先日の日医ニュースを見ていたら、こんな記事がありました。

認定調査の「虚偽記載」は公務員として処罰

 厚生省介護保険制度施行準備室の三浦次長は6日、熊本県介護支援専門員連絡協議会記念講演会で、介護支援専門員に求められるものとして、「公平性・公正性」を強調。「みなし公務員」の位置づけで行う要介護認定調査に際して虚偽の記載があれば、刑法上の「虚偽公文書作成」にあたるなど、公務員として罰せられることに注意を促すとともに、個人の不正によって事業所そのものに対する指定が取り消される可能性があるとして、厳正な業務遂行を促した。

 要介護認定における痴呆対策については、特記事項や主治医意見書による2次判定での変更は当然としたほか、徘徊傾向のある高齢者の身体状態が正確に把握されていないケースが多いと指摘。徘徊傾向にあって食事、入浴、排泄が全く見守りなくできているとは考えにくいとし、例えば排泄がひとりでできるとしても「便座に座るまで見ていなければならないのではないか」など、自立度について踏み込んだ調査を求めた。

 と書いてありました。介護支援専門員だけでなく調査員・審査員・申請者全てに「公平性・公正性」は必要なことで、全くその通りですが、介護支援専門員に求めるだけでなく厚生省自体が、今の介護保険制度や認定制度に「公平性・公正性」を保っているのかを問い直してみることも必要ではないでしょうか。
 このまま今の認定制度を続けて行くことそのものが、介護が必要な人全てに「不公平性・不公正性」を続けることになるとは思っておられないのでしょうか。

 痴呆の対策について、相変わらず調査員の調査の仕方、取り上げ方を問題にして、痴呆が判定に現れないのは、調査員の資質であると言うような発言です。まだ一次判定ソフトの欠陥を認めようとしないことに、歯がゆい気がしているのは私だけでしょうか。
 それなら、徘徊のある痴呆例に、厚生省のおっしゃるように食事・入浴・排泄の介助を加え、洗身や金銭の管理・意思の伝達・指示への反応なども吟味し問題行動では昼夜逆転・暴言暴行・介護に抵抗・外出して戻れない・火の不始末などの介護に時間がかかり現場の介護者が一番困る項目まで追加しましたが、介護基準時間は29分・一次判定は要支援のままです。
 これでも調査員の資質の問題とおっしゃるのでしょうか。 

 また「特記事項や主治医意見書による二次判定での変更は当然とした」とおっしゃるならば、全国の審査会に二次判定の審査基準を示すべきです。それでないと「変更は当然とした」と言われても審査会では変更のしようがありませんし、悪評高い「変更できないとする通達」は撤回されていません。それこそ二次判定は全国パラバラに判定され・不公平そのものです。
 こんな記事を読みますと、厚生省は通達しているのに知らないのは自治体や審査会と思われる方もあるかも知れませんが、重箱の隅をつつくような通達の多い中、二次判定の基準変更はなにもなされていません。


厚生省のおっしゃる痴呆例  

 薄いみどりの第6.7群の項目がかなりひどい痴呆関連の項目です。第3.4群は三浦さんのおっしゃる、「痴呆なら注意すればある項目」です。自立度に踏み込んだ調査シミュレーションです。

第3群

3.浴槽の出入り

一部介助

4.洗身

一部介助
第4群

イ.便意

ときどきある

6.排便後の後始末

間接的援助

7.食事摂取

見守り
第5群

5.金銭の管理

一部介助
第6群

3.意思の伝達

ときどきできる

4.指示への反応

ときどき通じる
第7群

オ.昼夜逆転

ある

カ.暴言暴行

ある

ケ.介護に抵抗

ある

コ.常時の徘徊

ある

シ.外出して戻れない

ある

ソ.火の不始末

ある

認定基準介護時間
29分

一次判定
要支援

この例以上に、痴呆例で一次判定がどうしようもないのが「究極の不公平・どうしてさん」の例です。こんな「要支援」あるでしょうか。
また「痴呆・問題行動例の判定に関する私見」にも書いていますが、
「調査員が悪いのではなく、一次判定ソフトがダメなのです」。

もっと早く気が付いて? 認めて? 欲しかったのですが、4月まで10日をきりました。
 次からは、当分新規の認定審査は減って、すぐには再認定はありませんが、問題は徐々にでてくる4月以降の再認定での大混乱でしょう。

 このままの一次判定ソフトを使い続けるなら、全く介護状態が変わらなくても、または変わっても再認定一次判定結果はバラバラ判定になるのはが目に見えるようで、前回(今の)の判定を参考にするにしろ、再認定時の一次判定を信じるにしろ、ちょっとした項目で一次判定がこれだけ変わって逆転してはどうしようもありません。再認定を続けるほど混乱度は増すと思います。
 一次判定ソフトの欠陥にあまり理解のなかった方たちにも、むしろ再認定時の方が逆転現象は分かるかも知れません。
 その時は厚生省に、調査員に続き、「認定審査員が悪い」と、審査員の資質まで問われるかも知れませんが、そうなると認定審査はやってられませんね。
 なぜ問題点は早急に見直すと言えないのでしょうか。
 介護保険制度は国の大きな政策であり、厚生省だけのまたは担当者のメンツの問題ではないと思うのですが。
 早急に見直さないなら、むしろ全国の審査会が認定審査ボイコットでもするしかないのでしょうか。

                    3月22日


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