ケアハウスについて

 各地にケアハウスが建設されていますが、その内容は詳しく知りませんでしたので、少しケアハウスについて調べてみました。間違った解釈もあるかも知れません。

 ケアハウスとは簡単に定義すると「60才以上の自立した方を対象とした、食事・入浴付きの老人マンションです」と言われています。また軽費老人ホームとの位置づけもあります。

 なぜいまケアハウスが問題になっているかと言えば、介護保険制度の実施後、介護施設の建設や病床からの転換が思ったよう進まないので厚労省が、ケアハウスを民間にも認可し、そして一部を介護保険制度の利用施設として認める改定が行われるようになったからです。

 ケアハウスには当初考えられた食事・入浴付きの老人マンションという一般的なケアハウス(軽費老人ホーム)と、介護保険が利用できる特定施設入居者生活介護として認可された施設(有料老人ホーム)があります。後者は厳密にはケアハウスとは呼ばないのかも知れませんが、ここでは同列に扱います。

 ケアハウスへの入居は原則として、60歳以上で、自炊ができない程度の身体機能の低下などが認められ、または高齢などのため独立して生活するには不安が認められるものが入所の対象となります。身の回りの事は出来ることが条件です。

 一般的なケアハウスでも介護サービスが必要になってきた時には、要介護認定を申請し要介護度が認定されれば、ケアハウスに居ながら通所系の介護保険サービスや訪問介護サービスを受けられるため、ケアハウスでの在宅介護サービスが行われています。これも施設にいながら在宅サービスを受けている矛盾はあります。

 一方有料老人ホームとして国の基準を満たす施設基準・人員配置を行い申請すれば、特定施設入居者生活介護施設として介護給付(介護サービス)が施設において受けられるようになります。ここでは通所系のサービスも施設サービスも介護保険で賄う事となっています。

 この施設では基本料金の自己負担とは別に要介護度に応じて、他の介護施設と同様に入居費用は介護保険から給付されます。要支援 1日2,380円、要介護1 1日5,490円、要介護2 6,160円、要介護3 6,830円、要介護4 7,500円、要介護5では8,180円と決まっています。
 自己負担はこの金額の1割です。

 ケアハウス入所の条件の「身の回りのことが出来る対象者」で要介護4・5の料金設定がなされていることも理解できにくいことですが、重度の要介護度の入居費も決まっています。

 そしてケアハウスは介護保険の介護施設の不足分を補うために、各地に設置が進められています。しかしこれにも制度上介護保険制度の維持を揺るがす大きな問題を含んでいます。

 勿論民間主導であちこちに介護施設が乱立することも問題ですが、ケアハウスや有料老人ホームの場合、原則として入居者の住所をその施設の所在地に置くことになっており、私はこれが大きな問題だと思います。

 現在の他の介護施設では介護保健施設・介護療養型医療施設は、元々は医療施設としての入院として捉えられていますので病院を居住地にすることはありませんので、その施設の入所者がすぐその町村に影響することはありませんでした。介護福祉施設も住所はその施設になることが多いようですが、要介護認定の申請は一般的には、入所前の住所での申請となっているようです。

 従ってその市町村に介護施設が増えてもその定員数がすべてその市町村の介護者となるわけではありませんでした。
 しかし、ケアハウスや特定施設入居者生活介護施設、今後認可が進む痴呆対応型共同生活施設(グループホーム)などの施設入所者は、その施設に転居した扱いとなり、全員がその施設のある市町村の住民になるのです。

 介護保険制度で、今後介護施設のある市町村に住民票を移すことが基本になれば、小さな自治体では40-50名の要介護認定者が一気に増えてしまうので、その市町村の介護保険料に直接影響してしまうことは誰の目にも明らかです。

 ケアハウスやグループホームは高齢化社会で圧倒的に不足している施設サービスを増やし介護保険制度を維持するためには施設介護の一つとして必要ではあります。そのため「私の改革案」で、今の養護老人ホームの在り方を見直し自治体の老人ホーム建設が必要と思っていますが、その前に介護施設の住民登録システムを考慮しないと、大都市周辺で医療産業の進出する町村は大変な事なります。介護保険では施設入所の際には入所先の住所での申請は行わないことなど厚労省にも再考すべきだと考えます。

 それにしても施設の名前ばかり複雑なシステムも何とかならないのでしょうか。

 特別養護老人ホーム・養護老人ホーム・ケアハウス(軽費老人ホーム)・特定施設入居者生活介護施設(有料老人ホーム)・グループホーム、介護保健施設・介護療養型医療施設の施設の違い・入居の違いをすぐに述べられる人がいるでしょうか。

  平成14年4月6日 21日修正


ちなみに特定施設入居者生活介護施設とグループホームの要介護度別の介護費をご紹介します

特定施設入所者生活介護費(1日につき)
 イ 要支援  238単位
 ロ 要介護1 549単位
 ハ 要介護2 616単位
 ニ 要介護3 683単位
 ホ 要介護4 750単位
 ヘ 要介護5 818単位

痴呆対応型共同生活介護費(1日につき)
 (1) 要介護1 809単位
 (2) 要介護2 825単位
 (3) 要介護3 841単位
 (4) 要介護4 857単位
 (5) 要介護5 874単位


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