介護保険証を持っているだけでは
      介護サービスは受けられません


 先日より、皆さんのお住まいの市町村から65歳以上の方には黄色い「介護保険被保険者証」が送られてきていると思います。この「介護保険証」は4月から介護サービスを受ける時には必ず提示が必要な保険証なのです。

 しかし、この保険証が送られて来たために、誰でも介護サービスを受けることができると勘違いする人があります。この保険証を持っているだけでは介護サービスを受けることはできません。
 
介護サービスを受けるためには、市町村に認定の申請を行い、介護が必要かどうかの要介護認定を受ける必要があります。
 従って、
申請をしていない人要介護認定を受けていない人は、この保険証は使えません。

 病気やケガをして病院などで診てもらう時、保険証1枚あれば、いつでもどこでも医療機関を受診することができ、治療が受けられる「医療保険の保険証」とは全く違う保険証なのです。 
このことを良く理解しておいて下さい。

 介護保険証は、介護が必要になった時に保険でサービスを受けるための大切な「パスポート」だといわれています。
 しかし、海外へ出かけるときの「パスポート」と同じく使用期限**(介護保険では基本的には6ヶ月)があり、期限を過ぎると利用できませんし、旅行しない人(使わない人)には全く必要のないものです。

**注:この保険証の有効期限は平成18年3月31日と記載されていると思いますが、この期日に全く意味はなく、使用する際の有効期限は認定の有効期間(初回は6ヶ月から1年間・その後は6ヶ月間)だけです。

 万一紛失しても、介護が必要になった時、申請し、要介護認定を受け、要介護度が決まればその時点でまた新しい保険証が発行されますので、あまり気にする必要はありません。

 厚生省は65歳以上の方すべてに介護保険証を交付するよう市町村を指導しています。しかし要介護認定されるのは65歳以上の方の約1割程度の対象者に過ぎません。ほとんどの高齢者にとっては、使われることのない保険証なのです。

 使われることのない保険証を高齢者全員に配る必要はないのではないかと思います。
 むしろ手続きの手間や郵送料の無駄遣いです。全国の高齢者に全てに郵送配布しているのですから、少々の無駄遣いではない金額でしょう。

                  平成12年4月 院長 吉岡春紀


 本日このパンフレットを受け付けの窓口に貼りました。

 と言うのが「介護保険被保険者証=介護保険証」の配布後に、ここでまた困った問題が生じているからです。
 4月からの介護保険実施に合わせようとして、先日から対象者に自治体からあわてて介護保険証が郵送されています。
 それも「書留め」でです。
 必要のない人に配布されている事は後で述べますが、もっと困ったことは、介護保険証が送られて来たので自分も介護サービスが受けられると勘違いしているお年寄りが多いのです。
 昨日通院中のおじいさんから、「わしにも介護保険証が送ってきたので、4月からはディサービスに行って良いのか」と質問を受けました。
 要介護認定も受けていない、今までに介護サービス利用もない人です。
 保険証が送られてきたので介護保険のサービスが使えると勘違いしておられました。

こんな話は最近医師会の会合でよく聞きます。

 私も勉強不足で保険証の配布のし方などは知りませんでしたが、周辺の市町村では全て書き留めの郵送でした。「介護保険被保険者証の送付について」という説明書が1枚添えられていますが、読んだだけではわかりにくい説明です。
 やはり初めての制度のことであり、ちゃんと説明せずに郵送だけで済ませば、分からない人や勘違いする人がでてくると思います。未だに介護保険制度自体の認識も十分でありませんし、先日の朝日新聞のアンケート調査でも多くの方が介護保険そのものをまだ理解されていませんでした。
 そんな中で保険証の様に本来なら大切な証書を郵送で済ますことは問題だと思います。
 このように、介護保険そのものを良く理解しておられない方には、誤解と混乱を与えています。

書き留めにしたら良いというものではありません。
しかし、ここでもう一つよく考えて下さい。
 介護保険証は全ての人にすぐに必要はないのです。
 むしろ介護認定が済んだ人・すなわち介護サービスがいる人だけが必要な保険証とも言えますし、65歳以上の対象者の約9割は送られてもどうしようもない保険証なのです。
 大切に保管しておいても使い道はありませんし、認定を受けた人だけに配布すれば良かったと思います。
 認定審査で要介護認定の結果がでない場合には、この保険証は全く使えず、認定結果と利用の有効期間が書き込まれて始めて有効なものですので、全員に送る意味もなく、5年間も使わないものを大切に保存しているとは思えません。全員配布は止めるべきです。
 むしろ保険証の印刷や配布手続きの手間・書き留め郵送料の無駄遣いです。全国の高齢者に全て配布しているのですから、少々の無駄遣いの金額ではないでしょう。これも税金や保険料からでていると思うとやりきれませんね。
 こんな無駄遣いを、自治体の職員は誰も指摘しないのでしょうか。また疑問に思わないのでしょうか。

 1.介護保険証は介護が必要となった方に、認定結果・有効期限などよく説明して、本人か家族に手渡しすべきです。
 2.1号被保険者(65歳全員)に配布する必要はありません。配布の費用は無駄遣いです。


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