改訂版ソフトによる一次判定結果の矛盾

 説明してきた、改訂一次判定ソフトの問題点や欠陥を表にしてみると少し分かり易くなりますので下記のような表を作成しました。この表が、この改訂版ソフトのすべてを表していると言っても過言ではないと思います。改訂前の一次判定ソフトの問題点が何ら解決されていないと思います。まあこんな例は特殊な組み合わせで、判定精度は良くなったとは言われていますが、本当の評価は全国での審査会を経ないと評価できないと思います。

 第7群の異常行動は、改訂版でも正しい評価が出来ていないので外しています。

 「全介助例4」とは、調査項目全てに「異常有り・全介助」が必要となる例ですが、今回の一次判定は「要介護4」と判定されます。現在の判定ソフトでも全項目に異常・全介助なら「要介護4」となり、そのためひどい物忘れを外していたのですが、今回もまた同じ事になりました。1列置いた「要介護5」はたった5項目で116.5分となったもので、これなどは「全介助例4」と比べてみると異常な判定結果に驚かれる事と思います。また4項目だけで70分を超え、一次判定「要介護3」となる例を「4項目3」として2例提示します。

 今回も、片麻痺・移乗・ズボンの着脱の項目は必要以上に基準時間が与えられています。またたった4項目で「要介護2」「要介護1」の例も「4項目2」「4項目1」として提示しています。

 一方、現行の一次判定でもおかしな結果になった「アンラッキー」とした例は、今回の改訂でも異常なままで、これだけ問題がありながら27.9分ですので一次判定結果は「要支援」です。

 最後に「自立?」とした例は、5群・6群に異常があり、これで自立と言うことも異常ですが、それよりも要介護認定等基準時間が18.6分と減ってしまっていることです。今回の改訂では何もない場合23.8分となるはずです(このこと自体もおかしいのですが)が、9項目も問題があるのに、基準時間は23.8分より減ってしまっているのです。これが逆転現象の最たるものなのですが、今回の改訂でも全く解決されていません。

 たった8例の表示ですが、これが今回の改訂判定ソフトの結果なのです。この表の矛盾を説明することは出来ないと思います。何のための改訂だったのでしょうか。痴呆や問題行動の判定も加えると、「まともなソフト」とはどうしても言えません。

調査項目

全介助例4

4項目3

要介護5

4項目3

4項目2

4項目1

アンラッキー

自立?

第1群

麻痺

(麻痺拘縮)

左-上肢

ある

ある

ある

ある

ある

右-上肢

ある

左-下肢

ある

ある

ある

ある

ある

右-下肢

ある

その他

ある

拘縮

肩関節

ある

肘関節

ある

股関節

ある

膝関節

ある

足関節

ある

第2群

寝返り

できない

つかまれば可

(移動)

起き上がり

できない

つかまれば可

両足での座位

できない

両足での立位

できない

支え必要

歩行

できない

つかまれば

つかまれば可

移乗

全介助

見守り

見守り

見守り

移動

全介助

第3群

立ち上がり

できない

つかまれば可

(複雑動作)

片足での立位

できない

支え必要

洗身

行っていない

全介助

第4群

じょくそう

ある

(特別介護)

皮膚疾患

ある

嚥下

できない

見守り

排尿

全介助

全介助

排便

全介助

全介助

間接的援助

食事摂取

全介助

全介助

全介助

飲水摂取

全介助

全介助

第5群

口腔清浄

全介助

全介助

(身の回り)

洗顔

全介助

全介助

一部介助

整髪

全介助

全介助

一部介助

つめ切り

全介助

全介助

一部介助

上衣の着脱

全介助

ズボンの着脱

全介助

全介助

全介助

薬の内服

全介助

一部介助

金銭の管理

全介助

一部介助

電話の利用

全介助

一部介助

日常の意志決定

重度障害

限定的

第6群

視力

判断不能

見えない

(意志疎通)

聴力

判断不能

やっと

意思の伝達

出来ない

時々通じる

時々

指示への反応

通じない

時々通じる

毎日の日課理解

できない

できない

できない

生年月日をいう

できない

できない

短期記憶

できない

できない

自分の名前をいう

できない

できない

今の季節を理解

できない

できない

できない

場所の理解

できない

できない

できない

要介護認定等
基準時間

107.5

86.2

116.5

83.3

57.3

30.7

27.9

18.6

一次判定

要介護4

要介護3

要介護5

要介護3

要介護2

要介護1

要支援

自立

      14年11月25日

  その後改訂版の一次判定ソフトでは「要介護1」の基準時間が32分から50分と訂正されました。
  4項目1の例は30.7分ですので、「要支援」と言うことになります。
  「要介護1」を今まで通りの30分からとすれば、要支援が減り、要介護1が増えすぎるための
  苦肉の策だと思います。この様に国の都合で勝手に基準時間を変更することも出来るのです。
  それならば要介護認定基準時間とは何だったのでしょうか。        15年3月 追加・改訂


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