10月からの食費・居住費 自己負担増について

 平成18年10月1日から療養病床に入院する高齢者の入院時の食費の負担額が増えるとともに、新たに居住費(光熱水費)の負担が追加されます。長期入院の方に、またしても新たな負担を強いる政策です。


療養病床入院の食費負担
 ○今までの食費負担額 1食260円 1日分として 780円 
           1カ月分(30日として) 23,400円を食費として負担していました。

   医療費は別に入院費の1割または2割負担。

 ○10月改定
  10月からは入院時生活療養(I)を算定する療養病床に入院している方の食費が
   1食200円の増となり、
  食費:1食につき460円  1日分3食として1日1380円の負担となります。
  それに加えて、光熱費も自己負担となりました。

  居住費(光熱水費):1日につき320円です。


  食費と居住費の1日合計負担分; 1,700円 で、1カ月では51,000円の負担となります。

 これまでの負担23,400円とすれば、10月からは1ヶ月差し引き改定後の負担増 27,600円 の増加となります。

 

 ただし、市町村民税非課税の世帯に属する方、所得が一定の基準に満たない方、老齢福祉年金を受給している方など低所得者は加入している医療保険の保険者(老人保健は居住地の市町村)の発行する減額認定証を、被保険者証等に添えて医療機関の窓口に提出することにより、食費や居住費減額が受けられます。

 また、難病等の入院医療の必要性の高い方の負担額は、変更前の額に据え置かれますし居住費の負担もありません。入院医療の必要性の高い状態とは患者さんの「医療区分2や3」が考えられておりますが、具体的な軽減の方法はまだ通達されておりません。
 来週から10月実施なのに、まだ詳細はわかりませんし、地元の支払い基金等に問い合わせても正式な答えはありません。わかりましたら、お知らせします。

 このような食費や光熱費の負担は、国の介護費や医療費を削減する為に、介護施設で行われていますが、病院では療養病床にはじめて導入された負担増です。
  1ヶ月50,000円を超える医療費以外の負担ですので、高齢者の総入院費の負担は、表向き医療費1割負担と言っても、この食費などの負担で総額の2割以上の負担をしていることと同じだと思います。
  また現役並の所得のある老人は、やはり10月から医療費の2割負担が3割負担に増えていますので、この方達は療養病床に入院すれば、食費と医療費の負担と合わせれば総入院費の4割以上を負担していることになります。現役並の所得が前年にあったとしても、長期の入院が必要になったとき、4割以上の自己負担を強いる制度が、果たして国民皆保険と言えるのかどうか、疑問です。

 

医療区分による、食費・居住費減免の案。

 療養病床入院の患者さん全部に、食費・居住費の負担増があるのではなく、低所得者対策と現在下記のような通達で「医療が必要な状態の入院には、負担増が免除される可能性があります。

 ただし、「医療区分」によって決められるようですので、同じ病態でも、負担のある人や免除の人もあったり、日によって医療区分が変わる状態の時にはどうするのか、内臓疾患で食餌療法が必要な場合でも免除されないこともあると思います。

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生活療養病床標準負担額および減額対象者の設定

2.また「病状の程度、治療の内容をしん酌して厚生労働省令で定める者」について、健康保険法施行規則等の改正省令案において、


 ア 重篤な病状として厚生労働大臣が定める病状を有し若しくは常時の医学的処置として厚生労働大臣が定める治療を要する状態が厚生労働大臣が定める基準を超えて継続する者
 イ 集中的なリハビリテーションを要する者として厚生労働大臣が定める病棟に入院している者


を定めることとしているが、別添2(療養病床に入院する高齢者の食責・居住費の負担(生活療養標準負担額)が軽減される患者について)中の3のとおり、具体的に、
 アについて、診療報酬上の医療区分2又は3の病状若しくは医学的処置を定めるとともに、それらの状態が継続する日等を基準とすることについて定め、イについて、回復期リハビリテーション病棟について定めることとする。

別添2の説明文

3.「病状の程度」、「治療の内容」をしん酌して標準負担額を軽減する者として
 入院医療の必要性の高い状態(人工呼吸器、中心静脈栄養等を要する状態や脊髄損傷(四肢麻痺が見られる状態)、難病等といった、診療報酬上の医療区分2 又は3の状態)が継続する(※)患者及び回復期リハビリテーション病棟に入院している患者の生活療養標準負担額については、現行の食事療養標準負担額と同額の食材料費相当の負担額とする。

 ※1.医療区分2又は3の状態が改善して、医療区分1の状態になった場合は、その日から軽減しない。
  2.医療区分1の状態が悪化して、医療区分2又は3の状態になった場合は、状態悪化前の当月における−の医療機関での入院日数を基準に、それよりも長い日数の間、その状態が継続する場合は、状態悪化前の入院日数を超えた日から軽減する。

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 この文章を読んで、別添2.の記載をすぐに理解できる人がいるでしょうか。
もともと理解不明・説明不明の診療報酬制度ですが、療養病床の食費・居住費の負担について受益者負担させるのならば、誰にもわかるようにすっきりさせる事が必要であり、例えば「医療区分1」の期間は食費・居住費が必要とする、医療区分2,3の設定日なら負担なしとするほうが、わかりやすいと思いますが。

 勿論 病院での食費・居住費負担は廃止するべきなのですが。

 9月27日 29日修正