ほとんど聞こえない

3.意思の伝達

ときどきできる
ときどきできる
ときどきできる

4.指示への反応

5.ア.毎日の日課理解

できない
できない
できない

イ.生年月日をいう

ウ.短期記憶

できない
できない
できない

エ.自分の名前をいう

オ.今の季節を理解

できない
できない
できない

カ.場所の理解

第7群

ケ.介護に抵抗

ときどきある
ときどきある
ときどきある

(問題行動)

チ.不潔行為

ときどきある
ときどきある
ときどきある

ツ.異食行動

ある
ある
ある

基準介護時間
77分
106分
116分

一次判定結果
要介護3
要介護4
要介護5


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