これで「みんな満足・うまく行く更新認定」

8割「うまくいった」 県内 市町村の要介護認定

「4-5月にかけて県が、全市町村を対象に実施したアンケート調査の結果が報告され、市町村が行う要介護認定については82.2%が「うまくいった」と自己評価していることが分かった。県は、認定がうまくいかなかった理由の中には、主治医の意見書の提出が遅れたこと不十分な記載があったとし、今後、県医師会に委託して医師の研修会を開催することも計画している。」先日の地元新聞に掲載された内容です。この記事の問題は先日このホームページでもご紹介しました。

 厚生省は通達により、要介護認定制度の運用での問題点は主に医師にあるとして、主治医に意見書記載の再研修を、また認定審査会の委員や合議体の委員長に別の研修を義務づけました。それにしても他に責任転嫁をするのが好きな省庁で、根本の一次判定ソフトの欠陥は素早い対応をとらず、要介護認定制度は医師や調査員がちゃんとすれば問題ないと言うのですから困ったものです。
 当県でも先日から県内を9ブロックに分けて、医師を対象に主治医意見書記載の研修会が始まりました。

 私もその研修会での講師を引き受けたましたが、意見書の記載方法については別の講師に譲り、今の一次判定の欠陥・矛盾や、逆転現象の問題などを中心に説明しました。これらのことはこのホームページで何度となく私が訴えてきた事です。参加した医師や自治体の担当者なども「これほど一次判定ソフトがひどい」とは思っておられなかったようで、簡単に、何の理由もなく、良くも悪くも逆転する一次判定結果にびっくりしておられました。インターネットや一部マスコミでは大きな問題になっていますが、審査会に関係のない方たちの「認知度」はまだまだのようです。

 と言うか審査会の関係者でも、要介護認定に問題があることは理解していても、パソコンを使ったことのない審査員は一次判定ソフトの逆転を十分に知っている者の方が少なく、「一次判定ソフト優先の認定審査(=厚生省指導の認定審査)」を行っておられる審査会などでは、ほとんど認識されていないのかも知れません。
  さて、合議体委員長研修・審査会委員研修で何を研修するのかはまだ分かりませんが、ある都道府県では1)県内情勢-20分、2)審査会の手順-20分、3)事例検討会-90分、となっているとのことです。事例検討がどんな事例なのか、まだ不明とのことです。
 今の一次判定ソフトを使った要介護判定システムでは、いかに審査会で研修しても認定の根本のシステムに問題があるのですから、全国一律の公平な認定は最初から無理な話ですし、いくら審査委員会の合議体の調整を行ったところでも、判定基準がないので同じ審査結果になるわけがなく「公平性」は求めることは出来ません。
 従って厚生省が考えているもっと「状態像」を増やしたり、「平準化委員会」などを設置して検討してもあまり意味のない結果になると思います。少し自由な独自の判定の出来る「平準化委員会」なら結構ですが、マニュアル通りの認定でないと「公平」でないと言うことになると、不服申請の審査会と同じく「公平・公正」を保とうとして、裁判のような厳しい審査を行い、誰のための、なんのための審査かを忘れているような審査になると思います。
 この不服申請審査会でも一次判定ソフトを優先しており、メンバーも今の一次判定の欠陥や矛盾を理解しておられない方も多いようです。

 研修会で「一次判定における逆転現象や元気な痴呆性老人の低い介護度などの説明不可能な現象について、どういったご説明があるのか、いまからとっても楽しみにしています。」と言う、あるインターネット掲示板への認定審査委員の方の書き込みにもあるように、審査会の委員として研修を義務づけられるのなら、厚生省は今後の更新認定に向けて審査会が混乱しないように、これを説明する義務がありますし、説明出来ないなら、何度も言いますが今の認定システムをいくら研修しても、仕方ありません。なお混乱するだけだと思っています。

 私のホームページでも示した下記の数々の逆転症例(peke先生やハッシー先生が何度も警告を出しておられる例)の逆転の理由と、逆転したときに審査会はどう対応するのか・判定するための基準はあるのかを説明できる担当者がいれば、是非聞きたいと思いますし、更新認定の参考になると思いますが、出来ないと思います。 特に1.の究極の逆転例では、基準はないので審査会はどんな判定にするかは、各合議体のその場の雰囲気に任せるしかないのが現状でしょう。ある自治体では一次判定を優先する審査を行っておられ、二次判定の変更も上下いずれも1ランクに限るという審査会も現実にあるのです。一次判定の「要介護5」を「要介護1」「要支援」には変更できない審査会もあるのです。

 1. 究極の不公平・あなたの審査会ではどんな二次判定になるのでしょうか こんな判定あり???

