償還払い制度の通知と申請について

還付の通知がくる市町村もあります。

 高齢者の外来医療費負担と、償還払い制度についてでご説明したように、10月からの改訂では老人の高額医療費と償還払いが大きな問題になっています。制度自体が複雑で、自治体の専門家でもその内容をすぐに説明できる人がいない、また一般の人が説明受けてもすぐには分からない制度です。

 入院医療費の還付は、現在でも高額療養費還付制度があり、同じ月・同じ医療機関に入院・通院した場合の一部負担金の自己負担限度額が63,600円を超えた場合手続きすれば還付される制度です。今回の制度もそれと同じなのですが、高齢者の外来診療の上限額があり、複数の医療機関や調剤薬局、鍼灸、訪問看護など医療と認定されるものは合算して申請しても良い制度なのです。外来の場合一般の収入の人は上限の12,000円を超えた額は後で申請すれば戻るのですが、お年寄りが自分で上限を超えたかどうか計算して申請することは難しい事ですし、上限額の所得による差、複数施設や調剤薬局、入院・外来、同世帯合算なども加わるとすぐにはどうして良いか判断は出来ません。

 また、償還額の決定は医療機関の領収証の金額の合計ではなく、支払いの確定したレセプトの合計で行われようですから、自分で勝手に領収証を計算して申請してもダメな場合もありそうです。 そして領収証の形式も診療所の場合大半がレシート形式の領収証ですし発行医療機関名・日時は分かっても宛先や医療費の保険診療分か保険外かの明細は不明の場合が多いと思います。そのためか、領収証の提出は必要ないという説明もありますので現場では混乱しています。

そこで 町の住民課に問い合わせてみました。

 町の担当者も患者さんや家族が領収証で申請するのは難しいと理解しておられ、各町村で工夫して対応を考えているようですまた厚労省からも出来るだけ住民の利用しやすいように配慮するように通達も出ていたと言うことです。但し、全国の自治体での対応はインターネットやメーリングリストで調べた範囲では、バラバラで厚労省の思惑通りには進んでいません。各市町村の対応は一定ではありませんので、ご自分の居住地の各市町村の窓口に確認しておいて下さい。

 この様に、上限を超えた患者さんには通知を出して、申請を勧めるような扱いなら当分は連絡があった者だけが申請すればいい事で、外来の償還払いの制度も好ましいのですが、自治体の担当者の仕事は大幅に増えてしまいます。また通知の費用や、通知ミスなどで償還を受けられなかった場合など色々問題が出てきそうです。
 こんな時間と手続きの手間を考えたらこの制度で何を目的にするのか、医療費抑制なのか、複数の医療機関の受診抑制なのか分かりませんが、制度的に満足できる制度ではなく制度自体を見直すべきだと思います。

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我々の町の具体的な償還払いについて

1.ある月に限度額を超えていた場合
 最初は町から連絡があります。 
 老人・老人家族などで、高額医療費の償還の対象となる事がはっきりすれば、市町村から「その事実を通知」されます。

例えば
「貴方やご家族には医療費が○○○○○円支払われていますが、貴方の支払いの上限額(12,000円)を超えていますので、手続きをしていただければ償還されます」と言うような通知です。
 こんな親切な文章かどうかは不明ですが。

 その通知を元に、本人または代理人が一度申請書を提出しておけば、その後は毎月還付申請を行わなくても、今のところ約1年間はその申請書を有効とするとのことです。上限額を超えたかどうか、市町村が計算して超過していれば還付する事になっています。

 最初にその通知がされるのは、償還の対象となった月以後であるので通知が来たら「本人の申請が必要なので一度だけでも申請して欲しい」とのことです。

 少額のため申請しない場合など、申請書を提出しなければ還付はありませんが、その後高額の時に新たに申請すればその月の還付は可能です。また償還払いの時効は2年とのことです。

 

2.限度額を超えていない場合

 町からの連絡はありませんので、上限額の超過はないと考えて下さい。但し領収証の金額などから明らかに支払いが超過していると考えられる場合には、計算のミスや判断の違いもあるかも知れませんので市町村の窓口(住民課)に相談下さい。

3.償還の期間

 償還は申請したらすぐに行われるのではありません。審査が終わり、金額の確定したレセプトが市町村に戻り、全体が分かってからですので約2ヶ月半後でないと分かりません。その後集計や通知をし、患者さんからの申請があってはじめて支払うので、一般的には約3ヶ月はかかります。
 厚労省の言うように2ヶ月程度で還付することは出来ません。上記の通知も2ヶ月半を過ぎてからしか連絡できないようです。

4.申請時に医療機関の領収証の添付は必要ありません。

 償還払いの手続きには領収証の添付は必要ありません。レセプトの金額確定後に還付されるので、レセプトの返戻などで遅れていれば支払いも遅れます。領収証の金額で還付計算をするのではありません。

5. 国保の老人だけに通知

 この市町村からの通知は国保の対象者だけです。社保の老人については決まっていないようですので、各保険者の窓口で確認する必要があります。

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 こんな市町村も多いのですが、前述したように全国で統一した制度ではないようですし、「通知はしない・領収証を必要とする」というパンフレットを発行している市町村もあります。

 制度は後1週間でスタートしますが、こんな事で良いのでしょうか。

                平成14年9月24日


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