要介護認定と支給限度額

介護度
支給限度額
要支援
61,500

104,300
要介護1
165,800

29,000
要介護2
194,800

72,700
要介護3
267,500

38,500
要介護4
306,000

52,300
要介護5
358,300


 上の表は、在宅サービスを受ける人が、要介護度別に利用できる介護サービスの限度額を表したものです。
 例えば「要介護1」と認定された方は、一月に利用できる介護サービスの総額は165,800円であり、この額の範囲内で必要なサービスと回数を選んで利用することになります。自己負担は1割です。
施設サービスはこのような方式はとっていません。

 さて、この支給限度額を眺めていて気づいたことは、要介護度別の限度額が全くバラバラに決定されている事と、「要支援」と「要介護1」に10万円以上の差があることです。
 支給限度額の決定の経過は知りませんが、多分この「要介護度」の方が利用するであろう介護サービスを計算し、このくらいの金額を設定すれば良いだろうと言う事で決められたのだと思います。厚生省の考えている「要介護度」の平均的な申請者にとって決められたようで、これはこれで仕方ない決定だとは思いますが、金額的にこれほどばらついては、もっと上の要介護ランクを希望する申請者や、もっと介護サービスを希望している方には、すっきりはしません。

 次に、要介護認定制度との関係を見てみますと、認定審査会ではコンピューターで示される要介護認定等基準時間によって一次判定されます。ここで問題になるのは「自立」「要支援」「要介護1」の要介護認定等基準時間の差はご存じのように25分から30分までのたった5分しかありません。この5分と言う範囲でこの3つのランクの介護度を決定しなければならない判定方式なのに、支給限度額は要支援61,500円、「要介護1」165,800円と大きな差が生まれています。勿論「自立」となれば介護サービスには全く支給されませんので介護保険では利用できません。
 誰も今までこの問題に疑問や不満を訴えていないのが不思議な気がします。まだ保険料の徴収が始まっていなかったからでしょうか。
 全国の認定審査会はこの3つのランクを確実に選別できない要介護認定を行っていながら、支給額にこれほどの差を付けていることは大きな問題だと思います。

 この「自立-要介護1」のランク以外にも要介護度認定では1ランク20分と言う厳密な時間の差で要介護度を決めていながら、その介護度別の支給限度額にこれほどの差があることは、これまた大きな疑問です。要介護1と2、要介護2と3の差額は倍以上です。

 この理由として、先程述べた平均的要介護度別の利用の額によって差が出来たことと、また一つは要介護度別にサービスの単価が違うことが上げられています。例えば要介護1と3の方が同じサービスを受けても時間の単価が違うと言うことですが、これを考えても、全てを納得させることが出来ない差ではないでしょうか。

 要介護度と支給限度額から見ても介護保険制度は分からない制度です。

 平成12年11月16日 吉岡春紀


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