医療保険改革与党案
主な改定点


  医療保険改革与党案 主な改定点
患者負担の見直し

 a.老人は入院1日710円を1000円に増額
     外来月1020円を受診毎1日500円に
     継続的に通院する患者には月4回を限度
   金額は医療費の伸びに応じてスライドさせる
 b.被用者本人負担は1割から2割へ引き上げる
 c.薬剤負担 外来薬剤1種類に付き1日15円の自己負担とする
その他の改定
 保険料率の改定
  政管健保現行8.2%を8.6%に引き上げる
 市販薬類似薬品の取り扱いは別途検討
  詳細は不明ですが風邪薬・鎮痛剤・ビタミン剤・湿布剤などは保険から
  はずされる可能性があります。
 食事代は自己負担の適正化
  入院の食事代負担は増額されたばかりですがまた引き上げの可能性もあります。
 高額療養費限度額は制限導入後適正化
  現在高額医療の還付制度(月63000円以上の場合)がありますが、この額が引き上げ
  られる可能性があります。
 薬価基準の合理化
  財源の確保と今後の制度に最も必要な事ですが具体的なことは全く検討されていません。
 国立病院などで入院医療費の定額払いを試行する


患者への影響
 老人外来
  慢性疾患で通院中の場合。診療所に通院月3回通院。
  薬剤5種類30日分、頓服2種類10日分とすると
   現行では月初めに1020円
   改定後 外来診察時1500円 薬代負担5x15x30=2250円
       頓服15x10=150円 合計3900円 となり約4倍の負担となる
  理学療法などに通院回数の多い患者さんでは
   通院回数が多くなれば月4回を限度で2000円
  薬の種類が多くなれば現行の限度7種類で30日3150円
   改定後は自己負担5000円を超す場合もあるが基本的には、外来負担は月5000円
   までで押さえられそうであり一応定額制は確保されています。
  問題点
  15円以下の投薬や頓用薬の取り扱いをどうするのか
  1日1薬剤15円の根拠が何もない。負担金の総額の数会わせ。
  1日500円の負担が国保3割負担より高額となる場合がある。
  入院医療費も1日1000円と食費負担760円の合計1日1760円となり
  入院の自己負担は月52800円となります。現行の月44100円より8700円のアップです。

 いずれにしろ、この改革案も患者さんの負担を前提に数字あわせで決められたその場限りの案と思われます。
 将来の予測と医療制度の根本的な改善、国民への分かりやすい説明と了解がなければ
 これだけでは医療財源はすぐに不足してしまい、すぐに自己負担再増加の改定が行われそう
 です。高齢化社会に向けて国民の納得の出来る審議が望まれます。
         平成9年12月21日 玖珂中央病院 吉岡春紀
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