要介護状態区分の変更等の際に勘案しない事項について

介護認定審査会における審査判定は、要介護認定等基準時間に基づいて設定されている要介護認定基準及び要支援認定基準に照らして行うものであり、その際の具体的な検討においては、

1.要介護状態区分ごとに提示されている「状態像の例」と審査対象者の状態像の比較
2.特記事項、主治医意見書の内容に基づき、通常の例に比べてより長い(短い)時間を介護に要するかどうかの判断
3.障害老人の日常生活自立度(寝たきり度)、痴呆性老人の日常生活自立度、中間評価項目の要介護状態区分別平均得点等の勘案
を行うこととしているが、以下に掲げる事項を勘案して基本調査の調査結果の一部修正や一次判定の結果の変更を行うことはできない。

I. 基本調査結果の一部修正
 以下の事項に基づいて基本調査の調査結果の一部修正を行うことはできない。ただし、基本調査では得られなかった状況が特記事項又は主治医意見書の内容(認定審査会における調査員及び主治医の発言を含む。以下同じ。)等によって新たに明らかになった場合は必要に応じて変更を行うことができる。

1.既に当初の一次判定の結果で勘案された心身の状況
(1)基本調査の調査結果と一致する特記事項の内容
 特記事項の内容が基本調査の調査結果と一致し、特に新たな状況が明らかになっていない場合は、その内容に基づいて基本調査結果の一部修正を行うことはできない。
(2)基本調査結果と一致する主治医意見書の内容
 主治医意見書の内容が基本調査の調査結果と一致し、特に新たな状況が明らかになっていない場合は、その内容に基づいて基本調査結果の一部修正を行うことはできない。

2.根拠のない事項
(1)特記事項又は主治医意見書に基づかない本人の状況
 特記事項又は主治医意見書の内容に特に記載がない場合は、記載されていない内容に基づいて基本調査結果の一部修正を行うことはできない。

II. 二次判定における一次判定の結果の変更
 以下の事項に基づいて一次判定の結果の変更を行うことはできない。
 ただし、特定の項目について、特記事項又は主治医意見書の内容に基づいて介護に要する時間が延長又は短縮していると判断される場合は一次判定の結果の変更を行うことができる。

1.既に当初の一次判定の結果で勘案された心身の状況
(1)基本調査結果と一致する特記事項の内容
 特記事項の内容が基本調査の調査結果と一致し、特に新たな状況が明らかになっていない場合は、その内容に基づいて一次判定の結果の変更を行うことはできない。

(2)基本調査結果と一致する主治医意見書の内容
 主治医意見書の内容が基本調査の調査結果と一致し、特に新たな状況が明らかになっていない場合は、その内容に基づいて一次判定の結果の変更を行うことはできない。

2.根拠のない変更
(1)特記事項又は主治医意見書に基づかない本人の状況
 特記事項又は主治医意見書の内容に特に記載がない場合は、記載されていない内容に基づいて一次判定の結果の変更を行うことはできない

3.介護に要する時間とは直接的に関係しない事項
(1)年齢
 審査対象者の年齢を理由として一次判定の結果の変更を行うことはできない。
(2)長時間を要するが自立している行為
 ある行為について時間はかかるが自分で行っている(自立している)場合は、時間がかかっていることを理由として一次判定の結果の変更を行うことはできない。ただし、長時間を要する「見守り」を行っており、その「見守り」によって、介護に要する時間が延長又は短縮していると判断される場合は変更を行うことができる。

4.客観化できない心身の状況
(1)本人の意欲の有無
 本人の意欲の有無を理由として一次判定の結果の変更を行うことはできない。
 ただし、特記事項又は主治医意見書に記載されている内容に基づき、本人の意欲の有無が原因となって、介護に要する時間が延長又は短縮している具体的な状況が生じていると判断される場合は変更を行うことができる。

5.心身の状況以外の状況
(1)施設入所・在宅の別、住宅環境
 施設入所しているか又は在宅であるか、あるいは審査対象者の住宅環境を理由として一次判定の結果の変更を行うことはできない。
 ただし、特記事項又は主治医意見書に記載されている内容に基づき、施設入所・在宅の別、住宅環境が原因となって、介護に要する時間が延長または短縮していると判断される場合は変更を行うことができる。

(2)家族介護者の有無
 家族介護者の有無を根拠として一次判定の結果の変更を行うことはできない。
 ただし、特記事項又は主治医意見書に記載されている内容に基づき、家族介護者の有無が原因となって、介護に要する時間が延長又は短縮していると判断される場合は変更を行うことができる。

(3)抽象的な介護の必要性
 特記事項又は主治医意見書に、「介護の必要性が高い」等の抽象的な介護の必要性に関する記載のみがあり、具体的な状況に関する記載がない場合は、その内容を理由として一次判定の結果の変更を行うことはできない。

(4)本人の希望
 特記事項又は主治医意見書に、「本人は要介護認定を希望している」等の記載があることを理由として一次判定の結果の変更を行うことはできない。

(5)現に受けているサービス
 特記事項又は主治医意見書に、「現に介護サービスを受けている」等の記載があることを理由として一次判定の結果の変更を行うことはできない。


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