4項目で「要介護1」をゲットしよう。


 ラッキーさんの判定結果後、他の審査員とも話していて、「ラッキーセット」なる言葉があることも知りました。
そうなると他の組み合わせも知ってしまいたい誘惑にかられ、4項目チェックで「要介護1」がゲットできる組み合わせを探してみました。
 暇な奴だと笑わないで下さい。一次判定の仕組みを考えて研究しているのです??。
 ところが、やり始めるとはまってしまいました。パズルを解く感覚です。
 そして、これがたくさんあるのです。勿論介護の現場であまり考えられない組み合わせは除きますし、一次判定警告コードは出ないものとしました。また調査項目の分類の範囲での組み合わせを基本として、多分類にまたがる組み合わせは探していません。
 今回のシミュレーションのソフトは牧丘町立病院の村田先生が作られたマック版の「SimNintei1.0」を使わせていただきました。このソフトは項目のチェック毎に介護時間や介護度が変化するので、こんな時は便利です。
 ウインドウズ版なら大阪の畑先生が作られた「認定君」も同じような使い方が出来ます。

第2群の関係
 2.起きあがり:つかまれば可
 3.両足つく座位:自分の支えあれば可
 4.両足つかない座位:自分の支えあれば可
 6.歩行:つかまれば可
 要介護認定基準時間 31分

第2群と3群の組み合わせ
 1-2 拘縮 膝関節
 2-6 歩行:何かにつかまれば可、
 3-1 立ち上がり:つかまれば出来る
 3-2 片足での立位保持:支えがあれば出来る
 要介護認定基準時間31分
 この組み合わせは「ラッキーさん」の例で示しています。1-2の拘縮はどこでもよく、麻痺でも同じです。

その他
 2-2.起きあがり:つかまれば可
 2-4.両足つかない座位:自分の支えあれば可
 2-6.歩行:つかまれば可
 3-2片足での立位:支えが必要 
 要介護認定基準時間 31分

 注;2群・3群での要注意は 5.両足での立位です。
  アンラッキーさんの例でもおわかりのように、支えが必要またはできないにチェックをしてしまうと完全に逆転にはまってしまいます。5.両足での立位チェックしてはいけません

第3群の複雑動作はもともと4項目しかなく、この4項目だけがチェックされることはないので、取り上げません。

第4群
 4.ア.尿意:ときどきあり
  イ.便意:ときどきあり
 5.排尿後の後始末:間接的援助
 6.排便後の後始末:間接的援助
 要介護認定基準時間 36分

 4.ア.尿意:ときどきあり
  イ.便意:ときどきあり
 5.排尿後の後始末:間接的援助
 7.食事摂取:見守り
 要介護認定基準時間 39分

  注;この例で5.排尿を自立とし6.排便後の後始末:間接的援助とすると突然28分となって要支援となります。
    排尿と排便で間接援助が11分も差があります。

第5群
 この群にはいろんな組み合わせが考えられます。もっと色々考えても良いでしょう。
 1.エ.爪切り:全介助
 3.居室の掃除:全介助
 5.金銭の管理:全介助
 7.周囲への無関心:ときどきある

 要介護認定基準時間 30分

 1.エ.爪切り:一部介助
 2.イ.上着の着脱:見守り
  エ.靴下の着脱:見守り
 3.居室の掃除:一部介助
 要介護認定基準時間 33分

 1.ア.口腔清拭:一部介助
 1.ウ.整髪:一部介助
 1.エ.爪切り:全介助
 3.居室の掃除:全介助
 要介護認定基準時間 30分

第5群と6群の組み合わせ
 
5-5.金銭の管理:一部介助
 5-6.ひどい物忘れ:ときどきあり
 6-3.意思の伝達:ときどき通じる
 6-4.指示への反応:ときどき通じる
 要介護認定基準時間 30分
 こんな高齢者はいっぱいおられますね。身体障害はなく、高齢で反応が遅くなったやや痴呆の症状が出始めたお年寄りです。これでも「要介護1」です。ありがたいことです。
 が・・・びっくり仰天(逆転)
 これに第7群の問題行動を追加してみて下さい。
 
介護に抵抗・常時の徘徊・火の不始末など数項目(2項目以上)追加すると介護時間は24分になり「自立」になってしまいます。問題行動はむしろ介護時間を減らしてしまい、要介護度は軽度にしてしまいます。入力することがかえって不公平な判定をしてしまいます。

第6群
 第6群でもいろんな組み合わせがあります。
 こんな組み合わせで「要介護1」と判定されるのです。
 1.視力:目の前が見える
 2.聴力:大声が聞こえる
 3.意思の伝達:ときどき出来る
 4.指示への反応:ときどき通じる
 要介護認定基準時間 30分

 5.ア毎日の日課:できない
  イ生年月日:できない
  ウ短期記憶:できない
  カ場所の理解:できない
 要介護認定基準時間 30分
  注;この例ではオ.今の季節を理解:できないを追加すると24分となり自立となります。

 3.意思の伝達:ときどき出来る
 4.指示への反応:ときどき通じる
 5.ア毎日の日課:できない
  ウ短期記憶:できない
 要介護認定基準時間 30分

探してみるとなんとこんなにもラッキーセットはあるのです。
勿論少しバリエーションを変えてみたらまだあると思います。

 使わない手はありません。多項目を入れすぎてかえっ逆転してしまう説明できない欠陥ソフトなのです。「要介護1」がどうしても必要なら、こんなセットで「要介護1」をゲットすべきです。全く公正な選択です。
 但し。4項目だけの「要介護1」というこんな状態像は、提示されていませんので、状態像に当てはめる判定は出来ないかも知れませんので、主治医意見書やその他の特記事項を見て、厳しい審査会では二次判定ではそのまま「要介護1」と判定されるかどうかは分かりません。しかし、一次判定結果を減らすと言う根拠も有りませんのでそのまま「要介護1」と言う二次判定を出してくれる審査会もあるだろうと思います。万一、問題行動があったために介護度が下がったとすれば、厚生省のお墨付き一次判定結果ですので、もし審査会で下がったら不服申請しても良いかも知れません。

 第1群・第7群では4項目の組み合わせでは「要介護1」のセットは出来ませんでした。
 麻痺、拘縮はいくら項目が増えても介護時間は増えないようです。
 これを見ても、問題行動がいかに軽視されているかが分かりますし、改めて欠陥ソフトと言うことがお分かりになりましたでしょうか。
 これでもまだ理解できない方には、折角の「4項目のラッキーセット」に7群の問題行動2個以上「あり」にして見て下さい。今回のラッキーセットのうち第4群と5群のセットを除いて「自立」24分と鮮やかな逆転が経験できます。
 第4群と第5群のセットでは問題行動2個有りで1分間の短縮となりますので30分のセットは29分要支援となります。いずれも問題行動有りは介護時間短縮になります。
 これでも、まともなソフトですか。  


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