 2. ラッキーさんとアンラッキーさん

 3. 一次判定の逆転 いろいろ

 4. 4項目で「要介護1」をゲットしよう。

 5. 「最高のラッキーセット」

 6. 二次判定に反映される特記事項の書き方 逆転現象と痴呆例

 7. 「厚生省の状態像の例」における痴呆・問題行動出現時の介護時間と介護度の変化

 そこで、更新認定において、と言うか今後の認定審査会を、混乱を少なくして乗り切るためには、どうすればよいかと考えてみました。

 ここからは半分冗談ですよ。真剣にならないで下さい。

 前述のアンケートのように自治体のアンケートでは、ほぼ8割の自治体が要介護認定はうまくいったと判断しており、介護認定申請者のアンケートも判定結果にほぼ同じ位の満足度があるようです。
 要するに今の認定審査のシステムでも初回の認定結果には7-8割は満足して居るのです。マスコミもその結果を7-8割うまくいったのだから「良い制度」だと評価しているようです。
 一次判定ソフトの中身などは誰も問題視していないのです。
 また個人個人の不公平はまだ、制度開始間もないため認識されていません。

 それならばいまはこの国民満足度を利用するべきです。

これでみんな満足・うまく行く更新認定

その方法は簡単です。
 更新認定において、今の一次判定ソフトによる認定システムを使うならば、更新時にも調査員の調査が行われ、主治医意見書も必要です。前回の認定結果は原則的に二次判定の結果だけ分かりますが、詳しい資料はありません。
 そして多くの例で良くも悪くも「個人内逆転」を経験することになるでしょう。
 そうなったら、認定審査会の独自の対応は限界がありますし、その時の対処法が教えられていませんので「公平性」維持できません。大混乱が目に見えています。
 7-8割の満足度が5-6割に低下すると思いますし、更新すればするほど混乱します。
 だから、更新認定では「一次判定ソフト」は使いません。参考の為などと言って使ったら、その時はもう泥沼にはまってしまうのです。

誰もが不満を言わない更新認定。

 それならば混乱のない更新認定はどうするのか、今のような初回認定と同じ様な認定審査はしません。調査書も主治医意見書もごく簡単なものとして様式を変えます。その内容は前回の調査や診察時の状態と比べて介護の手間が、少し「増えた」「減った」「変わらない」のいずれかに○を付けて貰うだけで良いのです。少し変わった内容を特記事項にでも書いて貰らえればなお結構です。「こんな事で認定審査が出来るか」と目くじらをたてないで下さい。簡単なのが良いのです。変に色々調査したりしますと、こんがらがってしまいます。
 勿論、介護度が大きく変化した場合はこの審査をせず再認定する事にしますのでここでは普通の更新認定です。

 そして、調査員と主治医の意見が一致していれば更新認定の判定結果は
  介護の手間が少し
「減った」「変わらない」方は今の認定結果のままとし、
  少し
「増えた」方は「1ランク」アップすれば良いのです。
 認定審査会では集まってもあまりすることはありませんが、調査員と主治医の意見が少し違っていれば、特記事項を考慮して色々協議したことにすれば良いのです。

 そうすれば更新認定は何も混乱はなく、審査も簡単で、これなら何例でも審査できますので、審査員の出務回数も減ります。審査員や自治体の担当者も事前準備などいらないので残業も減り「満足」です。
 大量のコピーの消費も減りますので「事務費の節約」と「自然保護」にも貢献できます。こんなに簡単なら更新にはもうコンピュータもいりません。安上がりに済ませましょう。
 最後はわざわざ審査会を開かなくても良くなるでしょう。
 自治体の更新認定の満足度も、主治医意見書を必要としないのですから提出の遅れも記載不備もなくなり、今よりアップして全国自治体の9割以上となること請け合いです。
 申請者の満足度も、認定結果が今と変わらないか良くなるのですから「満足」だと思います。
 一部施設入所者の中には、介護度のアップを望まない方もあるかも知れませんが、これは我慢していただきましょう。また井戸端会議が好きな婆ちゃんがいろいろ調べて「隣の爺さんはうちの爺さんより元気そうなのに毎日ヘルパーさんが来たり、送り迎えで遊びに行っている。うちの爺さんはほとんど寝ているのに今の判定では週1回しか行けないと言われた」と言うように制度の知識が拡がっていけば個人的な不満は出てきますが、これもマスコミの方たちのアンケートでは国民の7-8割が今の認定結果に満足しているのですから、個人のわがままとして我慢して貰いましょう。

 こんな風に、みんな満足なら、こんなに問題のある「要介護認定制度」も「一次判定ソフト」も、「9割満足の良い制度」となりますし、「8割満足の良いソフト」となるのです。
あわてて制度やソフトの見直しをすることもありません。厚生省も満足でしょう。

これで数年は「めでたし、めでたし」です。

が。
数年先には全国要介護3-5ばかりで、要介護度は増えたが、介護サービス追いつかず、「サービスは受けられません。保険料はアップです」になりますが、これは各市町村の問題で、責任は各自治体ですので、厚生省は知らぬ事にしておけばいいでしょう。
いずれ崩壊してしまう要介護認定制度ですから。
しかし、介護保険制度まで崩壊させて良いのでしょうか。

                  平成12年8月30日(31日一部加筆)   吉岡春紀


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