厚生省状態像 「要介護3 例2」

解説 
 要介護3の例2は、麻痺はなく、むしろ痴呆や問題行動を含んだ例のようです。
 麻痺や拘縮がほとんどないのに、移動・複雑動作が全く出来ない状態ですので少し考えにくい状態
 です。この例の調査項目はピンクの背景の段です。

 要介護2の逆転は少し予想外の項目で逆転しています。
 両足での座位支えが必要から、できないになり、生年月日が言えないの2項目の状態像の悪化に
 もかかわらず基準介護時間69分となり一次判定結果は「要介護2」に落ちてしまいます。
 一方両足での座位支えが必要から、自分の支えで可と改善し、ズボンの着脱一部介助から、
 できるに改善したとしたら、基準介護時間92分と増え、一次判定結果は「要介護4」と思いがけ
 ない逆転となってしまいます。
 要介護3くらいになると、チェック項目が増えあちこちで逆転が起こっています。

調査項目

逆転要介護2
要介護3例2
逆転要介護4

第1群

2.拘縮 肩関節

(麻痺拘縮)

肘関節

股関節

膝関節

ある
ある
ある

足関節

第2群

1.寝返り

(移動)

2.起き上がり

つかまれば可
つかまれば可
つかまれば可

3.両足での座位

できない
支えが必要
自分の支えで可

4.両足つかない座位

できない
できない
できない

5.両足での立位

できない
できない
できない

6.歩行

できない
できない
できない

7.移乗

全介助
全介助
全介助

第3群

1.立ち上がり

つかまれば可
つかまれば可
つかまれば可

(複雑動作)

2.片足での立位

できない
できない
できない

3.浴槽の出入り

一部介助
一部介助
一部介助

4.洗身

一部介助
一部介助
一部介助

第4群

1.ア.じょくそう

(特別介護)

イ.皮膚疾患

2.片手胸元持ち上げ

3.嚥下

4.ア.尿意

イ.便意

5.排尿後の後始末

間接的援助
間接的援助
間接的援助

6.排便後の後始末

間接的援助
間接的援助
間接的援助

7.食事摂取

第5群

1.ア.口腔清浄

全介助
全介助
全介助

(身の回り)

イ.洗顔

一部介助
一部介助
一部介助

ウ.整髪

一部介助
一部介助
一部介助

エ.つめ切り

全介助
全介助
全介助

2.ア.ボタンかけ

一部介助
一部介助
一部介助

イ.上衣の着脱

ウ.ズボンの着脱

一部介助
一部介助
できる

エ.靴下の着脱

全介助
全介助
全介助

3.居室の掃除

全介助
全介助
全介助

4.薬の内服

全介助
全介助
全介助

5.金銭の管理

全介助
全介助
全介助

6.ひどい物忘れ

7.周囲への無関心

ある
ある
ある

第6群

1.視力

1m先が見える
1m先が見える
1m先が見える

(意志疎通)

2.聴力

大声が聞こえる
大声が聞こえる
大声が聞こえる

3.意思の伝達

ときどきできる
ときどきできる
ときどきできる

4.指示への反応

ときどき通じる
ときどき通じる
ときどき通じる

5.ア.毎日の日課理解

できない
できない
できない

イ.生年月日をいう

できない

ウ.短期記憶

エ.自分の名前をいう

オ.今の季節を理解

カ.場所の理解

第7群

ウ.幻視幻聴

ある
ある
ある

(問題行動)

エ.感情が不安定

ある
ある
ある

オ.昼夜逆転

ある
ある
ある

キ.同じ話をする

ときどきある
ときどきある
ときどきある

ク.大声をだす

ある
ある
ある

ケ.介護に抵抗

ときどきある
ときどきある
ときどきある

介護時間
69分
80分
92分

一次判定結果
要介護2
要介護3
要介護4


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