プログレス歯学研究会とは?

プログレス歯学研究会は、1994年5月、ある講演会で知り合った患者中心の歯科医療を目指す有志が各地から集い、その実践のための模索から始まったスタディークラブです。
 医療とは、いつの時代においても、医療を受ける人々の利益となることを第一と考え、人々の健康で快適な生活を援助するものでなければなりません。
 時代の流れの中、社会背景や科学の進歩により医療の役割も変化を遂げ、そして、我々歯科医師を取り巻く環境も大きく変わりつつあるのが現状です。さらに21世紀を見通せば、メディアによる歯科情報の氾濫、個人の価値観の変化が進み人々が歯科医院に期待するものや歯科医院を選ぶ基準も変わっていくことが考えられます。
 近代歯科医学の進歩により代替臓器による人工的修復は目覚ましい進歩を遂げ、さらに審美の追求へと大きな精力を注いでいるのが現状です。今日では、あたかも精密で審美的な修復を究めることが歯科医療の目標であるかのように誤解し、それを求める人々すら増えているようです。
 では我々は今、何をすべきなのでしょう?
 人々の健康で快適な生活を援助するためには、歯科医院を受診される人々が、歯科的健康の重要性に気付き、自ら健康を手に入れる行動を支援することが何よりも重要であると我々は考えています。このことは単に疾病の予防につながるだけでなく、患者さんの自己決定権を尊重し、歯科的健康の優先順位を高く持っていただくことで、我々の行う行為そのものの価値を認めていただくことにもつながるのではないでしょうか。
 医療者の自己満足的な貢献でなく、また健康を与えるのでもなく、自らの決定と努力により勝ち得た健康こそ真の健康であり、そしてその健康を手にいれるお手伝いをすることが我々の使命ではないでしょうか。
 このような考え方に賛同し、これまで幾多の諸先生方が積み上げた成果を共有し、臨床における問題や困難をひとつひとつ解決し、互いに確かめ評価し共有する協同作業が必要と思われます。
 我々は日々の臨床から、わずかでもその時間をこのために利用することが必要なのではないでしょうか。
 人々が、我々の活動により、生涯にわたり快適に食べ、自由に話し、若さと尊厳に満ちた美しい微笑みが維持できるよう、自らの足元から医療のありかたを改めることに力を合わせて行きたいと考えています。

                              プログレス歯学研究会
                                    代表 山田 晃久